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2週連続でトップ5にランクインなし 日本映画界の絶対王者、東宝の憂鬱

リアルサウンド

18/7/12(木) 13:00

 先週末の映画動員ランキングは、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』が土日2日間で動員19万7000人、興収2億9300万円をあげて、2週連続で1位を獲得。公開5週目に入った『万引き家族』は土日2日間で動員12万6000人、興収1億6800万円をあげて2位と、好調が続いている。先週末の時点で『万引き家族』は累計で動員285万人、興収34億円を突破。日本映画、外国映画を問わずギャガの単独配給作品としては画期的な動員300万人突破は確実、興収も40億の大台を十分に狙えるところまできた。そもそもアニメ作品以外の日本映画が40億を超えること自体、非常に稀なことであるが、東宝・松竹・東映の大手三社以外の配給作品となると、2006年にワーナーが配給した『デスノート the Last name』(興収52億円)以来、実に12年ぶりの快挙となる。

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 ところで、前週から日本の映画興行において珍事とも言える出来事が起こっていることにお気づきだろうか? 実は、6月23日~24日の週末の動員ランキングでその時点で公開11週目の『名探偵コナン ゼロの執行人』が5位に入ったのを最後に、先々週、そして先週と2週連続で東宝作品がトップ5に1作品も入っていないのだ。6月16~17日の週末も東宝作品の最高位は『名探偵コナン ゼロの執行人』の7位なので、この1か月、ほとんど上位に東宝作品が顔を出していないことになる。日本の映画興行で長年トップのシェアを誇ってきた東宝に、一体何が起こっているのか?

 作品を公開日順に整理していくと、東宝配給作品で最後に初登場でトップ5に入ったのは、5月25日公開の『恋は雨上がりのように』(初登場4位)ということになる。その後、つまり6月に入ってから公開された東宝配給作品は、『OVER DRIVE』も『羊と鋼の森』も公開初週でさえトップ5に入ることがなかった。たまたま不発が2作品続いただけとも言えるし、特に『羊と鋼の森』に関しては同週に公開された『万引き家族』に話題を完全に奪われてしまうという不幸なタイミングもあった。4月13日公開の『名探偵コナン ゼロの執行人』は先週末で興収85億円を突破して、年間興収1位となる可能性がますます高まってきている。しかし、実写作品に限れば、今年の東宝から興収20億円以上の(東宝配給作品としては)中ヒットと呼べるような作品でさえまだ1作品も出ていないのは気になるところだ。

 もっとも、今後の公開スケジュールを見れば、『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(7月27日公開)、『検察側の罪人』(8月24日公開)と大きなヒットが見込める実写作品の公開も控えている。また、とりあえず今週末には『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』(7月13日公開)、来週末には『未来のミライ』(7月20日公開)が公開されるので、「トップ5に1作品もなし」連続記録も先週末を最後に途絶えるのは間違いないだろう。

 ただし、映画興行では劇場で流される予告編などの効果もあって「ヒットがヒットを呼ぶ」という連鎖の法則があるのも事実。映画の宣伝は、実際に映画館に足を運ぶ習慣がある人たちに向けてダイレクトに訴えるのが一番効果的とも言われている。実写作品において一旦断ち切れてしまったその連鎖を、今後どのようにして繋いでいくのか。その盤石な配給体制だけでなく、作品の企画力や宣伝力においてもこれまで日本映画界を圧倒的にリードしてきた東宝。下半期の奮起に期待したい。(宇野維正)

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