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森川葵、“深夜ドラマの女王”に君臨 『文学処女』『GIVER』『賭ケグルイ』での輝きを考察

リアルサウンド

18/10/8(月) 10:00

 出演する作品ごとに全く別人のキャラクターになりきることから、“カメレオン女優”として、今や映画やドラマに引っ張りだこの森川葵。今年は既に出演映画が3本公開され、最近は深夜ドラマに立て続けに出演してる。『賭ケグルイ』(MBS/TBS)をはじめ、『やれたかも委員会』(MBS/TBS)『GIVER 復讐の贈与者』(テレビ東京)のほか、現在放送中の『文学処女』(MBS/TBS)と、『このマンガがすごい!』(テレビ東京)の「NHKにようこそ!」など、ハードからセクシー系まで何でもこなす“深夜ドラマの女王”と呼べる活躍ぶりを見せている。

 2010年に「ミスセブンティーン」に選ばれ、モデルとして芸能界デビューを果した森川。これまでに『ごめんね青春!』(TBS系)、『渇き。』『チョコリエッタ』『おんなのこきらい』などに出演し、作品ごとに別の顔を見せるカメレオン女優として話題となった。2015年の『ZIP!』(日本テレビ系)の森川特集で彼女は、役作りについて「見た目から役に入っていくので、(髪型を変えると)全然違う子に見えると思っているので、スイッチが入ります」とコメント。役作りに関して「撮影中は何も考えていないですね。無心です。撮影で役を演じている時は、あれ何してすごしてたんだろう?という感じになっちゃいます」と、憑依系女優としての片鱗を語っていた。

 今年に入り、まず強烈なインパクトを残した深夜ドラマが『賭ケグルイ』での早乙女芽亜里役。とにかく狂気で過激な演技で、ツインテールでかわいい女子高生だが、エキセントリックに高飛車で、目をひん剥いてギャンブルに挑み、腹わたが煮えくり返るほどムカつく態度で相手を罵倒する。主人公である浜辺美波が強さを象徴するためにさらに狂気の演技を見せていてたが、それに圧倒され狂い落ちていく森川の自我の崩壊っぷりは、見事なまでのかませ犬役として一役買っていた。過剰な演技というのは他の役者でもよく見かけるが、最高潮と最低潮を行ったり来たりできる極端な演技は、単純に演技の幅という言葉では片付けられない森川の凄みだろう。

 その後に、23時台ではあるが『明日の君がもっと好き』(テレビ朝日系)で演じた丹野香は、自分のセクシャリティーに悩み、昼は工事現場、夜はガールズバーで働くという、男性的な面と女性的な面の異なる顔を見せる非常に繊細で難しい役だった。志田未来とのキスシーンも話題となったが、「台本の中の香自身も男と女どちらが好きなのかイマイチ分かっていないので、その迷いをそのままゴチャ混ぜにして演じようと思いました。その迷いを表現するのに爪に少し細工をしています」(「テレ朝POST」より)と、かつて髪型でキャラのスイッチを入れていたように、揺れる気持ちを爪で表現し、迷いをそのままキャラにする高度な役作りをしている。

 また、『GIVER 復讐の贈与者』(テレビ東京)は、復讐代行組織を創設した謎の美少女・テイカー役。この役は足が悪く動けないという設定で、本部からひたすら座って指示をする役なだけに、今までにない動きのない演技で表現していくため、森川自身も新しいチャンレジだと言っている。そして組織のリーダーなだけに落ち着き、皆から慕われる芯の強さを持ち、母性をも感じさせる存在を演じていた。

 そして、現在話題沸騰中の『文学処女』の月白鹿子役。文芸編集部編集者で、タイトルの通り恋を知らない女の役である。担当になる城田優演じる作家の加賀屋朔がセクシーなだけに、いろんなエッチな妄想を繰り広げる。このドラマで演じる役は、したたかさのないピュアな人物であり、森川自体が色気のある役の印象が薄いだけに、酔ってキスを迫ったり、下着姿で頭を冷やしていたりすると、返ってその妄想や、勘違いの行動がとてもギャップがありセクシーに感じる。あんな子があんなことをするわけがないという行為の裏切りや、寸止めの攻防など、これをデアゴスティーニのように毎週ちょっとずつ発展させていく物語がとてもいじらしい。今まで汚れた役も経験しているにも関わらず、視聴者をドキドキさせる処女キャラになりきっているところもまた、森川の演技のうまさと言わざる負えない。

 森川はドラマの世界に溶け込むのが実に巧みで、新しいことに挑戦し、何でも演じ切ってしまうところに女優としての面白さがある。そんな彼女だからこそ、実験的であったり、作家性の強い作品が多い深夜ドラマとの相性が良いのだろう。その間違いのない演技をする期待感は、もはやカメレオンから、カルト女優への域に到達したとも言える。ただ森川はここに留まることはなく、11月から舞台という女優としての新しい世界へと挑戦する。しかも宮藤官九郎脚本による『ロミオとジュリエット』という全く予想のつかない物語だからこそ森川がどう表現するのか、初舞台への期待も高まるばかり。

(文=本 手)

■放送情報
『文学処女』
MBS/毎週日曜 深夜0時50分〜
TBS/毎週火曜 深夜1時28分〜
原 作:中野まや花『文学処女』(LINEマンガ)
監 督:スミス
制 作:ソケット
(c)「文学処女」製作委員会・MBS
公式サイト:https://www.mbs.jp/bungakushojo/
公式Twitter:@bungakushojo_jp

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