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板垣李光人『青天を衝け』インタビュー「大河ドラマに関われた事実が僕の“自信”に繋がる」

ぴあ

板垣李光人 撮影/鬼澤礼門

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『ここは今から倫理です。』(NHK総合)『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~』(読売テレビ・日本テレビ)など、今年に入り立て続けにドラマへ出演する俳優の板垣李光人。その美貌から、どの作品でも存在感を放ち、注目を浴びている。そんな板垣は、現在絶賛放送中の大河ドラマ第60作『青天を衝け』にて、「プリンス・トクガワ」の名で知られる第9代水戸藩主・徳川斉昭の十八男・徳川昭武(以下、昭武)を演じる。『花燃ゆ』以来、二度目の大河ドラマの出演となった。

一度目の大河ドラマ出演時は13歳だった板垣。19歳である現在、二度目の大河ドラマ出演に対し「10代の内に二度も大河ドラマの出演を経験できるのは、すごく贅沢なことです」と語る。

板垣が昭武の役を掴んだのはオーディションだった。オーディションから半年以上経った2020年10月頃、正式に役が決まった。「オーディションの記憶も薄れてきた頃に知らせが来たため、連絡をいただいた際はとても驚きました」と笑いながら当時を振り返る。また、昭武の役を掴んだ際には喜びと同時に『花燃ゆ』以上の責任を感じたという。

「大河ドラマはスタッフ・キャストの人数も多く、現場の空気感も独特です。『花燃ゆ』の時は13歳と年齢が低かったこともあり、あまり物怖じせずに挑むことができたのですが……そこから色々な経験をしてきた今、大河ドラマにまた出演させていただくことへ責任や緊張がありました。とはいえ、現場に入った時はすごく懐かしさも感じました」

昭武の纏う空気を、一つひとつの「所作」で表現

ーー板垣さんは「徳川昭武」という歴史上の人物をご存知でしたか?

実は最初、知りませんでした。なので、役をいただいてから昭武について色々調べました。 現代だと中学生くらいの年齢である昭武が、異母兄の徳川慶喜(演:草なぎ剛)の名代(代理)としてパリ万国博覧会へ出向きます。14歳という年齢でもそれほどの重役を任せようと思えるほど、慶喜は昭武に対し品位やカリスマ性を感じていたのではないかと。実際、昭武の写真を見た際には、すごく気高そうな印象も受けました。

ーー昭武の持つ品位やカリスマ性、気高さなどを表現するために意識したことを教えてください。

写真を見た際、気高さのほかに「鋭さ」「柔らかさ」も感じました。演じる前から昭武に纏う空気を含んだ動き、佇まい、喋り方などは必要になってくるだろうなと考えていて。そのイメージを演じていく中で膨らませていきました。

ーー一つひとつの「所作」に意識を向けていたんですね。

身分の高い役柄だと、ある程度の所作が決まっています。台本を読む上では、決まった所作の中でも「昭武という人物が活きるにはどうすべきか」を考え、一つひとつの所作を自分の中で噛み砕き、演技に落とし込んでいきました。それは時代劇ならではの役づくりだと感じています。

ーー板垣さんは品位や聡明さのある王子様的な役柄を演じられている印象が強いので、自然と品のある空気が醸し出されていそう……と思いました。

いやいや、普段はすごく堕落した生活を送っていて、ほど遠いですよ(笑)。だから、撮影日が近づいてくると、普段の歩き方や動作はかなり意識します。

ーー『約束のネバーランド』や『ここは今から倫理です。』などの実写作品に多くご出演されていますが、空想上のキャラクターと歴史上の実在した人物、役づくりや演じ方に違いはありますか?

大きく違うのは責任感です。歴史に関わる人は何百年も前から多くの人に尊敬され、親しまれている。もちろん原作ファンのいる実写作品でも責任は感じますが、歴史上の人物を演じる際はより責任を感じますね。

ただ、実写作品は「原作」という正解があって、大河のような時代劇は「歴史」という正解がある。役づくりのアプローチは似ていると思います。

実写作品であれば原作を読んでキャラクターを落とし込みますし、時代劇であれば関連する文献を調べます。今回の『青天を衝け』であれば、昭武が過ごしていた「松戸・戸定邸」や資料館に行くなどもしました。

パリのシーンはグリーンバック「求められる集中力が全く違う」

ーー『青天を衝け』の撮影で印象に残っていることはありますか?

パリのシーンはほぼグリーンバック(合成)での撮影だったので、頭の中で景色を想像しながら演じなければならなかったのが印象に残っています。風や音、匂いなど環境の要素で芝居が乗る部分もあるとすごく感じていて。

例えば、ナポレオン三世と謁見するシーンは、たくさんの人が並ぶ絢爛な宮殿の中、正面にいるナポレオン三世のもとへおずおずと進んでいく。宮殿で撮影するのであれば響く足音を感じたり、たくさんの人を並べて撮影するのであれば呼吸や緊張感が伝わってきたりする。(渋沢)栄一とセーヌ川を歩くシーンも同様です。それらの環境を自分の想像だけで演じなければならない。グリーンバックでの芝居は、求められる集中力が全く違うなと思いました。

ーーその場合、台本からイメージを膨らませるのみなのか、それとも事前にイメージ映像などをご覧になられるのか、どちらでしょうか。

事前にイメージ映像を見せていただきました。とはいえ、実際にはVRのような気持ちで、頭の中に人や建物を置きながら演じていましたね。

ーー演じられた中で、特にお気に入りのシーンはありますか?

やっぱりナポレオン三世との謁見シーンは、昭武の中で大きな仕事だったので気に入っています。日本の代表として先頭に立って歩いていく。14歳ではなかなか感じることのないような圧をも凌駕して堂々と佇む姿、昭武の「強さ」「覚悟」を感じるシーンではないかと思います。

あと、栄一とセーヌ川を歩くシーンはすごく好きですね。昭武は栄一の聡明さや柔軟な考え方に感銘を受け、身分の違う間柄ですが身分を超えて心動かされています。同時に自分と通ずる部分も感じていた。昭武は栄一に絶対的な信頼を置いています。そんな栄一へ自分の正直な気持ちを吐露する場面は、とても良いシーンになっていると思います。

ーー渋沢栄一演じる主演の吉沢亮さんへの印象を教えてください。

吉沢さんの出演されている作品は色々拝見していましたが、実際一緒に芝居をしてみると、すごく目が素敵でキレイだなと感じました。時には子どものような澄んだ目を輝かせ、時には狩りをする動物の目ような鋭さがある。それを近くで感じられたのは、とても嬉しかったです。

ーー撮影現場では作品のことに限らず、吉沢さんとお話される場面もあったんですか?

ありましたよ。『青天を衝け』の撮影期間中、1ヶ月ほど朝の情報番組のパーソナリティをしていたんです。朝2時半くらいに起きて、生放送が終わって、『青天を衝け』の撮影をして……という時に声をかけてくださいました。吉沢さんも以前同じ番組で1ヶ月パーソナリティをされていたこともあり、心配してくださって。本当に優しかったです。

あとは、僕が変な服が好きと伝えたら、「今日は変な服だね」「今日は普通の服だね」と話をすることもありました(笑)。

「作品と視聴者の架け橋になりたい」

ーー二度目の大河ドラマへのご出演が、ご自身のキャリアにどのような影響があると感じますか?

大河ドラマは長い歴史のある作品で、キャスト・スタッフの方たちもプロフェッショナルばかりです。その中に自分が関われた事実だけでも自信に繋がります。「大河ドラマへ出演したこと」そのものが、キャリアの中で大きな影響をもたらしてくれると思います。

ーー2021年に入ってから様々な作品で様々な役を演じられている板垣さん。最近のお仕事で学んだこと、影響を受けたことはありますか?

ドラマ『ここは今から倫理です。』の出演は、すごく大きかったです。僕がメインで登場する5話では、自傷行為をしてしまう生徒と親からの愛情を十分に受けられず「愛着障害」を抱えている保健室登校の生徒が描かれます。

取り扱っているテーマはとてもナイーブでデリケートですけど、作品を通じて救われる人もいたと思います。実際、同じ境遇に立つ視聴者の方からは「救われた」「勇気をもらった」といった言葉をいただきました。

中には僕が出ていたから『ここは今から倫理です。』に出会った方もいます。作品と視聴者の架け橋に、僕自身がなれると気づいたんです。もっと多くの方たちに色々な作品と出会っていただきたい、そういう存在になりたいと思いました。

板垣李光人に聞く、「歴史」にまつわる4問

ーーここからは『青天を衝け』にちなみ「歴史」に関連した質問を4問お伺いしていきます! まず1問目、歴史はお好きですか?

あんまり……学校の授業は好きではなかったです(笑)。でも、美術や芸術の歴史は好きでしたよ。日本だと浮世絵、ヨーロッパだとルネサンス期やロココ期の絵画、ファッション史も好きです。

ーー2問目、板垣さんはアニメやゲームなどお好きですが好きな歴史系のコンテンツは?

ゲームの『戦国無双』ですかね。日本史とかは苦手ですが、『戦国無双』は楽しくプレイしていました。

ーー3問目、今後演じてみたい歴史上の人物はいますか?

誰だろう……。(少し考え込んで)「天草四郎」かな。ビジュアルとかも面白くできそうだなって。学校の授業で習っての勝手な印象ですけど(笑)。

ーー4問目、『青天を衝け』で描かれる幕末~明治時代と現代を比較して、人々の考え方や価値観に違いは感じますか? それとも時代が変化しても、人々の考え方や価値観に変化はないと感じますか?

何も変わっていないと思います。『青天を衝け』で描かれる時代は昭武の父である斉昭の「尊王攘夷思想(天皇を敬い、外国人を日本から追い払う)」のもと政治が成り立っている。その思想の中で人々は育っているわけですよね。そのため、栄一のような真逆の価値観をすんなりと受け入れる人は少ない。それはいつの時代も同じだと感じます。

幼い頃の環境や教育で作られた価値観を解すのはとても難しく時間のかかることだと思います。だからこそ、先を生きる大人たちが固まった価値観を押し付けるのではなく、様々な価値観に柔軟であるべきなんじゃないかなと思いますね。

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撮影/鬼澤礼門、取材・文/阿部裕華

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