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竜星涼を動かした高畑充希の“人たらし力” 『メゾン・ド・ポリス』大団円と呼べる結末に

リアルサウンド

19/3/16(土) 6:00

 メゾンで爆発が起こり藤堂(野口五郎)は重傷を負い、迫田(角野卓造)は拘留され、夏目(西島秀俊)は警察に追われたまま行方をくらます。高遠建設の闇に迫ろうとしていたメゾン・ド・ポリスの面々はバラバラになってしまい、“無敵の男”野間(佐野史郎)を前に為す術もない。しかし、3月15日に放送されたTBS系列金曜ドラマ『メゾン・ド・ポリス』最終話は、もはや誰もが期待した通りの、まさに大団円と呼べる結末となったといってもいいだろう。いやむしろ、この“予想通り”なクライマックスこそが刑事ドラマの醍醐味であり、本作がそのジャンルに分類されるべきドラマであるという何よりの証明ではないだろうか。

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 徹底的に権威を振りかざし警察組織までも手中に収める野間の弱点を、何としても見つけようとするひより(高畑充希)。メゾンのおじさまたちも自身の持つスキルを最大限に活用しながら、その“組織力”の高さで形勢逆転を狙っていくものの、そこに余裕たっぷりに立ちはだかる野間。メゾンに青戸組を引き連れてやってきた野間に全員が拘束されてしまうのだが、それは野間の“コマ”だった真琴(東風万智子)をうまく取り込んだメゾン側の作戦だったという、怒涛の逆転劇の幕開け。そしてひよりの父の死の真相を野間自らに語らせることで、それを“自供”として野間を捕まえることに成功するのだ。

 もっとも、この最終回において一番良いところを持っていったのは草介(竜星涼)とみて間違いはないだろう。上司である鴨下(ヨシダ朝)が組織に屈し、野間の側についたことを心底悔しがる草介。その正体が“ヒトイチ”(警視庁人事一課)であるとわかって以降、彼はメゾンの味方なのか敵なのかわからないミステリアスなキャラクターとして描かれていたわけだが、着実に味方らしさを匂わせ、最後の最後で正真正銘の味方としてド派手な活躍を見せる。

 とはいえそんな草介を動かしたのは、彼をメゾンの一員だと信じつづけたひよりの“人たらし力”に他ならない。このスキルは迫田から受け継いだものであり、当の迫田も警察内部にいるイヌを見つけ出そうと新木(戸田昌宏)&原田(木村了)を動かす。いずれも警察組織という強大な力に屈することができたにもかかわらず、メゾンが信じる“正義”に力を貸すあたり、やはりここも刑事ドラマの定説というわけだ。現場の刑事こそが、物語を動かすヒーローになる。

 そしてもちろん、本作ではひよりとともに“現場”で活躍してきた夏目の単独行動による破天荒な捜査ぶりと見事なアクションシーンも目を引くものがあった。『MOZU』(TBS系)の倉木尚武ばりの冷たい目をしながらも、やはり本作が脚本・黒岩勉&演出・佐藤祐市という布陣である以上、『ストロベリーナイト』(フジテレビ系)の菊田和男の存在を想起してしまう。何しろ第1話からセリフ中に『ストロベリーナイト』を登場させるなど随所にオマージュと呼ぶべきリンクを張り巡らせてきた本ドラマ。

 今回のクライマックスでは警視庁を見つめるひよりと夏目のカットや、ラストの捜査現場が線路であるという点に加え、極め付けのようにひよりが配属された捜査一課のシーンでは後ろに姫川を思わせる赤いバッグを持った女性刑事の姿が登場するという、徹底したセルフオマージュの応酬。ここまでハッキリとやられてしまっては、ふたつのドラマが本格的に繋がってもらいたいと思わずにはいられない。

 それにしても、ドラマの序盤ではひよりとメゾンのおじさまたちが絆を構築していく数々の事件を描き、終盤に入りようやくクライマックスの形が見えてくるという急展開で、先週の時点ではどのように最終回をまとめあげるのか気がかりであった。そんな不安を軽く吹き飛ばすように、しかもドラマ全体の急展開性を維持したまま、一気に畳み掛けるような最終回の構成の妙は、実に見事と言えるだろう。(久保田和馬)

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