実話を基にしたデヴィッド・リンチ監督の名作『エレファント・マン』が、40周年を迎え4Kで復活。とあれば、これは劇場で観ないわけにはいかない。光と闇、明と暗に彩られたモノクロ映像の繊細な美しさは、やはり大画面で観てこそ堪能できるものだ。 19世紀末のロンドンで、極度の変形を持って生まれエレファント・マンと呼ばれたジョン・メリック。そんな彼が医者との出会いをきっかけに、人並みの生活と尊厳を取り戻していく。彼を見つめるリンチの眼差しに痛いほどの愛情があふれ、その一挙一動を観ているだけで胸が掻きむしられる。 部屋でひとり詩を朗読したり、窓から見える教会の模型を作ることに、この上ない幸福を感じるメリックの純粋さと孤独は、彼に好奇の目を向け、追いつめる大衆のおぞましさと対照を成す。マスクの陰で名演を披露するジョン・ハートがみごと。