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KMNZ×ORESAMA特別対談 バーチャルとリアルの垣根を感じない“ぶつかりあい”の音楽制作

リアルサウンド

21/3/14(日) 12:00

 2020年8から9月に渋谷の展示スペース「3.5D」で開催された『CONNECTED OVER THE DIMENSION』展。そのコンピレーションアルバム『CONNECTED OVER THE DIMENSION』が発売される。リアルサウンドでは、KMNZと春猿火の2組へのインタビューに続いて、今作でコラボ曲「ファジータウン」を制作したKMNZとORESAMAの対談を行った。「次元を超えても、繋がる私たち」という展示のテーマに沿うように、二次元/三次元のアーティストによるコラボレーションによって完成した同曲について聞いた。(編集部)

ファジータウン / KMNZ × ORESAMA

バーチャルとリアルの垣根は全然感じません

ぽん(ORESAMA):小島くんはレコーディングでデイレクションも担当していたんですけど、私はKMNZのお2人とは、直接話すのは今日が初めてなんですよね。

小島英也(ORESAMA):ああ、そうか!

LITA(KMNZ):そうだ!

LIZ(KMNZ):よろしくお願いします!

――まずはお互いのことを知ったきっかけや、そのとき感じた魅力などがあれば教えてもらえますか?

LITA:私は今回の「ファジータウン」でコラボすることが決まってからORESAMAさんの曲を初めて聴いたんですけど、色んなタイプの曲があってすごいなぁと思いました。80年代のディスコが現代風にアップデートされていて、「懐かし新しい」みたいな、めちゃくちゃお洒落だと思うんです。特に私は、「Morning Call」と、「Dressup cover」(昨年はじまったセルフカバーシリーズ)もされている「カラクリ」が好きですね。高い声の女性が出す低い声が好きなんで、「カラクリ」のぽんさんの歌が艶っぽくて好きです。

ぽん:マニアックですね(笑)。

LITA:ほんとですか?(笑)。トラックで言うと「秘密」が好きで、このトラックにめちゃめちゃ「ラップを乗せたい!」と思いました。

LIZ:聴いてみたい!

LITA: 「秘密」のぽんさんは、ちょっとラップ的な、ポエトリーリーディングっぽい歌い方をしていますよね。もう何でもできる人なんだなぁ、と。

LIZ:私は、KMNZチームのプロデューサーの方に「こんなお洒落なユニットがあるよ」と教えてもらったのが最初に知るきっかけだったと思います。どの曲を聴いても、ORESAMAの曲だと分かる雰囲気があって、すごく羨ましいなぁと思っていました。「いいなぁ、それ!」って。

LITA:それってすごく大事なことですよね。

LIZ:最初に聴いたのが「オオカミハート」で、それが好きでずっと聴いてました。

――特にどんなところに魅力を感じました?

LIZ:うーん、やっぱり――。

ぽん:(LIZさんの話す)声がめちゃくちゃかわいい……!

全員:(笑)。

LITA:聞き慣れ過ぎて、LIZの声がかわいいのを忘れてました。

LIZ:(笑)。いや、でも私はぽんさんの声がすごくかわいいと思っていて、しかも、「かわいい」と言って想像するのとはちょっと違う「かわいい」だと思うんです。そこが好き。

LITA:分かる! それに、ORESAMAの曲はどの曲もよくて……「スタッフも知ってたんなら、早く教えろよ!」という感じでした(笑)。

――ORESAMAの2人はどうでしょう?

ぽん:私も今回のコラボのお話をいただいてから、初めてKMNZさんの曲を聴かせていただきました。小島くんはどうだったの?

小島:僕は3年ほど前に「VR – Virtual Reality」を聴いたことがありました。でも、そのときは曲から入ったので、2人がバーチャルな存在だとは知らなかったんですよ。

LITA:それが一番嬉しいですよ!

小島:「『VR – Virtual Reality』という曲がすごい」という話を聞いて、実際に聴いてみたらたたみかけるようなクールなラップがはじまって、「かっこいいアーティストが登場してきたな」と思ったのを覚えています。

ぽん: LITAさんのかっこいい声と、LIZさんの可愛らしい声のバランスが素晴らしいし、役割分担がしっかりしていて、聴いていてすごく病みつきになりますよね。

LITA&LIZ:(照れながら)えへへへへ。

ぽん:中でも、私は「GALAXY」が好きでした。聴き終わったあとに自然と前向きになれる感覚があって、グッとくると同時に心がスッキリするというか。この曲の魅力を広げるMVがクラウドファンディングだったというのも、ファンの方の愛や期待を感じるようで素敵だと思いまったことでした。

――大事な話かもしれないので聞かせてもらいたいんですが、KMNZにとって、バーチャル/リアルの垣根を意識せずに曲を楽しんでもらうのは大切なことだと思いますか?

LIZ:めちゃくちゃ大事です。それって、純粋に「音楽を楽しんでくれている」ということだと思うので。

LITA:「VTuberって、二次元が好きな人じゃないと楽しめないんじゃないか」という偏見がまだまだあって、中にはVTuberというだけでとっつきにくいと感じる人もいると思うんです。そんな中で、音楽を通して私たちを知ってくれて、「バーチャルだとは知らなかった」と言ってもらえることって、実は一番の誉め言葉なんじゃないかとも思っていて。 

小島:なるほど。

LITA:そうやって音楽を通して色んな人と繋がったり、VTuber文化を広めていくことで、バーチャルとリアルの境目が薄くなっていったらいいな、と思います。「二次元に詳しくなくても、誰でも入ってきていい文化なんだよ!」ということが伝えられたらいいな、と。

小島:僕も、リアルでもバーチャルでも、あまり垣根は感じていなくて、今回制作していても、ひとつのアーティストとしてまったく違いはないのかな、と思います。

ぽん: ORESAMAがボーカリストとコラボレーションをするのは今回が初めてなんですけど、実際に制作をしていても、バーチャルとリアルの垣根は全然感じませんでした。VTuber文化というものが、自分にとってかなり馴染み深くなっていることもあるんだと思いますけど、LITAさんとLIZさんが二次元の見た目をしていても、やっぱりひとりの人として見てしまうというか。歌や言動、見せ方も含めて、キャラクター性があるにしても、その人自身の魅力に魅せられているので、その垣根ってもうないんじゃないかな、と思います。

ORESAMAさんの曲はワクワク感がある

――お互いに感じる共通点/相違点のようなものも思いつきますか?

ぽん:KMNZさんって、クレジットによくKMNCREW(ケモノクルー/スタッフの総称)という名前が入っていますけど、ORESAMAも、私たち2人だけではなくて、チーム全体で制作をしている感覚なので、そこは共通しているのかな、と思います。

LITA:団体戦というか、チーム戦ですよね。あと、私からすると、(曲を通して)「世界観をつくっていきたい」という雰囲気を感じるところが似てるのかな、と思います。

――確かに、ORESAMAの楽曲を聴いていると、どこかキラキラとした別世界に連れて行ってくれるような感覚がありますよね。

LITA:ORESAMAさんの曲って、ワクワク感があると思うんですよ。

ぽん:もしかしたら、お互いにバーチャル/リアルという場所から、真逆のところに行こうとしているのかもしれない(笑)。

小島:あと、ぽんちゃんは違うかもしれないけど、僕は根暗なタイプなので、KMNZの2人を見ていると、「すごく明るいなぁ」と思います。この前、『フォールガイズ』のゲーム配信を見ても、「こんなに楽しそうにプレイするなんて、自分にはないものすぎてすごい」と思ったんですよ。そうやって人を楽しませてくれる魅力があるというか。

ぽん:確かに。小島くんはわりとジメジメしたゲームしてそうだもんね(笑)。

小島:それは言い方がおかしいでしょ(笑)。

LITA&LIZ:(笑)。でも、ORESAMAの楽曲自体はあんなにキラキラしていて明るい曲なのに、普段は逆なんですね。

ぽん:私たち、逆なんですよ。根が明るいわけではないから、自分たちも非現実的なところに行きたい、という気持ちがあるんだと思います。

LITA:なるほど。だからこそ非現実感に惹かれるかもしれない、と。

ぽん: KMNZのお2人は、やっぱり歌声の役割分担が聴いていても気持ちいいですよね。

小島:そこって大きな違いですよね。ひとりの声をどう編集しても、2人分の個性にはならないと思うので。KMNZさんの場合は2人の個性がとてもいい形に混ざり合っていて、そういうところはひとりのボーカルではできないところだと思いました。もちろん、ひとりのボーカルにはひとりならではのよさがあるので、どちらがいいという話ではないんですけどね。僕は声って一番説得力のある、個性の強い楽器だと思うんですけど、今回の「ファジータウン」は、3人分の個性が入ってくる曲なので、つくりかたもこれまでの僕らの楽曲とはまた全然違っていて、余計にKMNZの2人の個性を感じました。

ぽん:2人のラップで、曲の世界観を2倍にも3倍にも広げてもらった気がします。本当に「化学反応が起きた」という感じでした。

「ファジータウン」のラップは初めて自分の中でもしっくり来た

――では、「ファジータウン」のお話を詳しく聞かせてください。そもそもこの楽曲は、昨年8~9月に渋谷の3.5Dで行なわれた『CONNECTED OVER THE DIMENSION』展のために生まれたものでした。まずは当時の展示のことを思い出してもらえますか?

LITA:展示のテーマが「次元を超えても、繋がる私たち」というもので、KMNZの場合はこれまでも馴染みのあるテーマではあったんですけど、あのときはご時勢的にできないことがたくさんある中で、(「次元を超えても、繋がる」という言葉を)これまでとは違った形で捉えていました。夏にKMNZで3Dライブをやったときも、「画面越しなら会えるから」ということを、MCで何回か言ったと思うんですけど、そういう意味でも、「次元を超えても、繋がる私たち」だったのかな、と思います。

LIZ:とにかく、まずは渋谷の街に自分たちがどでかく映っているのが印象的で、期間中に何回も行ったんですよ。楽しかったぁ。ママに自慢しました。

ぽん:かわいい……。

LITA:ちょっとみんな、LIZのことを赤ちゃんだと思ってませんか!(笑)。

――会場になった3.5Dは、「VR – Virtual Reality」のMVで映っていたスペイン坂の近くでもありますね。

LITA:そうなんです。中もめっちゃお洒落だったよね。

LIZ:お洒落だった!

LITA:高級なセレクトショップみたいに、ひとつひとつの商品がめちゃくちゃ間を空けて置いてある、みたいな。

ぽん:小島くんは行けなかったんだよね?

小島:そうなんですよ。会場の近くを何とかサーっと通り過ぎるくらいで。

ぽん:何でだよ(笑)。

小島:でも、あの時期は僕らもリアルでのライブがなかなかできなくなっていく中で、バーチャルな方とのコラボレーションで、表現の幅を広げられるのかもしれない、という気持ちでしたし、もともと興味を持っていたジャンルだったので、単純に楽しかったです。

ぽん:「次元を超えても、繋がる私たち」というテーマでありつつも、参加メンバーの中で私たちだけがバリバリに三次元だったので、最初は「いいのかなぁ」とも思っていたんです。でも、会場で初めて私たち以外の楽曲も聴かせてもらったときに、3曲ともそれぞれに全然色が違って、感動したのを覚えています。私たちも、KMNZさんとの化学反応によって味を出せていたのを、そのときに改めて感じました。

――「ファジータウン」の制作は、どんなふうに進んでいったんですか?

ぽん:展示のテーマが「次元を超えても、繋がる私たち」だったこともあって、最初にスタッフの方から「KMNZさんとORESAMAの2組が、イベント会場の渋谷を舞台にパーティーを繰り広げていくようなイメージなんです」という話をいただいて。そこから小島くんが曲をつくり、私やKMNZさんが歌詞を乗せていった、という形です。私はこの2組が先導して、バーチャルとリアルが入り混じった、仮想と現実とが曖昧な街でパーティーを繰り広げる、ということを頭に置きながら歌詞を書いていったんですけど、KMNZさんサイドがバチバチにかっこいいラップを乗せてくださったので、それを聴いて感激しました。

LITA:でも最初、リリックはめちゃめちゃ迷いました。書きはじめた頃は全然歌詞が出てこなさ過ぎて、たぶん私、最初の締切を守れなかったと思うんですよ。

ぽん:歌詞って難しいですよね。

LITA:難しいです。KMNZはこれまでも「繋がる」ということをテーマにした楽曲が多かったので、他の曲とかぶらないかということも考えていて。でも、「ファジータウン」で初めて、私が今までやりたかったラップを詰め込めた感覚がありました。細かいところで言うと、私が〈highな夢の街へ急ぎな〉とラップして、その後すぐにLIZが(やや舌ったらずな声で)〈highな音の街へようこそ〉って言うところがあるんですけど――。

LIZ:それ私の真似……?(笑)

LITA:(笑)。そんなふうに、この曲では同じワードでバトンを渡すようなラップをずっとやりたいと思っていました。そもそも、ちゃんとお互いのパートを分けて歌詞を書いたのは初めてだったので、相方に合わせてラップをつくったのも、私が歌詞を書いたものでは初めてで。「相方にこれを歌ってほしい」「これなら合うかも」と考えながら書いていきました。

ぽん:LIZさんがラップしている〈全然足りないまだ足りない〉のところ、いいですよね。

LITA:ああ、嬉しいです! あそこはやっぱり、私じゃなくてLIZのパートだと思うんです。相方のラップで聴きたい、というのがあって。

LIZ:私、ラップは苦手なんですけど、「ファジータウン」のラップは初めて自分の中でもしっくり来た感じがしました。それでLITAちゃんに「めちゃめちゃ歌いやすいけど、どしたん?」と聞いてみたら、「いや、お前に合うと思って」と言われて。

ぽん:すごい!

LIZ:この曲のラップは本当にやりやすかったです。

LITA:新しく曲を考えるときに、「KMNZってどんなラップが得意なんですか?」と聞かれて、KMNZもクルーも一致で「ファジータウン」を参考に出してました(笑)。あと、実は最初の「犬と猫が導くよ Fuzzyに」という部分は、KMNCREWからアイデアをもらって、そこから広げていきました。悩んでいる時間も、めちゃくちゃ楽しかったですね。

ぽん:〈わかるわかる/共感の嵐/そこに自分の意見なんてなし/大事なのは同調と愛嬌/ あーあ/これじゃどうしようもないよ〉という歌詞も、すごくいいですよね。

LITA:ありがとうございます! そう言ってもらえると嬉しいです。

コラボではなく、お互いの「ぶつかりあい」だった

――ぽんさんは、今回はどんなふうに歌詞を考えたんでしょう?

ぽん:ORESAMAの場合、これまでは自分以外の声が曲に入ることがなかったので、今回は曲の中で自分の立ち位置を考えること自体が初めての経験でした。そこで、サビのメロディを活かして、曲の中での潤滑油のような役割を目指そうと思って、言葉に迷ったらとにかくハマりのいいものを優先していきました。私もすごく新鮮で楽しかったです。

――ぽんさんの歌詞は、みなさんが渋谷で集まって繰り広げるパーティーの雰囲気が伝わってくるというか、楽曲全体をまとめてくれるような雰囲気がありますね。

ぽん:KMNZさんのラップで具体的なことを歌われるんだろうな、と想定して、私が歌うサビの歌詞は、あまり輪郭のあるものにはしないようにしていたんです。その辺りは小島くんにも「ラップが乗るから、ぽんちゃんの歌詞は大きいくくりの歌詞の方がいいんじゃない?」と言われていましたね。

LITA:私がリリックを迷った理由もそういうところで、曲の中で、どの要素を取ろう、ということを考えるのがすごく難しかったんです。なので、そうやって色々と考えてくださって本当にありがたかったです。

――小島さんが作曲の際に意識したことと言いますと?

小島:やっぱり、3人の声をどう楽曲に乗せたら、1曲で3人のいいところが全部味わえるようになるんだろう、というところをかなり考えました。3人でずっと歌うのか、ぽんちゃんもラップをするのか、KMNZさんにサビをお任せするのか……と完成版以外にも色々なパターンを考えて、どれが一番いいかな、と。この曲は、頭のサビの部分が最初にできたんですけど、それがすごくORESAMAっぽいメロディアスなものだったので、僕らはORESAMAっぽい音楽をつくって、そこにKMNZさんの個性が侵食していくことで化学反応を起こしてみたい、と思いました。なので、トラックのつくりもORESAMAでもよくやるものになっていて、後はここにKMNZさんが入ってきてくれることでどう変化していくか、ということを楽しみにしていました。

――ORESAMAとしてのベストを尽くして、それをKMNZに投げる感覚だったんですね。

小島:いい意味でコラボというより、お互いの「ぶつかりあい」だったんじゃないかな、と思います。お互いのいいところをぶつけ合って1曲にする、みたいな感覚で。

LITA:その理論で言うと、いい曲にしかならないですよね(笑)。あと、「ファジータウン」は、今までで一番レコーディング時間が短かったんです。1時間いくかいかないかで。

LIZ:2回録ったぐらいで終わったんですよ。すごい早かった!

小島:僕はもともと、ボーカリストの人にあまり大きな変更を投げないので、レコーディングが早いタイプではあるんですけど、「ファジータウン」は最初の声出しの時点で2人のラップがよすぎたので、「僕が口を挟む必要はないな」と思ったんです。僕も人生で一番早いレコーディングでした。もともと、歌い込む前の新鮮なトラックを使わせてもらおうとも思っていたんで、短すぎて逆に不安になってないかな、と少し心配だったんですけど(笑)。

LITA:私たちは勘違いしちゃってました。「もしかしてウチら、めちゃくちゃ上手いんじゃね?」って(笑)。

小島:いや、実際に上手いよ!

――小島さんがレコーディングに時間をかけないのは、何か理由があるんですか?

小島:ORESAMAのレコーディングでもそうなんですけど、ボーカリストのみんなもレコーディングに向けて色々なことを考えて臨んでくれるので、そこを大事にしたい、というのが一番大きいですね。

LITA:素敵な考え方。

LIZ:勉強になります……!

LITA:今回、ミックスの仕方もすごく好みで、〈なりたい/やりたい/なればいい/やればいい〉の部分にリバーブがかかる感じも「分かっとる……。そうそう!」という感じでした。あとは、〈もうイケるっしょ胸高鳴り/say 3 2 1〉の部分で、LIZちゃんの声が落ちていくように聞こえるところ。あそこも含めて、めちゃくちゃよかったよね?

LIZ:よかったー!

小島:嬉しい。原型を崩しすぎないようにはしつつ、声で色々と遊んでみたいと思っていたので、そこを気に入ってくれていたならよかったです。

LITA:あと、ぽんさんの一旦静かになるところの歌の響かせ方も好きです。「ああー、よく分かっとる……! ユニットを組んでるだけある……!」って。

LIZ:ぽんさんの魅力を最大限引き出すような雰囲気でめちゃくちゃいいなぁと思いました。

小島:ちなみに、僕の気に入っているところは、さっき話に出たLIZさんが落ちていくところなんですよ。

LITA:あれはやっぱり、落ちていくイメージだったんですか?

小島:僕としては、むしろ宇宙に飛んで行くようなイメージだったんですけど……。

LITA&LIZ:(笑)。

小島:あの部分って、割とクール目な印象もあるパートだったんで、そこに可愛らしさも入れたいと思って、リバーブをかけてみました。

LITA:小島さん的には上に飛んでたんですね……!

LIZ:でも、半分ぐらい解釈一致でよかった(笑)。

純粋にアーティストとして繋がれたことがすごく嬉しかった

――今回のコラボレーションの中で、リアル/バーチャルのコラボレーションならではの魅力を感じる瞬間はありましたか?

LITA:リアルアーティストさんとコラボさせていただくのは、KMNZも初めてだったんですけど、思ったのは、一緒に曲をつくるうえでは「リアルもバーチャルも関係ないな」ということでした。むしろいい意味で、何も違いを感じなかったというか。

LIZ:そう、全然なかった!

LITA:それこそ、純粋にORESAMAさんとKMNZの間で、いい化学反応が起こせたんじゃないかな、と思っているんです。

小島:僕もバーチャルだから、リアルだからという違いは、いい意味で感じていなくて、ただただ本当に楽しい制作でした。僕らにとっても新しい扉を開けてくれるようなコラボだったなぁ、と思います。

ぽん:今回の「ファジータウン」はみんなに聴いてほしすぎて、「展示が終わったあとに、MVになったり、盤になったりしないんですか?」と聞いてみたら、最初は「しません」というお話でした。でも、それが最終的にはこうして叶ったのですごく嬉しいですね。

――だからこそ、今回CDになって多くの人に届く機会ができたのは嬉しいことなんですね。

全員:(口々に)本当にそうですね。

――また機会があれば、2組でやってみたいことはありますか?

LITA:たとえば、一緒にライブができたら楽しいですよね。

ぽん&小島:ああ、やってみたいですね。

LIZ:次元を超えて同じステージに立ってみたい!

ぽん:今ってもう、技術的にも可能なんですか?

LITA:もう何組かやっている方もいるので、全然できると思いますよ! 技術的にも、バーチャルだからできないことというのは、もうなくなってきていると思います。

――ライブでのAR/xR的な演出もどんどん進化していますよね。また、逆にORESAMAの2人がバーチャル空間に行ってVRライブで共演することもできるかもしれません。

ぽん:私たちって、よくイラストにしていただいたりしているので、既に二次元にいたりする面もあって。そういう意味でも実現しやすいかもしれません(笑)。とはいえ、お互いに境目を感じていないからこそ、バーチャルとリアルだからこそやりたいことが逆にあまり浮かばないというか、お互いに純粋にアーティストとして繋がれたことがすごく嬉しかったです。

――次元関係なく、音楽を通して繋がることができた、と。

小島:本当にバーチャルだから、リアルだからということに関係なく、アーティスト同士で集まって楽しく制作させていただきましたし、ORESAMAにとっても新しい引き出しを開けてくれた制作になりました。KMNZさんとの出会いには本当に感謝です。

ぽん:私の声だけで完結しない曲というのは初めての経験で、ORESAMA楽曲にとっても、新しい可能性をかなり広げていただいたな、と思っています。

LITA:今回、私は作詞に対する思いが大きくて、ORESAMAさんが私たちにどんな期待をしてくれているのか、どんな魅力を出してほしいと思っているのかまでを考えながら作詞することはすごく勉強になりました。「ファジータウン」、自分自身でもすごく好きで聴いているんです。自分たち以外の方と一緒に曲をつくっていく経験も、とても楽しかったです。

LIZ: KMNZはラップユニットと名乗っているものの、私はもともと歌の部分を担当することが多いですし、自分自身はできることならラップは避けたい、と思っていたんです。でも、今回KMNZはラップパートのみで、しかも私に合うように色々と考えてくれて……ちょっとラップに対する苦手意識が薄れました。「私、こういうのできるんだ。やるやん」って(笑)。自分の視野が広がったような気がしました。

LITA:私も、「ファジータウン」のラップの腑に落ち方を見て、「LIZにもっとラップをさせられるな」と思いました(笑)。

小島:もしまた機会があれば、今度はぽんちゃん用のラップも書いてもらいたいです。

LITA&LIZ:えー、書きたい!!

ぽん:嬉しい!(「ファジータウン」の高速ラップ部分を歌って)〈なりたい/やりたい/なればいい/やればいい〉……。口、回るかなぁ(笑)。

■リリース情報
『CONNECTED OVER THE DIMENSION コンピレーションCD』
価格:¥3,850(税込)
予約期間:2021/02/05 20:00 〜 2021/03/15 23:59
予約はこちら

<収録曲>
1. 3D – Three Dimension / KMNZ & 春猿火
2. 透明な呼吸 / somunia & ヰ世界情緒
3. ファジータウン / KMNZ & ORESAMA
4. オオゴト (Cover) / KMNZ
5. VR – Virtual Reality (Cover) / 春猿火
6. summer leap (Cover) / ヰ世界情緒
7. 蒼く (Cover) / somunia

<商品内容 >
・コンピレーションCD
・限定コラボアートジャケットカード(3種)

KMNZ公式サイト https://www.kmnz.jp/
春猿火 公式Twitter https://twitter.com/harusaruhi

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