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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

『お気に召すまま』

異才・熊林弘高の演出で『お気に召すまま』を上演

ぴあ

19/7/30(火) 0:00

熊林弘高演出による『お気に召すまま』が、7月30日(火)に東京芸術劇場プレイハウスで開幕する。

『おそるべき親たち』(2010年)で多数の演劇賞を受賞して大きな注目を集めた後も、寡作を貫き、入念なリサーチと考察を重ねて演出を導き出す丁寧な作品づくりにこだわってきた熊林が、本作で初めてシェイクスピア劇に挑む。キャストは『かもめ』(2016年)から続いての出演となる満島ひかり、坂口健太郎、中嶋朋子、山路和弘、小林勝也。さらに若手実力派の満島真之介と中村蒼、熊林作品には初参加となる温水洋一、広岡由里子も加わった盤石の布陣だ。

シェイクスピア作品でも人気の恋愛喜劇として知られる本作。物語は青年オーランド(坂口)が、公爵の姪ロザリンド(満島ひかり)と恋に落ちたばかりに、兄のオリバー(満島真之介)に命を狙われるところから始まる。オーランドが森へ逃げたと知ったロザリンドは身を守るために男装し、“ギャニミード”となって、姉妹同然に育った公爵の娘シーリア(中嶋)や、召使いのタッチストーン(温水)と共に後を追う。見どころは、オーランドと無事に会えた“ギャニミード”が、「自分をロザリンドだと思って口説いてごらん」と言う場面。オーランドは“彼”がロザリンドとは気づかないまま、あふれる想いを告白する。なぜ気づかないのか、というリアリストたちのツッコミは、ここでは無意味だ。男女間の恋愛の機微を深層に置きつつ、表層ではオーランドと“ギャニミード”という“男同士”の戯れを見せるのがシェイクスピアならでは。異性装を施された満島ひかりなら、どちらの楽しさもしっかりと味わわせてくれるだろう。

熊林は今回、その「アーデンの森」の場面に改めて注目。森を人間のあらゆる性的欲望がうごめく暗闇と位置づけ、独自の演出を加えたという。「自分は男」「自分は異性が好き」と疑いをもたなかったジェンダーの認識が、世間や時代の縛りから解放されたとき、自分の中にどう着地するのか。「あなたは本当に自分の思っているようなあなたですか?」と演者にも観客にも問いかける、熊林版『お気に召すまま』。その答えは、観る者それぞれの胸に生まれそうである。

文:佐藤さくら

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