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FANTASTICS、「FANTASTIC 9」MVから伝わるグループの軌跡 中尾翔太とファンへの思いが詰まった楽曲に

リアルサウンド

20/2/21(金) 7:00

 2018年12月にシングル『OVER DRIVE』でメジャーデビューを果たしたダンス&ボーカルグループ・FANTASTICS from EXILE TRIBE(以下、FANTASTICS)が、2月12日に待望の1stフルアルバム『FANTASTIC 9』をリリースした。同作は、これまでにリリースしたシングル曲「OVER DRIVE」「Flying Fish」「Dear Destiny」「Time Camera」を加えた全13曲で、2018年5月にEXILEが全国ドームツアー『EXILE LIVE TOUR 2018 “STAR OF WISH”』に向けて発表した楽曲「Turn Back Time feat. FANTASTICS」のセルフカバー「Turn Back Time -FANTASTICS Version-」、そして表題曲「FANTASTIC 9」なども収録。現在までの集大成とも言えるアルバムだ。本稿では、アルバムのリリースに併せて公開された表題曲「FANTASTIC 9」のMVを通して、FANTASTICSの軌跡や9人の魅力を探る。

(関連:FANTASTICSが語る、革新的ライブへの手応え「自分たちの本心や本音がギュッと詰まったものになった」

 FANTASTICSは、2017年1月、EXILEのパフォーマーである世界と佐藤大樹という2人のリーダーに、「EXPG STUDIO」から選出された澤本夏輝、瀬口黎弥、堀夏喜、木村慧人、中尾翔太を加えた7人組パフォーマンスグループとして結成された。その後、バス1台で全国各地をパフォーマンス行脚する「武者修行」を経て、FANTASTICSのボーカルを募集する『VOCAL BATTLE AUDITION 5』を開催。2017年12月、オーディション合格者の八木勇征と中島颯太を含め、9人組のグループとして活動していくことを発表した。

 しかし、2018年3月にはピンク髪がトレードマークの愛されキャラでもあった中尾翔太が病気療養のため活動を休止し、同年7月に急逝――。それでも、“9人でFANTASTICS”という想いを胸に、メンバー達は精力的に活動を続けてきた。(先述した「Turn Back Time feat. FANTASTICS」のMVも、EXILE TAKAHIROが作詞し、EXILE TRIBEの仲間達が闘病中の中尾へメッセージを届ける内容となっている)

 そのため、“FANTASTIC 9”はメンバーにとって大事な言葉であり、同曲にも中尾翔太を連想させる歌詞が多数出てくる。しかし、悲しいだけの歌ではないとメンバーは語る。歌詞先行で制作されたという同曲において、作詞を手がけたのは、2ndシングル曲「Flying Fish」から作詞を担当している小竹正人。EXILE TRIBEのメンバーと長年交流がある小竹氏ならではの愛のある歌詞に、「Believe in Love」を手がけた春川仁志が、まるで春風を感じさせるような温かいトラックを施した。そこには、中尾への思いはもちろん、ファンへの感謝やこの先も駆け上がっていくという覚悟も込められており、リスナー一人ひとりにメンバーが想いを手渡ししていくような、心温まる1曲となっている。

■8人が手紙を書く姿、壮大なスケール感……MVのみどころ

 ボーカルを務めるのは、子犬のようなベビーフェイスが人気で少年っぽさを残したピュアな歌声が魅力の中島颯太(EXPG大阪出身)と、歌/ダンス未経験にも関わらずメンバー入りを果たした、肉体派シンデレラボーイの八木勇征。八木の歌声はパワフルさもありつつ、甘くソフトタッチな表現が印象的だ。八木曰く、「FANTASTIC 9」は、ボーカルの地力が出せている曲だといい、音数の少ないバラードだからこそ、2人の歌声が映える曲に仕上がっている。

 さらに、ラストサビではパフォーマー(世界、佐藤大樹、澤本夏輝、瀬口黎弥、堀夏喜、木村慧人)も一緒になって大合唱しており、初の海外ロケを行ったというMVでも、鮮やかな青空のもと、ボーカル2人をパフォーマーが囲む形で手を振るようなダンスを披露している。振付には、ライブでは観客も一緒に手を振ってほしいという想いが込められているそうで、ボーカルも、ミドルバラードでありながらグルーヴ感が出るような歌い方を試行錯誤したという。

 また、8人が“手紙”を書いて空に飛ばすドラマティックなストーリーや、海外ロケならではのスケール感、思い思いの表情で手紙に想いをしたためる姿も、このMVの見どころ。FANTASTICSといえば、5月に橋本環奈とのW主演映画『小説の神様 君としか描けない物語』の公開が控えている佐藤大樹を筆頭に、グループとしても、2019年に行った初の単独全国ツアー『FANTASTICS SOUND DRAMA 2019 FANTASTIC NINE』で演劇とライブを融合させたサウンドドラマに初挑戦するなど、演技面でも飛躍が期待されている。そんな彼らの進化の過程が、このMVには収められている。

 振り返ってみると、FANTASTICSにとって2019年は、吸収し続けた1年だったと言えるだろう。デビュー当時は、スタイリッシュかつキレのあるパフォーマンス、EXILE TRIBEの中でズバ抜けた爽やかさを持ったグループという印象が強かったが、デビュー1年目にしてさまざまな楽曲や演出に挑戦した今、彼らの可能性は計り知れない。3月28日からは、2度目の単独ツアー『FANTASTICS LIVE TOUR 2020“FNT”』がスタート。4月1日には、5thシングル『Hey,darlin’』のリリースも決定している。ツアーを完走する頃、9人はどんな進化を遂げているのだろうか。未来に想いを馳せながら、彼らが輝く一瞬一瞬を胸の奥のカメラに収めていきたい。(斉藤碧)

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