Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

『エール』覚悟を決めた裕一の眼差し 窪田正孝が15分間で見せた多様な顔

リアルサウンド

20/4/15(水) 12:00

 『エール』第12回(NHK総合)では、音楽家を目指す裕一(窪田正孝)の曲が選ばれ、順風満帆に見えた矢先、吉野(田口浩正)の話に父・三郎(唐沢寿明)が乗り、莫大な借金を抱えてしまう。第13回では、音楽一筋で音楽家を目指すことを信じてやまなかった裕一が、その夢を諦めざるを得ない現実に直面し、その覚悟をするまでが描かれた。

 福島ハーモニカ倶楽部の演奏会当日。裕一がいつもの雰囲気と違う。それは演奏会の前日が原因であった。三郎は「音楽が好きか」と裕一に問いながら、「好きなことに一直線になれるのはいい」と、どこか物憂げな表情で伝える。どこかよそよそしい父の態度に、様子がおかしいと気づく裕一は「何かあったのか」と核心に迫る。

【写真】指揮棒を振る窪田正孝

 その嫌な予感は的中し、裕一は養子に出ないといけないことを告げられた。それは裕一が、生きる指針となっていた音楽家を志すことができなくなることを意味していた。

 家族にとって自分が養子になることが最善の策であることを察した裕一は、どうすることもできずに次の講演をラストにすると悲しげな表情で告げる。

 ついに裕一が作曲をした曲を演奏するときが来て、裕一は指揮を任される。指揮を振る裕一はどこか覚悟が決まっているように見えた。どんな状況でも、音楽をしているときは音楽にのめり込む。そんな裕一が垣間見えた瞬間である。父は裕一の姿を見て涙し、会場には拍手が鳴り響いた。

 演奏後に、裕一はハーモニカ倶楽部を辞めると伝え、それ以降の裕一は商業学校で味気ない日々を過ごした。

 そしてとうとう裕一が養子に行く日となり、家族との別れの日を迎える。それでも優しい裕一は、笑顔を見せて「もう大丈夫だから」と告げて去るが、その後ろ姿はどこか悲しげに見えた。

 荷物の中には、「見るのは辛いと思うけど、辛いときに支えてくれるのは音楽だと思うから」という母・まさ(菊池桃子)からの手紙が添えられている。新しい家で待っていたのは、底抜けに明るい個性豊かな川俣銀行の人々であった。

 第13回では、裕一演じる窪田正孝の演技に注目が集まった。夢を諦めざるを得ない悲しげな表情、何もやる気が起こらないときの物憂げな表情、指揮を振るときの真剣な表情、心配させないように家族に見せる優しい表情。15分の間で多様な顔を見せ、演技派俳優としての一面を見せた。

 音楽に一筋であったにも関わらず、音楽を諦めざるを得なくなった裕一が、川俣銀行の人たちと出会うことでどのように変わっていくのだろうか。

(岡田拓朗)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む