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東京フィルメックスのラインナップ26本発表、メイド・イン・ジャパン部門を新設

ナタリー

「第22回東京フィルメックス」メインビジュアル (c) IKKI_KOBAYASHI_TOKYO_FILMeX

第22回東京フィルメックスのラインナップ発表記者会見が本日10月6日にオンラインで開催。コンペティション作品を含む計26本の上映・配信が明らかになった。

東京フィルメックスは、アジアを中心に世界各国の独創的な作品を厳選して上映する国際映画祭。今年は10月30日から11月7日にかけての9日間、東京・有楽町朝日ホールとヒューマントラストシネマ有楽町で開催される。2020年に続き、映画祭の会期後から一部作品のオンライン配信も行う。

2000年の第1回から作品選定を行ってきた市山尚三は、東京国際映画祭のプログラムディレクター就任に伴い、東京フィルメックスのディレクターを退任。新任には第1回からディレクターを補佐し、作品選定に従事してきた神谷直希が選ばれた。神谷は2019年にいったんフィルメックスを離れており、今回プログラムディレクターとして復帰した形だ。神谷は着任について「まったくの外部から招いて映画祭の中身を刷新する選択肢もあったはず。私が選ばれた理由には、東京フィルメックスが培ってきたものを重視して、大切にしていく事務局の意向があったと思います。私も長く在籍した人間として、映画祭が築いてきたものは今後も継承していくべきであると感じています」と説明。「アジアに拠点を置く映画祭としてアジアの作品を中心に取り上げることは理にかなっている。その部分も基本的に継承していくべきだろうと現在のところは考えています」と従来の方針を踏襲することを明かした。

2020年に続き同時期開催となる東京国際映画祭との住み分けについては、市山の「東京国際映画祭のアジアの未来部門が現状のプレミア重視のスタンスを続けるのであれば、これまで同様に2つの映画祭は共存できる。住み分けは十分に可能」という意見に同意を示す。「作品を選ぶ主体が変わるわけですから、当然変化する部分はある」としつつも、映画祭のプログラミングは新作の製作状況や各国映画祭の動向の影響下にあり流動的なものであることを補足。そして「選定の責任者が変わったことで映画祭に不安を感じている方も多いかと思います。それに対して私たちができることは質の高いプログラムを組み、積み重ねていくこと。そこから改めて信頼を勝ち取っていくしかない。できるだけ多くの作品をご覧になっていただき忌憚なきご意見をいただければと思っています」と語った。

コンペティションにはアジアの新進作家が2020年から2021年にかけて製作した10作品をラインナップ。「迷子の警察音楽隊」で知られるエラン・コリリンの新作「朝が来ますように」、「人生タクシー」を監督したイランの巨匠ジャファル・パナヒの息子パナー・パナヒの長編デビュー作「砂利道」、ロッテルダム国際映画祭で最高賞のタイガーアワードを受賞した「小石」、「消失点」のジャッカワーン・ニンタムロンが1960年代後半と現代のタイで生きる1人の女性の姿を通して国家の負の歴史を描く「時の解剖学」、「クズとブスとゲス」の奥田庸介による新作群像劇「青春墓場」などが並ぶ。審査委員長は諏訪敦彦が務めることが明らかに。審査委員はゲーテ・インスティトゥート東京で映画・美術の企画を担当するウルリケ・クラウトハイム、アンスティチュ・フランセ日本で映像・音楽部門を統括するオリヴィエ・デルプ、「鉱 ARAGANE」「セノーテ」で知られる小田香が務める。

特別招待作品はオープニングを飾る濱口竜介の新作短編集「偶然と想像」など9本。ジャファル・パナヒ、アンソニー・チェン、デヴィッド・ロウリー、アピチャッポン・ウィーラセタクンら7人の映画作家がコロナ禍を主題にした短編アンソロジー「The Year of the Everlasting Storm」もラインナップに。「永遠に続く嵐の年」のタイトルで日本初上映となり、神谷も「パンデミックを扱った作品は現在も数多く作られていますが、この映画はあとから振り返ったときに記念碑的な1本として記憶されるのではないかと思っています。どの短編も興味深く、アプローチやスタイルもさまざま。現在進行中の危機に対して、いくつかの視座を与えてくれる作品です」と紹介した。

さらに東京フィルメックスでは日本映画の新作を紹介する部門「メイド・イン・ジャパン」を新設。「ひかりの歌」の杉田協士が、パートナーを失ったことをきっかけに新しい生活を始める女性の姿を描いた「春原さんのうた」、2016年公開「At the terrace テラスにて」以来となる山内ケンジの新作「夜明けの夫婦」、冨永昌敬、清原惟、山本英、竹内里紗、宮崎大祐が参加し、神奈川・大和を舞台にした短編アンソロジー「MADE IN YAMATO」、「アルビノの木」の金子雅和が監督を務め、笠松将と阿部純子が共演した「リング・ワンダリング」の4本が上映される。今年から日本のインディペンデント映画を紹介してきた東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門がなくなったことの影響があるか問われると、神谷は「直接関係はないが、背中を押された部分はある」と回答。同部門の継続については「今年はトライアルに近い。作品はもちろん、予算や会場の確保の問題もあるので毎年続けるかは現状わからない。過去に日本映画を多く紹介した年もあったので、今年は別部門にして会場も変えて見せる形も面白いと思った」と新設の意図を述べた。

第22回東京フィルメックスのチケットは10月17日10時に発売。上映スケジュールは後日、公式サイトのチケットページにて発表される。

第22回東京フィルメックス

2021年10月30日(土)~11月7日(日) 東京都 有楽町朝日ホールほか

コンペティション

「見上げた空に何が見える?」※オンライン配信あり
「朝が来ますように」
「砂利道」★
「小石」★ ※オンライン配信あり
「時の解剖学」※オンライン配信あり
「ホワイト・ビルディング」※オンライン配信あり
「ユニ」※オンライン配信あり
「永安鎮の物語集」
「ただの偶然の旅」★ ※オンライン配信あり
「青春墓場」
※タイトル横の★=長編監督デビュー作

特別招待作品

「偶然と想像」※オープニング作品
「メモリー・ボックス」※クロージング作品
「アヘドの膝」
「永遠に続く嵐の年」
「狼と羊」※オンライン配信あり
「魔法使いのおじいさん」
「瀑布」
「行くあてもなく」
「麻希のいる世界」

メイド・イン・ジャパン

「春原さんのうた」
「夜明けの夫婦」
「MADE IN YAMATO」
「リング・ワンダリング」

プレ・オンライン上映

「消失点」
「昨夜、あなたが微笑んでいた」
「見えるもの、見えざるもの」

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