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中村倫也と矢本悠馬、『半分、青い。』が飛躍の契機に 実力派俳優の名を広める朝ドラの役割

リアルサウンド

18/6/1(金) 6:00

 今期の朝ドラ『半分、青い。』(NHK)で、新人ではないのにも関わらず、長い役者経歴から一気に急上昇した役者が2名いる。永野芽郁演じるヒロインの幼なじみのひとりとして登場する矢本悠馬と、恋の相手として出演している中村倫也だ。

鈴愛(永野芽郁)を夢中にさせる正人(中村倫也)【写真】

 注目を集めているヒロイン・楡野鈴愛(永野芽郁)が故郷の岐阜を離れ、東京に足を踏み入れるとともに周囲の顔ぶれも一変した本作。「岐阜編」ではヒロインの幼なじみのひとりとして矢本が、「東京編」では彼女の恋の相手として中村が、それぞれが大いに展開を盛り上げている。優に10年を超えるキャリアを持つ彼らだが、週間の視聴率がつねに約20パーセントをキープしている本作だからこそ、より多くの人々の目に触れ、知名度も注目度も跳ね上がっているところだ。

 若手女優の登竜門という印象の強い朝ドラだが、それは女優に限らず俳優も同じこと。彼らの名を広める場を、この国民的ドラマは提供している。ここ最近で言えば、『とと姉ちゃん』(2016)の坂口健太郎や、『ひよっこ』(2017)の竹内涼真など、デビューから数年しか経っていない彼らの、いわゆるブレイクのきっかけとなるものであった。彼らの主演作や、大作のメインキャストでの起用が続いている事実から、もはや疑いようがないだろう。

 そんな今期の朝ドラ『半分、青い。』に出演している矢本と中村だが、矢本の朝ドラ参戦は『てるてる家族』(2003−2004)、『花子とアン』(2014)に続き3度目で、中村は『風のハルカ』(2005−2006)に続く2度目の参戦。子役出身である矢本は、『花子とアン』出演時ですでに芸歴10年を数えているが、彼が頭角を現しはじめたのはこの3年ほどといった印象ではないだろうか。

 『ちはやふる』シリーズ(2016−2018)や『トリガール!』(2017)、『君の膵臓をたべたい』(2017)と、いずれの作品でも脇にまわる形でありながら、作品やシーンのムードをつくる重要なポジションを彼が背負っていた。そして『ポンチョに夜明けの風はらませて』(2017)では物語の推進力と求心力を、主役のひとりとして担うことができることを証明した。彼の愛嬌あふれるたたずまいと、的確にツボをついてくるノリのいい芝居は、いまや若者を中心に据えた作品には欠かせない存在となっているだろう。本作で演じる“ブッチャー”こと西園寺龍之介は、まさに彼に適した役どころだといえる。

 作品ごとに硬軟自在の芝居で魅せる中村の存在は、すでに多くの方が認知していることと思うが、本作で爆発的な人気を博しつつある。その理由の最も大きな点は、やはりヒロインの恋の相手を演じるからだ。彼が演じるのは、いまで言うところの“ゆるふわ系イケメン”の朝井正人。佐藤健が、鈴愛の幼なじみ・萩尾律という10代のキャラクターを演じることが大きな話題であったが、佐藤よりさらに年上の中村もまた、実年齢が18歳の永野と同い年の人物として隣に並んでいてまったく違和感がない。

 おっとりしたマイペースキャラが魅力の正人に癒やされている方も多いのではないかと思うが、同じく放送中の『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)での浜辺美波との掛け合いの妙には毎週ニヤニヤさせられ、『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』(Hulu×HBOアジア)での刑事役の手堅く作品を支える姿には「上手い!」と感嘆の声が漏れるのを禁じ得ず、映画『孤狼の血』でのマッドなキレっぷりには中村倫也という人間が信じられなくなりそう。 “カメレオン俳優”との呼び声高い中村だが、現在出演中のこの4つの作品を見比べてみれば、誰もが納得しないわけにはいかないだろう。

 「岐阜編」から「東京編」へと物語が移るに合わせて、ヒロインを支えるポジションをバトンタッチした矢本と中村。鈴愛を演じる永野は、メインキャストの中でも最年少である。彼女自身が放つ魅力の大きさもさることながら、脇を固める矢本や中村らが彼女の魅力を引き立てる存在として一役買っているのは間違いない。かねてから知る人ぞ知る若き実力者であった彼らが、この朝ドラという国民的ドラマをとおして広く認知されることは、さらなる飛躍の契機となるだろう。向井理が『ゲゲゲの女房』(2010)に、綾野剛が『カーネーション』(2012)に、それぞれ出演して以降、一気にその存在感を増したことを考えてみれば分かりやすい。今や見ない日はないように思える2人だろう。知っている人にとって彼らが素晴らしい俳優であるのは当然のことだが、やはり、より多くの人の目に触れることは重要なのだ。

(折田侑駿)

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