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『鍵のかかった部屋』大野智×佐藤浩市のユニークなやりとり 『SUITS/スーツ2』小手伸也も登場

リアルサウンド

20/5/26(火) 6:00

 劇中で芹沢(佐藤浩市)が犯人に狙われたことに慄き、スケジュールをリスケするというくだりに合わせて、フリードマン・芹沢総合法律事務所の秘書である桐生はるか(松井珠理奈)が『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系)の幸村・上杉法律事務所の蟹江(小手伸也)のもとを訪れるというコラボレーションから幕を開けた5月25日放送の『鍵のかかった部屋 特別編』(フジテレビ系)。ちなみにその冒頭だけかと思いきや、合間合間にちょいちょい挟み込まれ、蟹江と桐生との間に一定の距離感(ソーシャルディスタンスか?)が保たれているのは面白い。

参考:詳細はこちらから

 さて今回“特別編”として放送されたのは2014年の正月、つまり連続ドラマ版から1年半後に放送されたスペシャルの再編集版。放送時には「鏡の国の殺人」と、このドラマが放送された時点で文芸誌上で連載されていたエピソードの題がサブタイトルとして付けられていたが、今回の再編集版には「移動する穴」という新たなサブタイトルが。2つの異なる密室事件が展開するスペシャルの前半の事件だけを抽出して構成されており、そのトリック(紐を使って玄関からひとつひとつ窓を閉めていくというあまりにも地味なものなので驚きだが)を意図した題が付けられたというわけだ。ちなみに後半の「鏡の国の殺人」の方は来週放送される。

 物語は芹沢(佐藤浩市)が、ある殺人事件の第一発見者となるところから始まる。10億円相当の絵画コレクションを美術館に寄贈するため芹沢に相談していた証券会社の会長・藤林が何者かによって撲殺されたのだ。そして現場の近くで不審な人物の姿を見かけた芹沢は、命を狙われる羽目に。そんな折、突然世界一周から帰ってきた榎本は、友人の空き巣・小檜山(岡田義徳)が、藤林が殺された日に偶然空き巣に入って死体を発見していたことを告げる。つまり小檜山が侵入するまで現場は密室だった。そこで芹沢は、玄関の鍵の持ち主で、共に遺体を目撃した藤林の姪・郁子(黒木瞳)を疑うのである。

 先週までは第1話と第2話が再放送されていたため、一気に登場人物の人間関係などに大きな変化が生まれ、初見だと若干混乱しそうになるのは致し方あるまい。少なくとも、連続ドラマの最終回で榎本がどうなっていたのかだけ知っておけば、タイトルイン直前の芹沢とのやり取りがよりユニークに見えることだろう。連続ドラマ版の最後のエピソードでは介護会社の社長が殺される事件が描かれた。そのエピソードの中盤で、榎本が宝石窃盗事件に関与しているとの疑いが刑事の鴻野(宇梶剛士)から芹沢に伝えられ、事件解決後に榎本は突然「臨時収入があった」と飛行機に乗って何処かへ行ってしまうのである。原作では榎本=泥棒と設定されているが、このドラマではそこをミステリアスに濁した終わらせ方をしていたのだ。

 さて、その榎本が密室の謎を解く時には、いつも決まった仕草を見せる。右手の人差し指と親指を擦り合わせ、鍵を開けるというものだ。この仕草について、演出を務めた松山博昭は『ザテレビジョン』のインタビューで撮影時に大野から提案があったというエピソードを語っていた。推理作品で探偵役が謎解きをする時に何らかのルーティンがあるというのはお決まりだが、この仕草で刺激される親指の内側の部分には間脳の反射区が存在しており、集中力を高めて神経を研ぎ澄ませる、つまり謎解きをする上ではなかなか理にかなった仕草と言えるだろう。本ドラマの4年後に放送された『99.9 -刑事専門弁護士-』(TBS系)の中で、松本潤演じる深山は思考をめぐらす時に耳たぶを触る仕草をしていた。これも同じような効果が見込める仕草であり、思いがけないところで両作品が繋がっていたというわけだ。 (文=久保田和馬)

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