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加古隆 作曲家として、そしてピアニストとして

〜帰国後〜

連載

第8回

19/5/10(金)

 帰国したのは1980年の終わり頃です。ジャズトリオ・TOKのツアーは、全部で3回行い、1982年が最後の日本ツアーとなりました。そのあたりから徐々に活動の中心がソロコンサートに移っていったのです。一時帰国の際に手がけたNHKのドラマの仕事やミュージカルの仕事も続いていて、ミュージカルでは、音楽監督を努めながら出演するというようなこともありました。草笛光子さんのミュージカルのための音楽を書いたり、雪村いづみさんと一緒にツアーをするなど、普段とは違うネットワークでの仕事をこなしていたのです。もちろん演奏することが生活の中心ではありましたが、このころからテレビCMの音楽が増えてきて、80年代にはかなりの数のCMを手がけました。これは、後に映像音楽を手がけるための重要な経験になったと思います。例えばCMの場合には、15秒や30秒で全体を捉える必要があるわけです。2時間の映画であろうとテレビドラマであろうと、1つのコンセプトを捉えて、それをもとに曲を考えるということは、実はCMの音楽を手がけることで訓練されていたのです。さらには、CM音楽の中で浮かんだフレーズを、次の自分のコンサートの中の作品にまで発展させるのです。それが自分の大切なレパートリーになっていくということもありました。1つの曲が生まれてそれを構築するという作曲のプロセスの中で、帰国後に様々なジャンルに触れたことは、すべて役立っているのです。

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