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ようこそ映画音響の世界へ

20/8/24(月)

若手インディーズ作家の作品が集まる映画祭の審査を務めているが、毎回、音響が気になってしまう。肝心なセリフが聞こえなかったり、バランスが取れていない。音響は機械だけでなく、個人の技術力によるものが大きいのかもしれない。映画にとって、映像と音響は両輪だ。この2つが相まって、圧倒的なスクリーンの世界を紡ぎ出す。 本作は、初めてハリウッド映画の音響にスポットを当てた傑作ドキュメンタリー。映画音響とは登場人物の声、環境音や効果音、音楽など、映画における“音”の全てのことで、音が生み出すマジックの秘密を余すところなく披露する。 映画は無声映画からトーキー、ステレオサウンド、5.1chへと進む音の歴史を紐解きながら、『スター・ウォーズ』(77)のベン・バート、『地獄の黙示録』(79)のウォルター・マーチ、『ジュラシック・パーク』(93)のゲイリー・ライドストロームといった映画音響界の大御所らのインタビューで構成する。 その中身がとても興味深い。バーブラ・ストライサンドが『スター誕生』(76)で自費を投じてステレオを採用したこと、『地獄の黙示録』での5.1ch秘話、『トップガン』(86)のジェット音にはさまざまな動物の鳴き声がミックスされている……などなど。名作の影には素晴らしい音響があったことは改めて分かる。 登場するのは『キング・コング』(33)、『市民ケーン』(41)、『鳥』(63)、『ゴッドファーザー』(72)から最近作の『ROMA/ローマ』(18)など傑作ぞろい。これを機に見直してみるのもいい。音にこだわった作品だけに、サウンド設計も秀逸。「極上音響」で知られる立川シネマシティなど音響を売りにした映画館で見れば、より深い体験が味わえそうだ。映画界を志す人を始め、全ての映画ファン必見!

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