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快快が2年半ぶりの新作で毒蝮三太夫とコラボ

ぴあ

19/9/2(月) 18:00

快快『ルイ・ルイ』

つねにその表現を更新しながら、彼らにしかできない演劇で現在を照射する劇団・快快(ファイファイ)が新作『ルイ・ルイ』を9月8日からKAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて上演する。快快の主宰であり脚本を担当する北川陽子に話を聞いた。

約2年半ぶりの公演となる今作には、異例な要素がたくさんある。まずキャストにぬいぐるみがいること。

「キャストがなかなか決まらないなかで、いちばん最初に決まったのが片岡メリヤスさんのぬいぐるみ。とにかく舞台上に“いろんな存在”を出したいと思っていたときにInstagramで見かけて、快快のみんなに提案したら“いいね!”ってなりました」

ぬいぐるみの声を演じるのは、御年83歳のラジオスター・毒蝮三太夫。起用の理由は「シンパシー」だという。

「この公演が決まるずっと前、快快メンバー全員で毒蝮さんのラジオ公開生中継を観に行きました。たしか銭湯に来ていたときだったかな。そこで毒蝮さんにめちゃめちゃシンパシーを感じたんです。まず、おじいちゃんおばあちゃんを集めてしゃべって、その人たちに元気を与えているところ。中継が終わってから直接お話ししたんですけど、急に“俺は毒蝮三太夫を演じているんだ”っておっしゃったんですよ」

取材時点の脚本を見せてもらったものの、読んだだけではいったいどんな劇空間が広がるのか、全容がつかめない。そのことを伝えると「私も」と笑う北川。いまはキャスト・スタッフ全員で話し合いながら、シーンをつくっている最中だという。

「脚本のときから、みんなでとにかくしゃべる。キャスト個人個人の近況はもちろん、最近だったら香港のデモのこととか、みんなが気になっていることも。それを反映させて脚本をつくるし、演出も全員でアイデアを出しあってやります。客演の方たちも、すごく積極的に参加してくれます。最後の調整は私がやるけど、ほんとにみんなでつくるんですよ」

つねに「いま、ここ」を観客に強く意識させる作品をつくってきた快快。「本当はもっとお客さんに参加してもらいたい気持ちはある。でも急に参加させられるのって嫌じゃないですか。私も観客だったら嫌だし(笑)。だからいい塩梅を探りつつ、現在性を感じてもらえるようにとは考えています」。音楽や映像も含め、新しさ、若さを爆発させてきた劇団だが、北川は「渋さに憧れている」と言う。「今回もほんとは渋くしたかったんだけど、そうはならなかった」。けれど今作のタイトル『ルイ・ルイ』は1965年にアメリカで発表された楽曲からとられているし、毒蝮三太夫という存在もある。これらのもつ空気が快快と混じり合ったときに生まれるものは、渋いかどうかはわからないが、きっといままで観たことのない面白さをもっているだろう。

「この作品は観たあとに“あー、すっきりした~!”って思ってもらえるものになると思います」と北川。もやもやすることの多い今、必要とされているものが9月のKAATに立ち現れる。

取材・文:釣木文恵

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