幸福路のチー
19/11/25(月)
台北郊外の庶民的な町で育ち、今はアメリカで暮らす女性、チーことリン・スー・チーが久しぶりに里帰りして過去を振り返る。1970年代半ばに生まれたソン・シンイン監督による半自伝的な物語。なつかしい香りがぷんぷんするが、ノスタルジーに酔うための映画ではない。チーは今、幸せではない。一体どこで間違えてしまったのか。彼女は甘くて苦い記憶をたぐりよせていく。生きていくために。
家族との関係、友人との出会いと別れ、時代の激動。話は想像以上にシリアスだが、息苦しくならないのは、現実と空想を行き来する構成と、味わい深いアニメーションゆえ。チーと一緒に時間旅行をしながら、自分にとって大切な存在を自然に思い出してしまうはずだ。
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