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解散発表のE-girlsが迎えたアーティストとしての成熟 「シンデレラフィット」ダンス動画から個々のスキルを解説

リアルサウンド

19/12/27(金) 7:00

 E-girlsが、12月27日12時から放送の『MUSIC STATION ウルトラSUPERLIVE 2019』(テレビ朝日系)に生出演し、「ごめんなさいのKissing You」「シンデレラフィット」「Follow Me」のメドレーを披露する。12月22日に新シングル『別世界』リリースイベント内で、2020年いっぱいでの解散を電撃発表して以来、2度目のTVパフォーマンスとなる。本稿では、改めて現在のE-girlsのパフォーマンスがどのようなレベルに達しているのかを振り返り、今夜の放送に備えたい。

(関連:E-girlsが語る、新しいグループ像とホールツアーの景色 鷲尾伶菜「全員にそれぞれの未来がある」

 まず、観てほしいのは以下の動画だ。本日披露される「シンデレラフィット」を、スタジオでカメラを固定して定点撮影したものである。

 E-girlsは、2017年7月に11人体制に変わり、それまでのグループの武器だった“大人数での群舞”を封印することになったのだが、一方で、新たに刻一刻と変化していく複雑かつ幾何学的なフォーメーションと、玄人好みする高度でスタイリッシュな振り付けを獲得したのだ。これはメンバー一人ひとりのスキルアップなしには成し得なかった進化であり、メジャーシーンで活躍するガールズグループのダンスパフォーマンスとしては、最高峰といって良いレベルだろう。LDHが運営する総合エンタテインメントスクール・EXPG STUDIOで子供の頃から鍛錬を積み重ね、数多くのライブをこなし、アーティストとして成熟した現在のE-girlsだからこそ実現できるダンスだ。

 スキルアップによって、メンバー各々のダンスの個性がさらに明確になったのもポイントだ。まずは前列でシンメトリーとなるSAYAKAとYURINO。共にEXPG STUDIO MIYAZAKIの出身である2人は、小柄な体躯を活かしたスピード感あふれるダンスが持ち味であり、YURINOがスワッグなヒップホップを得意とするのに対し、SAYAKAは猫のようにしなやかなムーブを得意としている。同じ振り付けでも、ちょっとした足の動きなどでそれぞれ個性を出しているので、見比べてみると面白いはずだ。

 12秒あたりで後列から一気にセンターに出てくる須田アンナは、パワフルでエネルギーに満ちたダンスが特徴。華麗で柔らかな動きの坂東希と好対照で、2人のダンスがE-girlsの表現に奥行きを与えている。女優としても活躍する石井杏奈と山口乃々華は、E-girlsの最年少コンビとしてグループに愛らしさを添える存在だ。機械仕掛けの人形のようなミニマルな動きの石井杏奈、とびきりの笑顔でキュートに踊る山口乃々華の2人は、ライブで観たら一瞬で心を奪われることうけあいである。

 ツインタワーの愛称で知られる佐藤晴美と楓の長身コンビは、その長い手足を活かした動きの美しさもさることながら、ジャズダンスの素養を持つ佐藤の繊細さ、楓の明るくて華やかな動きがやはり好対照。2人の存在感は、フォーメーションをより立体的に見せることにも一役買っている。

 また、ボーカル3人がパフォーマーと遜色なく踊っているのも、現在のE-girlsの大きな特徴だ。メインパートを歌う鷲尾伶菜は、そのスウィートなイメージを良い意味で覆すアクティブなダンスを見せて、ラップもできる藤井夏恋は一つに結んだ長い黒髪を効果的に使い、妖艶で女性的な動きを披露する。この曲で最も運動量の多い武部柚那は、11人体制になってから誰よりもマルチな能力を発揮したメンバーで、その多才ぶりをダンスでも見せつけている。

 11人体制のE-girlsは、すでにグループとしてのアイデンティティを確立し、そのパフォーマンスを徹底的に極めているのである。解散の報は本当に残念ではあるが、彼女たちが次のステージに進みたいと感じるのは自然なことで、この完成されたダンスを見れば納得するほかない。何より、彼女たちが自らの意思でそう決めたのだから、ファンとしてはその意思を尊重したい。

 グループ解散後は、佐藤晴美、坂東希、石井杏奈、山口乃々華はそれぞれ役者やモデル業、Happinessは新たに<88rising>とタッグを組んで本格的に世界進出を目指し、武部柚那はアフロジャックが世界8都市で開催したオーディション合格メンバーと新たなユニットを結成、鷲尾伶菜はソロアーティストとしてデビューするとのこと。メンバー全員、ちゃんと次の目標を見据えているのだ。

 アジアンカルチャーを掲げて世界を席巻する<88rising>が、E.G.familyの中でも特にストリート色が強く、独創的なダンスミュージックを確立しているHappinessとタッグを組むのには期待しかない。それに、万能選手の武部柚那がAfrojackプロデュースの多国籍グループに参加するのもクールである。音楽制作にも強い関心を抱いていた鷲尾伶菜が、ソロでどんな楽曲を生み出すのかも興味深いし、佐藤晴美、坂東希、石井杏奈、山口乃々華の女優/モデル組も、きっとそれぞれの分野で大いに活躍するに違いない。

 E-girlsの意思を継ぐ次世代グループも、着実に成長している。EXPG STUDIOの卒業生から成る新生ガールズパフォーマンスグループのGirls²は、E-girlsに憧れ、その背中を見て育ってきた、まさに妹分といえる存在だ。高いダンススキルを持つ彼女たちは、いずれE-girlsに負けないくらい素晴らしいグループになっていくはずだ。

 リーダーの佐藤晴美は、解散発表の際に「2020年いっぱいはまだまだ活動も続きます。この1年でE-girlsを全うして、いただいた愛をしっかり返していける1年にできればと思います」と宣言している。彼女たちが解散するまであと一年、まずは今夜の『MUSIC STATION ウルトラ SUPER LIVE 2019』で、その洗練されたパフォーマンスをぜひ細部まで鑑賞してみてほしい。(松田広宣)

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