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「一番大きなハードルは頭を使うこと」有澤樟太郎が挑む二人芝居『息子の証明』

ぴあ

有澤樟太郎 撮影:曽我美芽

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有澤樟太郎と山下容莉枝による二人芝居『息子の証明』が8月25日(水)に東京・博品館劇場にて開幕する。

脚色・演出はタカハ劇団の主宰で舞台『魔法使いの嫁』(脚本・演出)、ドラマ『ここは今から倫理です。』(脚本)等を手掛ける高羽彩、脚本はテレビ『科捜研の女』(脚本)、映画『魔進戦隊キラメイジャーVSリュウソウジャー』(脚本)等の下亜友美が務めるオリジナル作品。

果たしてどのような作品になっているのか。稽古が始まって3日後に、有澤に話を聞いた。

風通しのいい現場でそれぞれが挑む“新たな試み”

――お稽古が始まって3日だそうですが、いかがですか?

二人芝居なので単純に台詞量が多くて苦戦しています(笑)。まだ立ち稽古よりも本読みの段階なので焦ってはいないですが。

――二人芝居も挑戦ですよね。

はい。ただ今作は、山下(容莉枝)さんも演出の高羽(彩)さんも、“新たな試み”として挑んでいらっしゃって、「みんな同じだ」と言ってくださるので、変なプレッシャーは感じずにいられています。とにかく団体戦というか、カンパニーでみんなで頑張っていこうという感じです。高羽さんが「風通しのいい現場にしましょう」「3人は年齢差もあるけど、意見を交換し合って、行き詰まることがない現場に」と言ってくださったのが救いで、とにかくたくさん話をしながら稽古をしています。

――高羽さんと山下さんも新たな試みなのですか。

高羽さんはご自身で作・演出をされる方で、他の方が書かれた脚本(今作は下亜友美が脚本を手掛けている)を演出することはあまりないそうで、そういうところが新たな試みだとおっしゃっていました。山下さんは二人芝居が初めてなんだそうです。あれだけのキャリアのある方なのに。

――え! 思ってもみなかったです。

そうなんですよ。だからそれぞれの挑戦が詰まった作品になりそうです。もちろん僕自身も、初めてなことは多いですし、まだまだ未熟なので、鍛えられています。

――脚本を読んで、どんな作品だと感じられましたか?

「親子」がテーマになっているのですが、僕が当初想像していたところとは違う角度から描かれているなと思いました。じんわりくる温かいストーリーになると思っていたのですが、ちょっとひねくれた要素もあったりして。最後はいい話だなとちゃんと思える作品です。

――どんな雰囲気の芝居になりそうですか?

緊張感のある芝居にはなると思います。僕が演じるリアル(役名)と山下さん演じる母親は、親子とはいえ、仲のいい親子ではないんですね。会うのも8年ぶりですし。そこにある緊張感、距離感、ストレス、みたいなものは常になくちゃいけないと思うので。

「リアル」は……チマチマしてますよ(笑)。

――有澤さんが演じるリアルはどんな人物と捉えてますか?

リアルは、母に対してわだかまりはありつつも、女優である母に仕事の話をしに会いに行きます。でもいざ8年ぶりに会うと、言いたいことも出てくるし、「なんであの時」って自分からふっかけちゃったりする。けっこうリアリティのある人なんじゃないかなと思います。性格的には繊細……チマチマしてますよ(笑)。

――チマチマ(笑)。

チマチマして理論的。子供の頃から感情的な人(母)がそばにいたから、その人にマウントを取れるように理論的になっていったような人で。でもよくいるじゃないですか、論破する人。僕、苦手なんですけどね。

――(笑)。そういう役をどう演じようと思われていますか?

今回は、僕がリアルに入り込んでお芝居するというよりも、僕の身体を借りたリアルがいて、僕がリアルの気持ちを代弁するような感覚です。寄り添ってあげるようなイメージ。だから痛いほど気持ちはわかるし、まだまだ子供なんだなっていうところもみせていけたらいいなと思っています。リアルは言いたいことが言えなくて、全部お母さんのせいにしちゃうし、お母さんは愛を持ってリアルに接しているのに、それを全然受け取らないので。

――リアルくんは劇中で何度も、お母さんのちょっとした一言から、過去のお母さんとの記憶、しかも嫌な記憶がズラズラズラッと出てきますよね。だから心の中でずっと終わらないことがあるんだろうなと感じて、少し苦しくもなりました。

実はそこは僕も気持ちがわかる部分です。多分お母さんはそんなつもりなかったような言葉も、リアルくんは繊細だから、自分の中で勝手に広げちゃうんですよね。それでコンプレックスになっちゃう。これは割と皆さんあるんじゃないかなと思います。

――みんなにあることだと思うと、リアルくんがそこをどう乗り越えていくかはひとつ光にもなりますね。

はい。ちゃんと光が差す瞬間があるので。そういうところを見てほしいです。

山下さん、高羽さんとの作品づくりから学ぶ「頭を使う」演技

――山下さんはどんな方ですか?

やさしいです。前向きで、すごくチャーミングで、一緒にいるとオーラで癒されます。すごく包容力のある方で寄り添ってくださいますし、だけどお芝居との切り替えのスイッチがあって、ギャップがすごいんですよ。

――山下さんの役は、かわいく演じようと思えばどこまでもかわいく演じられるようなお母さんだなと思いましたが、現段階ではどうでしょうか?

実際、かわいいです(笑)。だけどやっぱりそれだけではないので、張り詰めた部分もあって。だから稽古が終わって家に帰るとすごく疲れているんですよ。芝居の内容がこんなに影響するんだって改めて思いました。

――引きこまれているんでしょうね。

はい。でもすごく勉強になります。山下さんとビジュアル撮影をした時に、とても自由に楽しんでいらっしゃったんですよ。ビジュアル撮影ってある程度ポージングも決まっているし、そんなに動かないものだと思っていたのですが、山下さんは、「こういう動きはどうかな?」「こういう動きは?」ってのびのびとやっていらっしゃって。

――こんなふうにしていいんだ!って安心しますね。

はい。自分で自分を勝手に止めちゃう壁みたいな、フィルターみたいなものができて、そういうのはなかなか出せなかったので。山下さんの姿を素敵だなと思いました。

――演出の高羽さんとはどのようなお話をされていますか?

ずっと話をしています。こんなに本読みをしっかりできる稽古はなかなかないなと思うくらい、一つひとつの台詞をみんなで紐解いていく作業をしているところなので。高羽さんはヒントをくださって、的確に導いてくださいますし、僕も疑問があればすぐ聞けます。高羽さんがおっしゃっていた「風通しのいい現場」になっているんだと思います。

――徹底的に紐解いてから、立ち稽古に入るという感じなのですか?

はい。実は今回、最初はあまりにも台詞が覚えられなくて「どうしてだろう」と思っていたんですよ。でもこの3日間、みんなで紐解きながら本読みをする中で、リアルという役が自分に入ってきて、解釈も深まってきたら、びっくりするほど台詞が覚えられるようになりました。今までキャパシティが30くらいだったのに、180くらいに広がって。

――6倍!

なぜここでこういう台詞が言いたいんだろう、というようなことがなくなってきたからだと思います。台本の読み込みって大事なんだなと思いましたし、この仕事はめちゃくちゃ頭を使うんだなってことも痛感しました。以前、ある演出家さんに「頭を使いなさい」と言われたことがあって、その意味がここにきてやっとわかりましたね。今回は頭を使うぶん二倍疲れるんですけど、すごく楽しいです。

目でも緊張感が伝わるような、ふたりだけの空間をつくってみたい

――現時点で、演じ手としてはどんな脚本だと思われていますか?

演じる側としては落とし穴がいっぱいある脚本だと思います。リアルが何を持ってここにいるのか、という目的のようなものを明確にしておかないと、お客さんもサラッと見ちゃう作品になりそうで。だからちゃんと目的を忘れないようにしなきゃと思うのですが、演じているとついつい楽しくなって目的を忘れちゃう時があります。そういう落とし穴がありますね。そこは丁寧にやりたいです。

――体力を使いそうですね。

はい。しかも一回もハケずに舞台上に居続けますしね。集中力も体力もいる芝居になりそうです。

――有澤さんご自身は、この物語からどんなことを思われましたか?

言わなくていいこともそりゃありますけど、言っていいことのほうが多いよなと思いました。言わずにため込んで、悪いイメージがどんどん膨らんでいくのはよくないなって。わだかまりをなくすためには言葉にする。これは親子に限らず人間関係にも言えると思いました。ただ僕自身は、けっこう母と頻繁に電話したりして、仲はいいほうなんですね。

――電話でどんな話をされるのですか?

この前は「オリンピックのあの選手と弟が似てる」「カッコいい」「そりゃモテるわ」って連絡が来ました(笑)。僕のことも応援してくれていて、舞台を観に来たり、記事が掲載された雑誌を買ってくれたり、写真を飾ってくれたりもします。

――そういう有澤さんにとってはリアルという役はなかなか共感できないものですか?

でもなんか共感できるんですよね、不思議と。と同時に、母親にも感情移入してしまいますね(笑)。

――今作でチャレンジしたいと思われていることはありますか?

今年『スルース~探偵~』という、吉田鋼太郎さんと柿澤勇人さんの二人芝居の会話劇を観劇した時に、二人芝居の概念が壊されました。台詞の掛け合いだけじゃなくて、一つひとつの動きが洗練されていて、緊張感があって、すごく面白くて。だから今回そんなふうに、耳だけじゃなくて目でも緊張感が伝わるような、ふたりだけの空間をつくってみたいです。今はまだいっぱいいっぱいで道のりも長いですが、どんな空間になるのか、楽しみにしています。

――では最後に、これからの稽古でがんばっていきたいところを教えてください。

目的を忘れず、リアルとしてやりたいことを明確にして、観る方にわかりやすく届けたいです。でもまずは楽しめる境地までいきたいですね。出来上がった時に見える景色は素晴らしいと思うので。今回は初めてのことが多いぶん楽しみなことも多いですし、山下さんと高羽さんと、しっかり頭使ってやっていきたいなと思います。僕にとって一番大きなハードルはやっぱり頭を使うことだと思うし。

――そのぶんきっと今までにない有澤さんが観られるということですよね。

はい。演じ終わった後に少しでも大人っぽくなっていたらいいな。自分としてもすごく成長できる作品だと思っています。

取材・文:中川實穗 撮影:曽我美芽

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二人芝居『息子の証明』
2021年8月25日(水)~8月29日(日)
会場:東京・博品館劇場

チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2120315

★千秋楽の8月29日(日)公演はPIA LIVE STREAMにてライブ配信あり
https://w.pia.jp/t/proof-of-son-pls/

・8月29日(日) 12:00
ライブ配信特典:有澤樟太郎×山下容莉枝×高羽彩(演出)鼎談 配信
・8月29日(日) 16:00
ライブ配信特典:終演後、楽屋裏から有澤樟太郎、“千穐楽お疲れ様でした” 生コメント配信
※共にアーカイヴ視聴:9/5(日)23:59迄、販売期間:9/5(日)22:00迄(ライブ配信後に再配信処理を行うためご覧いただけない時間があります)

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