2016年、米ドル紙幣に黒人女性の肖像が採用された（実施はまだ）。彼女の名前はハリエット・タブマン。本作はその生涯を描く。1849年、奴隷のミンティは農場で暮らしていたが、自分が売却されることを知ると、奴隷廃止制度のあるペンシルバニアへ逃亡する。そこで自由と新しい名前“ハリエット”を手に入れる。だが、家族と仲間を救うため、逃亡の手助けをする活動に身を投じるのであった。黒人で女性であるにもかかわらず、70人以上の奴隷を解放し、南北戦争では150人の黒人兵を指揮していたのは、驚きだ！農場からの逃亡は、『パピヨン』を思わせ、太陽の光を浴び自由を掴むシーンは印象的だ。幼少期のケガの影響で突如眠気が襲うナルコプシーを患っているが、発症時に神の啓示を受ける状態になって窮地を脱するのも痛快。人種問題だけでなく女性地位向上の功績は、紙幣にふさわしい人物である。ハリエットのセリフ「自由か！死か！」は、耳に残る。