Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

lyrical school、ライブで改めて実感した“集団MCグループの魅力” マイナビBLITZ赤坂ワンマンレポ

リアルサウンド

19/9/25(水) 7:00

 lyrical school(以下、リリスク)による全国ツアー『lyrical school Tour 2019 “BE KIND REWIND” SERIES』がついに始まった。同ツアーは、9月11日に発売したアルバム『BE KIND REWIND』を提げて行われるものだ。リリスクは、ビクターエンタテインメント内のレーベル<CONNECTONE>にて再メジャーデビュー後「LAST DANCE」「Enough is school」「LOVE TOGETHER RAP」とハイスピードで新曲を発表。そして、その勢いのままリリースしたのがこの『BE KIND REWIND』だ。PES、踊Foot WorksのPecoriとTondenhey、Jinmenusagiなどといったクリエイターによるバラエティ豊かな楽曲群は言わずもがな、本作から何よりも感じたのはメンバーのラップスキルと表現力の高さだった。そんななか満を持して開催された全国ツアー。筆者は、9月13日に開催された東京・マイナビBLITZ赤坂でのワンマンライブ『lyrical school oneman live “BE KIND REWIND” at AKASAKA BLITZ』に足を運んだ。

(関連:【写真】lyrical school、マイナビBLITZ赤坂ワンマンライブ

 まずはライブ定番曲「(GET AROUND!)TOKYO GIRLS!!」から。メンバーのなかでもまず目を引くのはrisanoだ。ダンスを披露したかと思えばフロアを動き周り観客を煽っていく彼女に思わず目で追っていると、サビではminanが透明感とクールさを併せ持った声で歌い上げ会場の雰囲気を一気に締めた。再びラップに戻れば、himeが重厚感のある堂々とした佇まいでバースを歌い上げ、hinakoは満点の笑顔とは対照的に鋭いラップを聴かせる。また、yuuが自身のバースで軽快にステージ前を走ると会場からは“待ってました!”とばかりに歓声が湧き上がる。子どものようでいて芯のある彼女の歌声は、一瞬にして心惹かれるものがあるのだ。それぞれのキャラクター性が発揮された同曲。リリスクのライブは初見という人もこのステージを見れば彼女たちの特性がすぐわかるだろう。1曲目にして会場は一気にヒートアップしていく。

 そのままノンストップで「Over Dubbing」、「DANCE WITH YOU」、「Hey!Adamski!」などアッパーな楽曲を披露し会場を沸かしていく。アグレッシブな動きを見せるrisano、アイドルらしいキュートな仕草/表情を崩さないhinako、幼さの中に時折大人な表情も覗かせるyuu、楽曲の雰囲気にしたがって表情を次々変えていくhime、そして大きな動きは見せずとも安定した存在感を放つminan……それぞれ異なる輝きを放ちながら自由に動き回る彼女たちのステージングからは、集団MCグループの魅力を改めて実感させられた。さらにメンバー同士が向かい合い高度なフロウを軽快に歌い上げる様子もなんとも頼もしい。こうしたパフォーマンスは、ワンマンや対バンだけでなくミニライブをも数多く行ってきた彼女たちの経験からなせるものなのだろう。

 また、学生時代に別れを告げ大人になっていく自分自身と向き合う「大人になっても」(作詞:Jinmenusagi/作曲:タイプライター)、ある夏の少年少女の恋模様を描いた「YOUNG LOVE」(作詞:木村好郎/作曲・編曲:坪光成樹、高橋コースケ)、パーティーの一夜を描いた「LAST DANCE」(作詞:大久保潤也/作曲:上田修平/編曲:上田修平・大久保潤也)など瞬間的な時間の美しさや尊さを描いた楽曲からは、制作陣の「リリスクにこそ歌ってほしい」という意図を感じてならない。少女と大人の間にいるような彼女たちが歌うことでこれらの楽曲には説得力が生まれ、聴き手の心に響いていくのだ。それは音源からもひしひしと伝わってきたことであったが、今回ライブを見て改めて強く感じた。また、表現豊かな彼女たちのフロウからは、その制作陣の意図を汲み取っていることがよく伝わってきた。

 同公演では、メンバー作詞バージョンの「S.T.A.G.E」(原曲は2013年)、lyrical schoolの前身であるtengal6の楽曲「perfect☆キラリ」(2012年)のほか「ワンダーグラウンド」(2015年)なども披露された。オリジナルメンバーは全員卒業し、2018年5月から新体制となったリリスク。この選曲には、現在のリリスクに至るまでの物語が透けて見えてきて思わず心迫るものがある。また、同公演のSEではサイプレス上野とロベルト吉野、NONA REEVESなどの楽曲が選曲されていたなかで、2012年に“散開”したアイドルグループ・Tomoton’Pineの「ワンダンス!」も流れていた。同曲といえば、リリスクが今年の『TIF』でカバーし、そのなかでhimeが「今までここに立ったすべてのアイドル/いたからこそある今日のステージ」とラップしていたのが記憶に新しい(Tomoton’Pineは初回TIFから参加していたグループだ)。同公演やSEの選曲などからも、これまで道を作ってきた全アイドルをリスペクトするメンバーたちの思いが感じられたし、それを彼女たちらしいやり方であくまでもピースフルに表現するところにもグッとくる。

 アンコールでは、yuuが袖からちょこんと飛び出しメンバーを先導。整列しながらメンバーが登場する場面では、それぞれ生き生きとした表情を浮かべていたのが印象的だ。そのまま披露されたアルバム未収録の新曲「Bring the noise」は、アイドルらしい愛らしさを含みつつ自由度の高さを感じさせる楽曲だ。一方、同公演で披露されたもう一つの新曲「LAST SUMMER」は洗練されたチルアウトな楽曲で「Bring the noise」とは異なる毛色。どちらも表現力が格段に上がっている今の彼女たちだからこそチャレンジできる楽曲だろう。

 彼女たちのパフォーマンスとBIG-DのDJによって、一時もペースを落とすことなく会場を盛り上げていた同公演。リリスクは、約2時間のライブのなかでアンコール含む27曲を披露。非常に濃密でありながらタイトに仕上げられたステージングには、思わず感嘆するしかなかった。前作のアルバムツアー『lyrical school tour 2018 “WORLD’S END”』でも彼女たちのパフォーマンスの高さを実感させられたが、まさかここまでパワーアップしているとは。まだライブに行けていない人は、今すぐチケットを購入して現在のリリスクを目撃してほしい。(北村奈都樹)

アプリで読む