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渋谷の中心で音楽の解放を叫ぶ 『RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018』のメッセージ

リアルサウンド

18/9/14(金) 8:00

 渋谷の街を歩いていると、「音楽の解放区。」と書かれた文字をよく目にすることに気づく。レコード店だったり、ライブハウスの壁貼りポスターだったり、シャッターにグラフィティの様に描かれていることもある。見上げると、109にも大きく掲げられているではないか。街頭ビジョンからもZeebra、向井太一、ちゃんみな、RHYMESTERなどが出演しているCMが流れてくる。

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 一度気づいてしまうと、沢山の人の波と喧騒の間から、街全体が意識の中に「音楽の解放」を訴えかけくるかのようだ。そして、そのメッセージに引っかかる者だけに掲示されている秘密のパーティの招待状の様にも思える。

 それもそのはず、これは9月22日から10月12日までの間、渋谷の街を中心に、東京のあちこちでバラエティに富んだ音楽イベントを行う『RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018』のキャンペーンの一環なのだ。昨年の東京初開催を皮切りに、ニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、サンパウロ、トロント、イスタンブールなど現在では世界各都市に広がりを見せている本イベントだが、今年はまったく想像できなかった場所で、想像を超えた音楽体験を、予想外なアーティストの組み合わせで行うという、どれもこれもが型破りな企画ばかり。開催期間はまさに「音楽の解放区」というテーマにふさわしいライブが毎日繰り広げられていく。気になったいくつかのイベントをご紹介しよう。

 まずは9月22日に行われる『62 MINUTES YAMANOTE LOOP』。山手線の車両を丸ごと貸し切って、一周分(34.5キロメートル)を運行しながらライブを行うという前代未聞のイベントだ。東京の景色を楽しみながら、音楽に熱狂するという62分間の体験は、中々味わえない興奮と感動を得ることができるだろう。ちゃんみな、Licaxxxという新進気鋭のラッパー&ビートメイカーと、日本のハウスミュージックのレジェンドである寺田創一のomodaka名義という布陣が、史上最高の山手線の旅を盛り上げてくれるはずだ。

 翌、9月23日にはベルサール渋谷ガーデンにて昨年、4つのステージが会場の四方に設けられ、次々にアーティストたちがパフォーマンスを行うという方式で話題となったイベント『SOUND JUNCTION』が行われる。今年は、きゃりーぱみゅぱみゅ、向井太一、 RHYMESTER、Survive Said The Prophetが出演。渋谷の交差点を模したというオーディエンスエリアをそれぞれのステージに向かって自由に移動できたり、サプライズな演出、スペシャルゲストが登場するなど、常に観客に驚きと感動を与える演出が楽しめるようだ。

 ライブだけでなく、ライブストリーミングで楽しめるイベントもある。10月2日に配信される『LOST IN KARAOKE』ではカラオケ館西武新宿駅前店を丸ごとジャックして、あっこゴリラ、ゆるふわギャングをはじめとしたアーティストたちが、パフォーマンスやトークを行い、10月6日配信の『plug (24 Hours)』では24時間ノンストップでライブ中継を行うなど、東京から全国に向けて、日本最前線の音楽が届けられる。

 この他、Zeebraがキュレーターとして、1本のマイク、シンプルなビートのみという極限までそぎ落とされた環境で、一人のMCがどのようなフリースタイルを生み出せるのかを試みる『64 Bars』が渋谷のSOUND MUSEUM VISIONでライブギグとして行われたり、上野にある東京国立科学博物館では、やくしまるえつこによるインスタレーションと相対性理論が「わたしは人類」を演奏する100名限定のライブパフォーマンスが行われたりと、シチュエーションによってどんな科学変化が起こるのかと胸を踊らせてしまうような企画も満載だ。

 かつて音楽は街と強く紐付いていた。地域の文化が音を生み、そのメロディが都市を彩っていた。人が集まり、その分だけ多様性を手に入れた都市の中心には音楽が鳴っていて、レコードショップの近くにはファッションやフードがあり、人はそこを循環してカルチャーを構築していった。しかし、再開発や音楽文化の衰退と共に、いつしかその環は切れてしまった。レコードショップは姿を消し、ファストファッションやフードチェーン店が立ち並ぶのが、今の渋谷の姿だ。ここでなくても手に入るものしか、ここにはない。

 その渋谷が街一丸になって、今一度「音楽の解放区」になろうと叫んでいる。もし、この叫びがあなたの胸に響いたのであれば、ともにこのイベントを楽しもうではないか。開催期間だけでなく、この先もこの音楽が鳴り止まないように。音楽を解放する街にできるアクションは、ここからきっと起こせるはずだ。(石川雅文)

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