Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

フジロック出演決定のオノ・ヨーコ その音楽家としての功績を振り返る

リアルサウンド

14/4/10(木) 21:00

 現代芸術家でミュージシャンのオノ・ヨーコが「Yoko Ono Plastic Ono Band」として、7月25~27日に新潟・湯沢町苗場スキー場で開催される『FUJIROCK FESTIVAL’14』に出演することが発表され、話題を呼んでいる。

 Plastic Ono Bandは1969年、ジョン・レノンとオノ・ヨーコを中心に結成されたバンドで、メンバーが作品やコンサートごとに入れ替るのを特徴としていた。結成当時は音楽プロデューサーのフィル・スペクターや、ビート文学の旗手として知られる詩人のアレン・ギンズバーグ、LSDなどの幻覚剤による人格変容について研究した心理学者のティモシー・リアリーなどの文化人も参加した。近年はオノ・ヨーコの音楽プロジェクトとしても活発な活動を展開しており、2013年に発売したアルバム『地獄の果てまで連れてって』では、息子のショーン・レノンや小山田圭吾、本田ゆからが参加している。

 現在、御年81歳でありながら、今なお積極的に音楽活動を展開しているオノ・ヨーコ。彼女の音楽性の特徴について、文芸・音楽評論家の円堂都司昭氏に話を訊いた。

「オノ・ヨーコはもともと前衛芸術をやっていた人で、彼女の音楽に対する感覚はポップスやロックよりは、現代音楽や現代芸術に近いものがあったと思います。その後、彼女はジョンと出会ったことでロックのフィールドに入っていくようになり、Plastic Ono Bandとしての活動を始めました。1970年には、ジョンはソロアルバムとして『John Lenon Plastic Ono Band』(邦題『ジョンの魂』)を発表、一方、同作と共通するメンバーでヨーコのほうも双子のようなソロアルバム『Yoko Ono Plastic Ono Band』(邦題:『ヨーコの心』)を発表しています。両アルバムを聴き比べると、ジョンの方が真っ当なロックのアルバムだったのに対し、ヨーコの方は『ア~!』と奇声を上げたり前衛的なパフォーマンスが印象的でした。しかし、そういった表現は当時あまり受け入れられず、ビートルズファンにとってヨーコは異質な存在で、批判の対象にさえなっていたようです。ところがジョンの死後、時代が過ぎていくにつれ、彼女の現代芸術家としての功績も冷静に捉えられるようになりました。

 また、後年にはジョンの音楽性を受け継いだ部分もある息子のショーン・レノンが彼女の音楽活動を支えるようになったこともあって、彼女の音楽性もポップさを増しました。現在のYoko Ono Plastic Ono Bandのパフォーマンスに、昔のジョンとヨーコを思い起こすという往年のロックファンも少なくないのではないでしょうか」

 オノ・ヨーコはまた、ロック・フェスティバルや野外コンサートとの関わりも深い。1974年には当時、日本最大のロック・フェスティバル『ワンステップフェスティバル』に出演し、内田裕也らと共演を果たしている。

「ジョンとヨーコが初期に一緒に出たライブ「トロント・ロックンロール・リバイバル」もフェス形式のイベントで、その演奏は『Live Peace in Toronto1969』(邦題『平和の祈りをこめて』)というアルバムになっています。そう考えると、早くからフェスに参加していたアーティストといえるでしょう。ジョンとヨーコといえば『愛と平和』なので、『愛と平和』を掲げることの多いロック・フェスの雰囲気には似合っているかと。また、彼女自身が現代芸術家としてアイデンティティを確立した60年代は、偶発的な出来事をアートとして捉える思潮があり、『ハプニング』と呼ばれる即興性の高いパフォーマンス、イべントが流行しました。フェスの話でいうと、意外な人との共演もまたハプニングといえるし、そういった意味で、Plastic Ono Bandに驚くような大物アーティストが参加する可能性もあるかも。2009年にアルバム『BETWEEN MY HEAD AND THESKY』をリリースした際の日本ツアーには、細野晴臣が参加しましたからね」

 ロックンロールや野外フェスティバルの興隆とともに歩んできたオノ・ヨーコの出演は、FUJI ROCKにとっても、新たな歴史の一幕となりそうだ。
(文=松田広宣)

アプリで読む