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『ジュディ 虹の彼方に』レネー・ゼルウィガーが語るハリウッドの変化 「すべての面で変わっている」

リアルサウンド

20/3/8(日) 12:00

 伝説のミュージカル女優、ジュディ・ガーランドの姿を描いた『ジュディ 虹の彼方に』が3月6日より公開中だ。ハリウッド黄金期を象徴する映画『オズの魔法使い』で、17歳にして一躍スターダムを駆け上がり、その波瀾万丈の人生と圧倒的なステージパフォーマンスで知られるジュディ・ガーランド。本作では、彼女が47歳の若さでこの世を去る半年前、1968年の冬に行われたロンドン公演の日々が描かれる。

参考:『ジュディ 虹の彼方に』でアカデミー賞主演女優賞受賞 レネー・ゼルウィガーの猛特訓が明らかに

 ジュディ・ガーランドを演じたレネー・ゼルウィガーは、本作の演技によって第92回アカデミー賞主演女優賞を受賞。受賞後の心境やジュディへの思い、そして変化するハリウッドについて語ってもらった。

ーーアカデミー賞主演女優賞受賞おめでとうございます。率直にどのような思いですか?

レネー・ゼルウィガー(以下、ゼルウィガー):サンキュー。5分前に起きたようにも感じるし、10年前に起きたようにも感じられる。わからないわ。まだ考えるための時間をあまり取れずにいる。北カリフォルニアにいる私の犬が、昨年人工股関節置換手術をしたんだけれど、上手くいかなくて調子が悪くなってしまったの。それで彼はいま、回復するために何度か改めて手術をして、ずっと診ていてもらえるように入院していて……。その度に行ったり来たりしていたし、2月の真ん中には私の弟の誕生日もあった。犬のところに行ってから、私の両親にも会いに行って、昨夜やっと家に戻ってきたところなの(笑)。だから、受賞についてじっくり考える時間が1分さえなかった。でも、とても楽しくて、特別な夜だった。

ーー今回の作品では、ジュディ・ガーランドという実在の人物を演じられました。実在の人物を演じるのと架空の人物を演じるのに、演技面で違いはありますか?

ゼルウィガー:実在の人物を演じるメリットは、あることがすでに確立されて決まっていて、交渉の余地がないということ。それは同時に、デメリットでもあると思う。なぜなら、誰か他の人の物語に挑戦するということで、慎重にやりたいと思うことからくる、特別な責任があるから。本当にそれだけだわ。実在の人物と架空の人物を演じるのでは、ただ違う責任があるということなの。

ーーラストの歌唱シーンは圧巻でした。改めて、ジュディ・ガーランド、そしてこの作品はあなたにとってどのような存在になりましたか?

ゼルウィガー:この映画をとおして、私は生涯の友達を作った。今までにはない、新しい種類のチャレンジだったの。とても静かで、とてもプライベートな経験だった。それは、物事を試してみて、成長する安全な場所だった。私はそうしないといけなかったの。そのことにとても感謝しているわ。なぜなら、それは、私がこれまで経験したことがないようなチャレンジだったから。私の人生において、これまでとは違うように心に響いたから、すごく嬉しい。そして、ジュディは私にとって素晴らしい先生。彼女のために、私は微笑みを絶やさないわ(笑)。

ーージュディ・ガーランドには輝かしいキャリアがありますが、また同時に薬物問題を抱えていたり、自殺までしようとしたりしました。彼女はハリウッドが嫌いだったという話もありますが、彼女の人生とハリウッドには深い関係がありました。ここ数年、ハリウッドも徐々に変わりつつありますが、ハリウッドの現状をどのように捉えていますか?

ゼルウィガー:そうね、ハリウッドはすべての面で変わっている。ただ、ジュディとハリウッドとの関係性を、いまエンターテインメント業界で働いている女性と比べるのは難しい。なぜなら、当時と現在は法律が違うから。少なくとも子供の労働に関して、彼らはもっと責任を持ってその法律を強制していて、もはやそれほど前時代的なシステムではなく、もっと透明性がある。だから、彼女が経験した虐待が、今日、見逃されることは少し難しい。パワーの不均衡に、強い憧れが合わさったものが、時々作用しないと言っているわけじゃないの。なぜなら、そういうことがないと言うのはナイーブだから。でも少なくとも、人々は今そのことについて話している。もちろん、そういう変化は良いことだと思う。そして、私たちはただそれをもっと押し広げていくんだと思う。間違いなくね。

ーーあなた自身、具体的に何か感じることはありますか?

ゼルウィガー:この業界で働いている、私が知っている男性たちは、見かけについてもっと慎重になったわね。ただ、不適切な行動だと誤解されるようなことがないようにとても気をつけている。それは正しい方向へと向かう第一歩ね。彼らがちゃんと振る舞えば、これからやって来るもっと若い男性たちの基準になり、模範となる実例がどういうことかがわかるから。これはわずかな変化だけど、素晴らしい始まりだと思うわ。少しだけね(笑)。

ーー2016年に『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』で復帰するまで、女優業を6年間休業していましたが、休む前と後で、女優として何か意識の変化や演技面での変化はありましたか?

ゼルウィガー:私自身、“休業する必要があった”という違う見方をしているの。私は、個人的な経験から演技を引き出すクリエイティブな人として、この職業をやり始めた。でも、パーソナルな経験が、すべてプロフェッショナルな経験だとすると、引き出せるものがたくさんはないということになる。人々と真実のやりとりができない時はね。なぜなら、彼らは、あなたのことを見ていないし、あなたの言うことを聞いていなくて、あなたがどういう人かというアイデアだけを見ているから。それはたぶん、あなたの人間性の真実とはまったく関係がないもの。そうすると、物事を学ぶのがとても難しくなってしまう。成長したり、チャレンジしたり、共感したりするのが難しくなる。誰かについてのストーリーを語る時、その人の経験と同じような経験をしていなくて、どのようにそのストーリーを語れるの? それに、どんな人とも同じように、年を取った時、より良い洞察を持つことができる。私たちの人生経験には、もっと豊かさがあると思うわ。(取材・文=宮川翔)

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