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趣里、『私の家政夫ナギサさん』のキーパーソンに 多部未華子の妹役として放つ存在感

リアルサウンド

20/7/14(火) 6:00

 火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)の第2話が7月14日に放送される。本作は、電子書籍サイト「コミックシーモア」発の同名オリジナルコミック(著者:四ツ原フリコ)が原作で、大手製薬会社で優秀なMRとして働いているが、家事はからきし苦手な独身女性のメイ(多部未華子)と、突然現れた“おじさん”家政夫のナギサさん(大森南朋)が織りなすハートフルラブコメディだ。

参考:『私の家政夫ナギサさん』が切り込む新たな“呪い” 『逃げ恥』と異なる目線で家事を見つめる

 第1話の放送では、メイとナギサさんに加え、爽やかなライバル会社のMR・田所(瀬戸康史)や、メイの同僚で親友の薫(高橋メアリージュン)、頼りない後輩の新入社員・瀬川(眞栄田郷敦)など、個性豊かなキャラクターが登場した。

 中でも、重要な役割を果たしたのがメイの妹・唯。彼女は荒れ放題なメイの生活を見兼ねて、勤めている家事代行サービス業者「NTSクリーンハウス」の同僚であるナギサさんを送り込み、2人の出会いのきっかけをつくった。そんな唯役を務めるのは、俳優の水谷豊と伊藤蘭を両親に持ち、2011年に『3年B組金八先生ファイナル~「最後の贈る言葉」4時間SP』(TBS系)で女優デビューを果たした趣里。

 当時の彼女は20歳、5歳下の中学生役だったにもかかわらずオーディションに合格し、金八先生(武田鉄矢)に恋する女子生徒役を可愛らしく好演した。彼女は元々バレエダンサーを目指し、15歳でイギリスに単身バレエ留学するも、ジャンプの着地失敗による怪我で夢を断念。帰国後、舞台演劇や映画などに触れたり、故・塩屋俊主宰の演劇学校でレッスンを受けたことにより、女優の道を目指すことになったという。

 両親の知名度故に“二世女優”と呼ばれることのプレッシャーもあっただろうが、彼女は華奢ながら意思が強そうな目や、色気のあるハスキーボイスで独特な存在感を放つ。映画初主演となった『おとぎ話みたい』では、根拠のない自信に満ち溢れた少女特有の演技が定評を呼び、「MOOSIC LAB 2013」最優秀女優賞を受賞。同作の挿入歌「COSMOS」(おとぎ話)のMVにも出演し、バレエの経験を活かして軽やかなダンスを披露。泣いていた女の子がMV後半、銀座の真ん中で堂々と踊り出す姿は、夢敗れてもなお新たな世界で輝く趣里自身の姿にも重なる。

 そして、特に趣里の演技力が世に広まったのは、26歳の時に出演した『リバース』(TBS系)だろう。三浦貴大演じる村井隆明の妻・香織を演じた彼女は、不倫を続ける夫に対して激怒し、最終的に監禁するという狂気的な演技で強烈な印象を残した。それまでは舞台を中心に活躍していた趣里だったが、同作をきっかけに映像作品でも注目を浴びるようになる。2018年は『ブラックペアン』(TBS系)で二宮和也の右腕、通称“ねこちゃん”を熱演し、ミステリアスな演技で個性派俳優としての片鱗を見せた。他にも『僕とシッポと神楽坂』(テレビ朝日系)や『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系)などに出演。中でも映画『生きてるだけで、愛』にて、痛々しいほどに不器用な躁うつ病の主人公・寧子役を務めた彼女の演技は見張るものがあり、喪失・絶望・喜び……様々な感情が入り混じったラストのダンスシーンはあまりにも美しくて目が離せなかった。

 今年9月で30歳を迎える趣里。新型コロナウイルスの影響で『私の家政夫ナギサさん』の放送開始が伸びたこともあり、今作が20代最後の作品となるかもしれない。これまでの役柄と比べると、唯は少し大人しいキャラクターにも思えるが、気になるのは彼女の職業だ。唯の姉であるメイは、母親(草刈民代)から「お母さんになりたいなんて、くだらないこと言わないで」という言葉を胸に、男性に負けじと働くキャリアウーマン。

 もちろん唯もメイと同じ母親に育てられたはずだが、彼女の職業は“家政婦”である。家政婦も立派な職業の一つだが、前回思わずメイがナギサさんに「それほど仕事ができるのに、なぜ家政夫なんかに?」と言ってしまったように、キャリアを重視する母親やメイからは理解を得がたいはずだ。

 ドラマの人物相関図では、唯と母親ふたりの関係に「疎遠」と書かれている。まるで正反対の姉妹だが、自分とは異なる人生を歩むメイを尊重しているからこそ、唯は彼女をサポートするためにナギサさんを頼ったのではないか。そして、唯自身も姉への劣等感や母との確執など、内に秘めたる感情を抱えているはずだ。台詞だけではなく、表情や佇まいの豊かさで唯一無二の存在感を発揮してきた趣里だからこそ、そんな風に想像してしまう。ともあれ、物語はまだ始まったばかり。あたかも自然に振る舞うキーパーソン、趣里の動きに注目だ。(苫とり子)

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