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土屋太鳳『チア☆ダン』は映画版とは大きな違いが? オダギリジョーらの複雑な事情が明らかに

リアルサウンド

18/7/21(土) 6:00

 「無茶な夢でも言うのはタダや」。前向きな言葉のオンパレードでも、その言葉に説得力を感じるのは、それを語る登場人物の中に葛藤や悩みがあるからに他ならない。本作の主人公わかば(土屋太鳳)は、かつて「JETS」でセンターを務めた姉のあおい(新木優子)と、「JETS」のある高校に入れなかったことへのコンプレックスを抱えながら、チアをやる夢を諦めかけていた。そんな中で、転校生・汐里(石井杏奈)の登場によって、再び前を向き始めたのである。

 7月20日放送のTBS系金曜ドラマ『チア☆ダン』の第2話。「打倒JETS」と「全米制覇」を掲げて発足し、6人の部員が集まり、太郎(オダギリジョー)が顧問になることも決まったチアダンス部だったが、正式な部活動として認めてもらうためにはあと2人部員を集めなければいけない。そこで彼女たちは部員募集のためにビラ配りに奔走し、そして全校生徒の前でチアを披露することを決めるのだ。

 先週の第1話で、福井駅前の広場であおいを見送るために「できっこないを やらなくちゃ」を踊ったわかばたちが、警察に声をかけられた際に思わず「顧問です」と言ってしまった太郎。先週の初登場シーンで、学校に向かうバスを暗い表情で眺め、妻の今日子(松本若菜)から「頑張りすぎない」と諭された太郎。しかしその後彼は、恩師でもある蒲生校長(阿川佐和子)にこう語る「頑張れって言われるのもきついけど、頑張らんでいいって言われ続ける毎日もきつい」。

 太郎が休職していた理由が「心の病」であることは、語られずとも容易に見て取れる。それでもその過去を、第1話では若干の回想を加えながらも極力オブラートに包みながら描き出していた部分が見受けられた。しかし、今回の劇中ではチアダンス部発足に反対し“働き方改革”を引き合いに出す桜沢教頭(木下ほうか)と蒲生校長との会話のシーンで「心の病」という言葉が桜沢から発せられた瞬間、蒲生校長の目線ひとつで確証を生む。そしてかつて働いていた学校での生徒との関係の解れが回想で描かれたのである。

 そんな太郎と同じように、わかばの幼なじみ・春馬(清水尋也)も、高校野球の試合で相手チームに完膚なきまでに打たれたことをトラウマとして抱えこんでしまい、自主練の最中にもそれを思い出して投げられなくなってしまう。こういった(多少わかりやすすぎる表現ではあるが)わかばの周囲の人々を励まし、元気を与えていくということが、このドラマの大きなテーマなのであろう。そう考えると、「全米制覇」という大きいヴィジョンに比べて極めてミニマムな世界ではありながらも、映画版との大きな違いを生む要素といえるだろう。

 それと同時に、前述したようにわかばをはじめ、チアを踊る「Rockets」の面々も複雑な事情を抱えていることがわかりはじめた今回のエピソード。汐里は前にいた学校でのチアの大会での失敗、茉希(山本舞香)は中学時代に起こした事件で人との関わりを避けてきたこと、そして麻子(佐久間由衣)は父親である桜沢教頭や周囲からの期待に応えるため、自分のやりたいことを封じてきたこと。第1話で部活の発足、第2話で部員集めの奮闘、そして次週の第3話では早くも訪れる衝突と、王道の部活ストーリーをたどって行く筋書きの裏側にある、各キャラクターの描きこみにも注目したいところだ。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『チア☆ダン』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜放送
出演:土屋太鳳、石井杏奈、佐久間由衣、山本舞香、朝比奈彩、大友花恋、箭内夢菜、志田彩良、オダギリジョー、佐生雪、溝口恵、福地桃子、堀田真由、伊原六花、足立佳奈、石崎なつみ、坂ノ上茜、守屋ことり、八木莉可子、阿川佐和子、木下ほうか、高橋和也、紺野まひる、松本若菜、本多力、森矢カンナ、木原勝利、広瀬すず、新木優子
原作:映画『チア☆ダン』製作委員会
脚本:後藤法子、徳尾浩司
プロデューサー:韓哲
協力プロデューサー:高山暢比古
演出:福田亮介、金子文紀
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/cheerdan_tbs/

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