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『美食探偵』“悪役”小池栄子の圧倒的存在感! 中村倫也とのロマンスが見どころに

リアルサウンド

20/4/13(月) 12:25

 正統派ミステリーに飯テロな食ドラマ、ビターでシリアスな殺人・愛憎劇と軽妙なコメディ展開。『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)の初回放送は、そうした“相反するもの”が次々にテーブルの上に繰り出され、視聴者に大食い競争を強いるようなスピードと情報量の多さだった。その割にうまく煙に巻かれているようで、まだその存在の本質をつかむことも難しい。それはまさしく、本作の主人公・明智五郎(中村倫也)とその因縁の相手・マグダラのマリア(小池栄子)の謎に包まれた人物像とも重なるものだろう。ダークでウィットに富んだ第1話の展開を、まずはじっくりと振り返る必要がある。

参考:ほか場面写真はこちらから

 『美食探偵』は、『海月姫』『東京タラレバ娘』『偽装不倫』など、その多くの作品がドラマ化を果たしている漫画家・東村アキコによるサスペンス漫画が原作だ。美食家で探偵の明智五郎が次々と難事件を解決に導いていく姿が描かれていく。彼が営む「江戸川探偵事務所」の前でワゴン販売の弁当屋を経営する女性・小林苺に扮するのは小芝風花。明智にこき使われながらも、助手のようなポジションでサポートする本作のヒロインだ。第1話ではさらに、明智に事件解決を依頼するちょっと間の抜けた刑事コンビ(北村有起也、佐藤寛太)に、苺の親友役として富田望生も登場。後半にはゲストとして志田未来が出演し、今後作品に華を添えていくであろうゲスト出演者の存在も楽しみな展開に。

 第1話の中心となるのはしかしその誰でもなく、ある善良な主婦(小池栄子)が殺人犯に変貌する物語が描かれた。夫の浮気を疑い探偵事務所にやってきた主婦は、お昼の時間に夫を尾行するよう明智に依頼。すると読み通り、毎日お昼休みの1時間を浮気相手と目される若い女性の家で過ごしていることが判明する。その調査報告をした際に主婦から打ち明けられる心を閉ざした姿。その寂しげな顔ともてなされた料理の味に魅了されたのか明智は、「これからは本当のあなたをもっと自由に解き放つべきだ」と言葉をかける。

 それを受けて、その言葉をずっと待ち望んでいたかのように心を解放させる主婦は、無残にも夫を殺害し、「マグダラのマリア」としての第二の人生を歩むことになる。それは、マリアが殺人を望む人の手助けをしていく悲劇の始まりであり、探偵・明智と殺人鬼・マリアの因縁と愛憎が絡み合う物語の幕開けでもあった。重要なのは、明智とマリアがただの敵対関係にはないことだ。別れ際に明智と口づけを交わしたマリアも、彼女の料理と笑顔に「悪くない」(明智の最上の誉め言葉)を連発し、その美しくもある変貌ぶりに魅了されてしまっているような明智の態度からも、言うなれば「愛」のようなものが感じ取れてしまう。そんなふたりがどう対峙していくのか、それが本作の最大の見どころとなるだろう。

 冒頭でも述べたように、本作の魅力のひとつは“相反するもの”が混じり合っている点にある。殺人をモロに描写する映像や明智とマリアの少しビターでアダルティックでさえあるやりとりを見ているとゾワっと心拍数が上がってしまうけれど、その合間にコメディ的な展開や食ドラマとしての側面も取り上げられるから、ちょうどいい具合に緊張を緩和してくれる。そして最もその姿を象徴・体現するのが、本作のヒロインである小林苺のキャラクターだ。美味しくて庶民派な料理と、抜群の笑顔、軽さを届けてくれる、本作の雰囲気に絶妙にマッチした女性を小芝風花が演じてみせている。

 明智のような変人の対極に置かれるヒロインというのは、ある種テレビドラマの雛形のようなものだろう。『ガリレオ』(フジテレビ系)などが顕著な例だが、そのキャラクターのハマり具合によって、ドラマの方向性が左右されるといってもいいかもしれない。稀代のカメレオン俳優として注目を集める中村倫也と、演技派女優としてどの作品でも存在感を露わにする小池栄子という安定感のある俳優陣のなかで、小芝風花がどれだけそのヒロイン性をもってして立ち向かっていくのか。そのマリアージュに期待したいところだ。 (文=原航平)

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