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母と息子の新たな物語、舞台版「母と暮せば」富田靖子&松下洸平が決意語る

ナタリー

18/7/27(金) 16:51

こまつ座「母と暮せば」製作発表より、左から富田靖子、松下洸平。

こまつ座「母と暮せば」の製作発表が本日7月27日に東京・紀伊國屋ホールで行われ、脚本を手がける畑澤聖悟、出演者の富田靖子、松下洸平、こまつ座代表の井上麻矢が登壇した。

「父と暮せば」の対になる作品を残すという井上ひさしの構想を受け継ぎ、山田洋次が製作した映画「母と暮せば」は、長崎で被爆した母・伸子と亡き息子・浩二の幽霊の交流をつづった作品。脚本を畑澤、演出を栗山民也が務める今回の舞台版は、「父と暮せば」「木の上の軍隊」に続く、こまつ座「戦後“命”の三部作」の最後の1作となる。

自身の初舞台が井上ひさしの「十一ぴきのネコ」だったと言う畑澤は、井上作品との浅からぬ縁について述べ、「井上さんは神様のような存在なので、『母と暮せば』を担当させていただけることを光栄に思います」と挨拶。7年ぶりの舞台出演となる富田は「映画で吉永小百合さんがやられた役を自分が演じるなんて……! 『なんで私、このお話を受けちゃったんだろう』というプレッシャーでクーッ!となっているところです」と茶目っ気たっぷりに話しつつ、「どこまでたどり着けるかわかりませんが、一生懸命やりたいです。あとは息子(松下)に任せたいと思います(笑)」と松下に視線を送った。

息子役の松下は母役の富田と微笑みを交わしたあと、沖縄を舞台に2人の日本兵を描いた自身の出演作「木の上の軍隊」について述懐。「人と人との争いから生まれる悲しみを、忘れてはならないものとして次の世代に届けられるように、僕たちはお芝居と向き合っていかなければなりません」と真摯に述べ、「プレッシャーはありますが、畑澤さんの真っ直ぐな戯曲、栗山さんの繊細で美しい演出、そしてこの作品を、俳優として楽しめるような余裕が持てれば」と抱負を語った。

ここで井上麻矢が、演出の栗山、協力・監修として本作に携わる山田からのコメントを代読。これを受け、畑澤は「映画の魂を受け継ぎながらも、違うものを作っていかなければなりません。また二人芝居の教科書であり、“死者と生者”というテーマを演劇で扱うときの教科書でもある『父と暮せば』と比較される宿命もあります」と戯曲化にあたっての苦労を語る。一方で、「舞台版は母と息子に焦点を当てた二人芝居になるため、映画で重要なファクターの1つだった町子(浩二が思いを寄せる女性)が登場しません。こういった“不在”をどう表現するのかが、演劇の力の見せどころだと思っています」と意欲を見せた。

続く松下は「以前、栗山さんとお話した際、『一切の妥協を許さない作品になる』とおっしゃっていて、その言葉に栗山さんの覚悟を感じました。戯曲に込められた畑澤さんの熱い思いを引き継いで、『父と暮せば』とは違う母と息子の物語を作っていければと思います」とコメント。そして母・伸子役を務める富田は「大切にしたいのは、息子を失った喪失感。癒えることのない傷と向き合いながら、伸子を演じていきたいです」と思いを語った。

「母と暮せば」は、10月5日に紀伊國屋ホールで開幕する東京公演を皮切りに、10月から12月にかけて全国各地で上演。チケットの前売りは8月4日に開始される。

こまつ座 第124回公演「母と暮せば」

2018年10月5日(金)~21日(日)
東京都 紀伊國屋ホール

2018年10月27日(土)
茨城県 水戸芸術館 ACM劇場

2018年11月3日(土・祝)
岩手県 花巻市文化会館

2018年11月17日(土)
滋賀県 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール

2018年11月23日(金・祝)
千葉県 市川市文化会館 小ホール

2018年12月1日(土)
愛知県 春日井市東部市民センター

2018年12月8日(土)
埼玉県 草加市文化会館

2018年12月11日(火)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

原案:井上ひさし
作:畑澤聖悟
演出:栗山民也
協力・監修:山田洋次
出演:富田靖子、松下洸平

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