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香取慎吾「10%」が増税と共に突如配信された意図は? 謎が多い歌詞と歌手としての魅力を考察

リアルサウンド

19/10/1(火) 16:00

 香取慎吾が、10月1日午前0時にデジタルシングル「10%」を突如配信リリースした。香取がTwitterに「“10%” OUT NOW !!」と発信するやいなや、またたく間に「香取慎吾」の名前がトレンド入り。草なぎ剛は「良い!」、稲垣吾郎も「好き好き」とつぶやいて盛り上げ、SNS上は一時お祭り騒ぎとなり、配信後の深夜から現時点にかけてiTunes Storeでもランキング1位をキープしている。

参考:香取慎吾から生まれる作品は自身のDNAを持った化身のよう すべての創作物にも通じるテーマ

 目の覚めるようなポップサウンドに、聞き馴染みのある歌声。まぶたを閉じれば、香取が嬉しそうにステップを踏んで、歌い踊る姿が目に浮かぶ。一度聞けば、誰もがリズムに身を委ねたくなるキャッチーさ。一緒に歌いたくなるアッパーさ。第一印象は、シンプルに「カッコいい」だ。

 だが、この曲はそれだけでは終わらない。耳をすませてみると、歌詞の「面白さ」に気がつく。〈皆 YOU にギブアップ!/YABBEE 女(ヤツ)来ちまった!〉と、どうやら運命的な出会いをした様子。そして2人は〈You love 未来へつなぐ 10%!?〉〈君とGrandpa になっても 10%!?〉と共に歩む未来を思い描いて〈てへっへ(ベロ)〉と笑い、優しい世界が広がる。

 一方で、耳に残る「10%(テンパーセント)」という印象的なフレーズ。そして改めて、タイトルを、リリースされたタイミングを考えたくなる。もちろん、本日10月1日は消費税が10%に増税される日だ。歌詞を追っていくと「10%」という数字が、どんな数字なのかを振り返らずにはいられない。

 体脂肪10%は? 視聴率10%は? 知名度10%は? 「10%」は多いか、少ないか。何を指す数字なのか、どんな立場にいる人なのか。その印象もまちまちだ。そう、私たちは、日々いろんな形で数字と向き合っている。

 無謀な数字を前に立ちすくんだり、届かぬ夢と思っていた数字を達成して手を取り合って喜んだり……自分が頑張ることで変動する数字もあれば、ひとつの目標となる数字もある。そんな中、消費税10%というのはどうだろうか。私たちの生活に密着する数字に、納得しているのだろうか。そんな疑問を投げかけてくるような、謎めいた歌にも聞こえてくる。

 香取は、日本初個展となる『サントリー オールフリーpresents BOUM! BOUM! BOUM!(ブン!ブン!ブン!)香取慎吾NIPPON初個展』で、展示された作品のひとつに「数字が好きだ」という言葉を添えていた。言葉にならない考えや想いを、数字が持つ意味を考えることでメッセージにしていく。そんな香取の美学を、彼の作品を見ていれば感じることができる。

 今回リリースされた「10%」のクレジットには「Shingo」の表記もあり、詞の部分にも携わっているようだ。今日という日が「生活がこれから厳しくなる日」ではなく、「香取の新たな活動が始まった日」に塗り替えようとしてくれたのかもしれない。そんなふうに日々を明るく照らそうとする香取慎吾は、つくづく太陽のような人だ。

 それは、私たちがこれまで見届けてきた「みんなのしんごちゃん」というシンボリックで温かな存在という意味でもそうだ。そして近年、その才能を開花した「アーティスト香取慎吾」は、常に爆発を繰り返し、ときには本人も驚くような太陽フレアを描く情熱的な存在としても。さらに、今回新たに私たちに見せてくれた「シンガー香取慎吾」は、その中間のような存在。ニコニコと優しい印象を醸し出しながら、私たちの生活をシビアに照らし出していく。

 いつだって明るくて、楽しい存在だとみんなが認知してきた香取慎吾。その中には、燃えたぎるエネルギーと、それを冷静に見つめる現実的な目が共存している。私たちはまだ香取慎吾の持つ可能性の10%しか知らないのかもしれない。そんな「10%」なら大歓迎だ。(佐藤結衣)

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