Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

電気グルーヴ、フジファブリック、バニラズ……2019年に周年迎えるグループの新作

リアルサウンド

19/1/22(火) 8:00

 今回紹介するのは、電気グルーヴ(結成30周年)、フジファブリック(メジャーデビュー15周年)など、2019年に“周年”を迎えるバンド(グループ)の新作を紹介。セルフカバー、ベスト盤、オリジナルアルバムに込めた各アーティストのこれまでの軌跡、そして新たな音楽表現をたっぷり楽しんでほしい。

(関連:電気グルーヴが語る、楽曲制作の流儀「悲しみや怒りを無理やり同意させるのはカッコ悪い」

■電気グルーヴ『30』
 ドイツの伝説的エレクトロ系シンガー、インガ・フンペをフィーチャーした「Shangri-La」のセルフカバー「Shangri-La feat. Inga Humpe」、トミタ栞のガーリーなボーカルが印象的な「いちご娘はひとりっ子」、30周年アニバーサリーソング「電気グルーヴ30周年の唄」など、多彩なアーティスト、クリエイターを招いて制作された30周年記念作品。常に最新鋭のテクノ、エレクトロと同期しながら、独創的としか言いようがないトラック、ナンセンスの極北を描き出すリリック、そして、石野卓球・ピエール瀧の濃密すぎるキャラクターによって、日本のダンスミュージックシーンを大きく前進させ、世界レベルのクオリティを体現してきた電気グルーヴの軌跡と現在地が強く刻まれた作品である。

■フジファブリック(メジャーデビュー15周年)『F』
 長くバンドを続けていると、まったく予想できなかったことが起きる。音楽性やコンセプトが大きく変わることもあるし、ときにはメンバーが脱退したり、いなくなってしまうことも。そういう様々な出来事を乗り越え、豊かな音楽へと結実したとき、(それまでのプロセス込みで)聴き手は強く感情を揺さぶられてしまうーーフジファブリックのニューアルバム『F』は、まさにそんなアルバムだと思う。ギターポップ、オルタナティブ、ファンク、エレクトロなどを融合させたキャッチー&ストレンジなサウンド、前進を続ける意志をストレートに反映させた歌詞を軸にした音楽性もさらに進化。メジャーデビュー15周年、3人体制になって8年目のタイミングで生まれた最高傑作であると断言したい。

■go!go!vanillas(メジャーデビュー5周年)『No.999』
 表題曲「No.999」は〈デスから デスから デスからアゲイン/墓場で鳴らせコール〉というサビのラインがとにかく最高。その理由は、ロックンロールという“古き良き”と認識されている音楽を現代的なポップミュージックとして蘇らせてきたgo!go!vanillasのスタイルをそのまま示しているからだ(同時にTVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』(フジテレビ系)のエンディング主題歌としてもバッチリ成立しているところもすごい)。ロックンロール、カントリー、サイケデリック、ハードロック、ミクスチャーなどをガッツリ飲み込んだバンドサウンド、ソウルフルにしてエッジーな牧達弥(Vo/Gt)のボーカルを含め、彼らの新たな代表曲と言っていいだろう。カップリングには柳沢進太郎(Gt)の楽曲を牧が初めて歌った、切なくも美しいポップナンバー「触れたら」を収録。

■空想委員会(メジャーデビュー5周年)『空想録(二〇一一-二〇一八)』
 三浦隆一(Vo/Gt)の手による、体験、空想、妄想が入り混じった楽曲によって、幅広い年齢層のリスナーから支持されている空想委員会の、現体制の集大成といえるベスト盤。「純愛、故に性悪説」「私が雪を待つ理由」「ビジョン」といったシングル曲、メンバー推しの「マフラー少女」「春恋、覚醒」などを収めた本作では、繊細、純情、妬み、悪意、そして、ほんの少しの幸福といった感情を描き出す(主にちょっと情けない男子を主人公にした)ラブソングがたっぷり。オルタナティブロック、ニューウェイブ、ハードロックなどをセンス良く組み合わせたアレンジ、叙情性と解放感をあわせ持ったボーカルにもぜひ注目してほしい。

■魔法少女になり隊(結成5周年)『∀』
 “ラウドでポップなRPG系バンド”を標榜する魔法少女になり隊。2018年は13本のフェスに出演、バンドキッズ、アイドルファン、ボカロ系のユーザーまで幅広い層の支持を得ている4人から、ミニアルバムが届けられた。ラウドロック直系のバンドサウンドとポップに振り切ったメロディを軸にした「周回とセイレーン」から、〈退屈だった/世界に色がついたんだ/君に出会ってから〉というラインが胸を打つ「NEVER ENDING STORY」まで、これまで以上にエモーショナル度を高めた楽曲を収録。ルーツミュージックを前面に押し出したサウンド、“喪失感”をテーマにしたという歌詞を含め、結成から5年の間に築いてきた、このバンドのオリジナリティを端的に示すことに成功している。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む