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大島幸久 このお芝居がよかった! myマンスリー・ベスト

12月のベストは『風博士』、『Indigo Tomato』の平間壮一に“新人特別賞”。そして私的年間ベストも発表します!

毎月連載

第14回

19/12/31(火)

① シス・カンパニー公演 日本文学シアターVol.6【坂口安吾】『風博士』 世田谷パブリックシアター(12/18)
② スクルージ ~クリスマス・キャロル~ 日生劇場 (12/9)
③ 浅利慶太追悼公演『思い出を売る男』自由劇場(12/21)
④ 二兎社『私たちは何も知らない』 東京芸術劇場 シアターウエスト(12/7)
⑤ 『タージマハルの衛兵』 新国立劇場(12/10)

*日付は観劇日。12/1〜26 までに観た30公演から選出。

シス・カンパニー公演 日本文学シアターVol.6【坂口安吾】『風博士』より、左から趣里 中井貴一 段田安則 撮影:宮川舞子

坂口安吾に想を得た北村想の新作が『風博士』。主役のフーさんを演じた中井貴一が舞台俳優として大きく成長した、と痛感した。

時代は戦中。フーさんはある大陸で軍専用の女郎屋を営むが、そこで働く女たち、預かることにした頭のネジが奇怪しい娘サチ子らを優しく見つめる芝居が自然な演技。飄々とした味が巧く出た。サチ子の趣里は誰も及ばない不思議な個性がある。小顔、軟体動物のような自在の動き、切なくなる声の調子。吉田羊、渡辺えり、段田安則ら共演者らに的確な芝居をさせた寺十吾の演出が光った。

『スクルージ』より、市村正親 撮影:田中亜紀

『スクルージ』の主演、市村正親については「年間ベストファイブ」でも触れるが、老人の孤独な一人暮らしの佇まいがクッキリと描かれた。懐が深くなったスクルージになった。上演を重ねて市村の代表作に間違いない。使用人クラチットの足の悪い息子の場面になると私は、つい涙脆くなるのだ。演出の井上尊晶はさすが、蜷川幸雄さんの弟子。群衆の扱いが抜群にいい。

浅利慶太追悼公演『思い出を売る男』より 撮影:石阪大輔

浅利慶太追悼公演『思い出を売る男』は浅利さんの恩師・加藤道夫の代表作。街の女で出演した野村玲子が“再現演出”という珍しい肩書で浅利演出を継承。丁寧、そして心に沁みる舞台を作った。主演の近藤真行が詩人としての言葉遣いになっており、加藤敬二の広告屋に存在感があった。カーテンコールで映った浅利さんの多くの写真は懐かしく、思い出が過った。

二兎社『私たちは何も知らない』より 撮影:本間伸彦

『私たちは何も知らない』。平塚らいてうらが作った青鞜社を舞台にした永井愛の作・演出。経営難、恋愛、誹謗中傷、対立する意見などで悪戦苦闘する女性たちが世の中にも物申すようになる。今は当たり前でも大正時代は封建的だったのだ。伊藤野枝が虐殺された事実をラストでさり気なく触れるだけだったのは残念。発起人のひとり、保持研(やすもちよし)を演じた富山えり子が安定した演技で巧い。

『タージマハルの衛兵』より、右から成河、亀田佳明 撮影:宮川舞子

『タージマハルの衛兵』は成河と亀田佳明の二人芝居。2万人の手首を切り落とした2場が凄惨極まる。血の海。洗い流しながらのふたりの芝居には吐き気さえ覚える。暴走した暴君、圧倒的な権力の怖さ。成河と亀田佳明の熱演で長さを感じさせなかった。

★この人に注目!★

Coloring Musical『Indigo Tomato』より、平間壮一

12月4日~10日に東京・グローブ座で上演された『Indigo Tomato(インディゴ・トマト)』。2018年以来の再演というが、驚いた。泣けて仕方がなかった。主人公タカシは...

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