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銀杏BOYZ、6年9ヶ月ぶりのフルアルバム『ねえみんな大好きだよ』完成記念! 11週連続・峯田和伸インタビュー連載!!

銀杏BOYZ、6年9ヶ月ぶりのフルアルバム『ねえみんな大好きだよ』完成記念! 11週連続・峯田和伸インタビュー連載!!

全11回

第10回

20/11/11(水)

銀杏BOYZの6年9ヶ月ぶりとなるフルアルバム『ねえみんな大好きだよ』が10月21日にリリースされることが決まった。本作は、オリジナルメンバー脱退後、峯田和伸1人になってから初めてのフルアルバムになるのだが、この6年9ヶ月を顧みれば、前作からここに至るまでの銀杏BOYZは休むことなくラジカルに動き続けていた。銀杏BOYZ結成から17年間の活動の中でも、かなり濃厚な時間を過ごしていたわけだが、これらの経験や刺激が、銀杏BOYZにとって最も重要なアルバム制作にどう反映されたのだろうか。また、誰もが新型コロナウイルス感染拡大による制限や影響を強く強いられている今、峯田はどんなことを考え、銀杏BOYZの表現に反映させたのだろうか──。

ここでは、こういった今の峯田が考えていること、アルバム完成までの経緯と思い、収録楽曲についてを徹底インタビュー。アルバム収録曲数「11」にちなんで11週にわたってお届けする(毎週水曜日更新予定)。第10回の今回は、アルバムラストの曲『アレックス』について聞いた。

映画的な作り方をしたラストの曲『アレックス』

── 様々なタイプの曲が収録されているアルバム『ねえみんな大好きだよ』ですが、長尺の新曲『アレックス』がラストを飾ります。

峯田 『アレックス』は一番映画的な作り方をした曲。

登場人物がいてね。縁側が舞台で、帽子を被った奥さんみたいな人がいて、かわいい子どもがいて、犬のレトリバーも出てくる。でも、最後に結局は決別してしまうという。

僕が監督で脚本も書いて、主演で僕自身も演じるんだけど、でも、慣れないことだから「歌詞を書く」というところでなかなか苦戦した曲でもあった。

しょうがないから、身の回りで家庭というものを築いている江口くん(マネージャー)に話してみたのよ。「アルバムの最後の曲は、個人的な曲を作る」「家庭風景みたいなものが描かれているけど、パッと目覚めると、それは夢だったみたいな曲なんだ」って。「でも、歌詞で苦戦しているんだけど、江口くんだったら、こういうとき出だしでどんな歌詞にする?」って。

そしたら江口くんがさ、「出だしは『白い空』ですかね」っつったのよ。「青い空」じゃないんだよ、江口くん(笑)。

それで「『白い空』なんてねーじゃねーかよ(笑)。『青い空』とかじゃないの?」って聞いたんだけど、江口くんは「いや『白い空』っすね」って譲らない。でもさ、「白い空」っていうのも、なんとなく白昼夢みたいで良い感じもして「じゃあ『白い空』でいっか」っつって、ああなったの。

── 個人的な感想ですけど、歌詞の1番だけでは全貌が掴めず、単に綺麗でほのぼのとした家庭風景を描いた曲だと思っていたんですよ。でも、サビをよく聴くと、この曲の全体像がわかりました。全部イメージだったっていう。それと、〈ほんとうの言葉はいつも間に合わずに〉という思いを持っている人、特に男性は救われる曲だと思いました。

峯田 そういう風に捉えてくれる人がいたら嬉しいね。アルバムの最初の曲『DO YOU LIKE ME』はつまり、「あなたは僕のことが好きですか?」という意味だけど、ラストの『アレックス』では「大好きだったよ」で終わる。この一連の流れが、アルバムタイトルの『ねえみんな大好きだよ』にも繋がってくる。

── なるほど、そこまでは気づかなかったです。

峯田 ……まぁテキトーかもしんないけどね。

── そうなんですか。

峯田 そりゃそうでしょ。全部種明かししてどーすんだっていう話で。マジシャンのトリック、全部教えちゃったらダメじゃん。それと同じだし、内部事情とかは実はもっとあるけどさ……言わねーよ。だいたいいちいち曲の説明とかしたくないんだから、本当は(笑)。

まぁ、これは作り手の僕の勝手な思いだから、アルバムを聴いてくれる人は、そこまで考えなくて直感で「この曲好きだー」「この曲イマイチだー」とか思ってくれて全然良いんだけどね。

綺麗でわかりやすい曲に、ほんの少し変わった感じを

── あと、『アレックス』で、不思議なのが曲の出だしでした。あの一番最初のフレーズはどういう意味なんですか? なんか曲の本編に入る前のジングルとかファンファーレのような……。

峯田 ファンファーレじゃねーよ(笑)。ただ、あれはスタジオで考えて入れることにしたの。『アレックス』って曲の構成そのものが、すごいわかりやすいじゃん。だから、その綺麗でわかりやすいところに、ほんの少しだけ変わった感じを入れたくて、ド頭でああいう変拍子の不思議な展開を入れたの。

── また、この曲はよく聴くと長いですね。普通に聴いている分にはそんなに気にならないですけど、全体で9分強もある。

峯田 アウトロになって曲が終わるかと思いきや、最後の最後でPちゃん(加藤綾太。サポートメンバー・ギター)のソロがずっと続くんだけど、あれは面白くできたと思ってる。普通、アウトロって8小節くらいで終わるんだけど、『アレックス』は56小節もあるから(笑)。

── あのギターソロがまた耳に残るんですよ。アルバムを聴いていないときも、あのフレーズが頭に響くことがあって。

峯田 良いよねー、Pちゃんのソロ。なんか不思議な感じがする。ただ、これは前にも言ったけど、もしリピート機能でアルバムを聴く人がいたら、あの綺麗な『アレックス』で終わった後、1曲目のノイズに戻るからね(笑)。支離滅裂に感じるかもしれないけどね。

どの時代でも聴いてもらえる楽曲を目指した

── 個人的な意見ですけど、今回のアルバムでは、『生きたい』が中島みゆき、『アレックス』がユーミンのような印象でした。特に『アレックス』の後半のコーラスがユーミンっぽい綺麗なハーモニーで。

峯田 『アレックス』はアルバムの中で一番最後にできた曲なんだけどさ、ちょうどこの頃、ユーミンばっかり聴いていたんだ。特別意識して『アレックス』にユーミンの感じを取り入れようと思っていたわけではないけど、自然にああなっちゃった。

ユーミンのコーラスは確かにすごいよね。だって初期のユーミンのコーラスって当時の凄腕のシンガーソングライターが総動員してるんだよ。山下達郎さん、大貫妙子さん、吉田美奈子さんとかも参加してるくらいだからね。

── そういう意味で言うと、『アレックス』は銀杏流シティポップですかね。

峯田 それはわからないけど、ただ最初にも言ったように、どの時代でもずっと聴いてもらえるような曲を目指したのは本当。特に『アレックス』はね。

それでいて、再生ボタンのイチ押しで「銀杏BOYZ」ってわかるようなもの。色んなアーティストがいる中で「銀杏はこれだ!」みたいなね。そういう音楽になると良いなと思って作ったんだ。

※次回へつづく

Text:松田義人(deco) Photo:小境勝巳

リリース情報

銀杏BOYZ ニュー・アルバム『ねえみんな大好きだよ』

【初回盤】
【通常盤】

10月21日(水)発売
品番:SKOOL-049 価格:3,300円+税
収録曲(全11曲)
01.DO YOU LIKE ME
02.SKOOL PILL
03.大人全滅
04.アーメン・ザーメン・メリーチェイン
05.骨
06.エンジェルベイビー
07.恋は永遠 feat.YUKI
08.いちごの唄 long long cake mix
09.生きたい
10.GOD SAVE THE わーるど
11.アレックス

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