“シリア内戦”と聞いて、どんな風景をイメージするだろうか？　どうしてもこれまでニュースなどで報じられた、たとえば完全に破壊され瓦礫の山と化した街の風景といったショッキングな場面に引っ張られてしまうのではなかろうか。 ただ、その瓦礫と化したアパートメントの一室一室にはそれぞれ住人がいて、それぞれの営みがある。本作は、この当たり前だが、見落としがちな、とある住宅の一室に思いを馳せ、内戦で翻弄される人々の心に寄り添ったような作品だ。 日常生活の真横に存在する恐怖、極限に置かれたときに生じる無秩序、そこから露わになる人間の邪悪さと非道さ、今もまだ続く内戦の厳しい現実をあなたはどう受け止めるだろうか？