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TWICE、IZ*ONE……ガールズグループが設ける“ラップパート”に注目 キュートさも表現できる手法に

リアルサウンド

19/11/26(火) 7:00

 昨今の韓国ガールズグループの楽曲ではラップパートが増加している。グループ活動をしながらも自らリリックを制作するいわばアイドル兼ラッパーだけでなく、アイドルとしてグループのパフォーマンスの一環でラップを披露するメンバーの存在感が強くなってきたようだ。

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 韓国では、これまでもクールコンセプトのグループでラップは多く用いられてはいたが、TWICEやIZ*ONEのようなフェミニンなイメージのガールズグループでもラップ担当のメンバーを設け、サブボーカルと兼任という形で活動している。大人数グループであると、そのポジションに該当するメンバーを2~3人選出し、ラップの歌割りを割り振っているようだ。しかし、グループ毎にラップを入れることの目的は異なるように感じる。

 TWICEは、ラップをアクセントのように用いている。例えば、「LIKEY」ではリードラッパーのダヒョンが披露するラップ〈Oh 잠깐만 잠깐만 연락이 이제야 오늘걸 Woo〉は、ファンと共に掛け声をする楽曲の注目ポイントの一つである。「Heart shaker」のサビ前にラップを披露するパートは、音楽番組では必ずと言っていいほどカメラに抜かれており、楽曲の構造的にもサビへ向けての盛り上がりが新鮮だ。また、同楽曲の2番ではボーカルと被ってラップが登場することで、楽曲全体の充足感に寄与している。TWICEはラップの登場パートが楽曲によって異なるため、バラエティに富んでいる。ラップパートでの振り付けもダヒョンとチェヨンが目立つような演出であるのが特徴的だ。一部の楽曲では可愛らしい雰囲気のままラップパートに突入することも多々あり、ラップ=クールというイメージを覆すかのようだ。まるで愛嬌を振りまいて話しているかのように聞こえるそのラップは、ガールズグループの新しいパフォーマンスの形を生んだ。

 IZ*ONEは、ラップがボーカルと同様の扱いであるという印象が強く、ラップをしながらも他のメンバーと同じ振り付けをすることがほとんどである。今までの韓国での活動曲である「La Vie en Rose」と「Violeta」では2番Aメロでラップが自然な流れで登場する。特に「Violeta」のラップは低音域であり、その落ち着きのあるメロディはしなやかな女性像を体現しているように感じる。ラップが全体的に溶け込んでいるのは、やはりIZ*ONEが『PRODUCE 48』出身であることに起因するだろう。『PRODUCE』シリーズでのポジション評価は、初期シーズンからボーカル・ラップ・ダンスと三つの部門に分かれており、ラップ部門では自分でリリックを制作するスキルが求められる。これまでも出演者が番組で初めてラップに挑戦するケースが数多く放送されてきた。志望者の中でラップ担当を希望する元々の割合は少ないものの、オーディション番組を通してラップがパフォーマンスにおいて付属的なものではなく、一つの要として存在すべきであることを示した。ラップとガーリーなダンスとを組み合わせるパフォーマンスは今後メジャーになっていくかもしれない。

 一方、日本では、lyrical schoolのようなラップが楽曲の主体を成しているアイドルや、欅坂46の「アンビバレント」などのようにラップ調のパートを取り入れたり、日向坂46・富田鈴花のようなラップを特技とするメンバーが登場したりしている。中でもモーニング娘。は積極的に楽曲にラップパートを取り入れているグループと言えるだろう。特に、モーニング娘。’19が6月に発売した楽曲「青春Night」でラップを披露したのが印象的だ。モーニング娘。といえば「LOVEマシーン」で一斉を風靡したが、その人気の秘訣の一つはみんなが簡単に真似できる、という親しみやすさであった。その後20年の歴史の中では“黄金期”や“プラチナ期”と呼ばれる時代もあったが、現在のモーニング娘。は『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』に出演した際にも見せた怪物級のスタミナとパフォーマンス力で定評がある。デビュー当初からつんく♂のプロデュースの元、高い音楽的評価を得てきたモーニング娘。にとって、ラップは彼女たちの楽曲のノリやすさに貢献してきたと言えるだろう。例えば、「恋愛レボリューション21」の〈超超超 いい感じ〉というリリックの語感の良さ。また、「なんちゃって恋愛」のようなシリアスな曲も、曲中の強がりな主人公がラップでは本音を語ることで、楽曲と聴き手との距離感を縮めている。

 現体制のモーニング娘。でラップが顕著になったのはメンバーの石田亜佑美の存在が大きいだろう。モーニング娘。’14時代にコンサートで披露された「HOW DO YOU LIKE JAPAN? ~日本はどんな感じでっか?~」での、石田の迫力あるパフォーマンスは当時多くの反響があった。それ以降、2017年に発表された「ジェラシー ジェラシー」や「青春Night」では、メンバーのラップに応えるように他のメンバーの合いの手も音源として収録されている。これは、モーニング娘。がハイレベルなパフォーマンスを魅せるのと同時に、ラップパートを通じてファンと一体になることを可能にしている。

 多くの人々がイメージする“ラップ”はラップバトルのような過激なものを想定しやすいが、TWICEやIZ*ONE、モーニング娘。の例から対極に位置する可愛らしさも表現できると言えるだろう。ラップは表現方法の一つとして広く認知されてはじめているものの、ボーカルよりも個人のセンスの問われる難しいポジションであるように感じる。今後、ガールズグループの楽曲におけるボーカルとラップのパートバランスや、その相関性は変化していきそうだ。(momotoxic)

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