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『ルパンの娘』大貫勇輔、歌と踊りで異彩を放つ ダンスで培った“空気を変える”技術とは

リアルサウンド

19/9/19(木) 6:00

 俳優たちが“真面目”に個性的なキャラクターを演じ、笑いのネタがオンパレードのコメディ作品でありながら、ロミジュリ展開の恋愛パートでは涙さえ誘ってくる『ルパンの娘』(フジテレビ系)。深田恭子と瀬戸康史を筆頭に、愉快なメンバーが大勢いる中でも、歌や踊りで異彩を放っているのが円城寺を演じる大貫勇輔である。

【写真】円城寺のミュージカルシーン

 はじめこそ深田演じるヒロイン・華の幼馴染として、華のことをいつも気にかけ、和馬との恋を応援してきた円城寺。今では、和馬との逆らえない運命に心を痛めている華を支え、一番近くにいる存在である。

 『ルパンの娘』放送中に毎回ネット上で話題になるのが、ミュージカルパート。そしてこのシーンの柱を担っているの円城寺を演じる大貫のパフォーマンスだ。大貫は17歳よりプロダンサーとして数々の作品に出演、多岐に渡るジャンルのダンスを踊りこなし、世界で高く評価されている。かねてから大貫の舞台を観劇し、インタビューなどでもその姿を追い続けてきた演劇・ドラマライターの上村由紀子氏に、大貫のダンサーとして評価について聞いた。

「お母さまがダンスの先生で、ご本人も幼い頃からダンスに触れていたそうです。海外でも著名な演出家のマシュー・ボーンに見出されてからは重要な役で踊る機会も増え、ダンサーとしても高い評価を得ています。彼は、決まった振りを踊るのではなく、心の中から湧き出る感情で踊るコンテンポラリーダンスも得意としています。2011~12年くらいから国内の大型舞台、ミュージカルにも多数出演するようになったのですが、彼にとっての最初の大型ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』ではセリフが一切ない“死”という役で、他の登場人物の誰ともセリフで絡まずに死を抽象的にダンスで表現する姿が衝撃的でした」

 さらに、ダンスと演技に共通する大貫の魅力についてこう続ける。

「それまで劇場内に流れていた空気の色味を一瞬で変えられる人だと思います。それはドラマ出演の際にも生かされていて『高嶺の花』(日本テレビ系)や『ルパンの娘』など、非日常を感じさせる役も多く、1話の中で出演時間の短さに反比例してあれだけ強いインパクトを残している。彼がダンスで培った“空気を変える”技術がキャラクターと合致しているからこそ、それが役に生かされているのではないでしょうか。また、円城寺という役は意識的に面白く登場してしまうと、狙いすぎて失敗してしまう難しい役だと思うんです。本人は真面目にやっていて、それを受けている深田恭子も真面目。だからこそ、見ている側にとっての面白さにつながっている気がします。芝居としては、変なことをやっているわけではないのに、視聴者にしっかりインパクトを残していける人だなと感じます。おそらくダンスパートの振りも自分で考えて現場で提示しているはず。それができるのは普段の舞台での経験値が高いからでしょうね」

 ダンサー、舞台俳優としてこれまで培った身体能力や表現力をもとに、ここ数年はドラマでの活躍も見せ、その存在をお茶の間まで届かせた大貫。その豊富な経験が、他の役者とは一線を画した魅力につながっているのだろう。

「ダンサーとしては高みを目指していると思いますが、俳優としてはまだ自分は身につけないといけない武器がたくさんあるし、勉強しなきゃいけないという謙虚さを持っている方です。役者としては、カッコいいことをやったときに見た目が綺麗に決まるというのも強みだと思います。仕草を綺麗にすることはダンスでもやっていて、本人も意識しているところなので、そういう部分が今後に役立っていくのではないでしょうか」

 残すところ2話の放送となった『ルパンの娘』でもさらなるインパクトを与えてくれる大貫の登場に期待したい。

(大和田茉椰)

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