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AmamiyaMaakoが語る、自身のルーツとDTMの魅力「シーンを引っ張っていけるような存在に」

リアルサウンド

18/12/22(土) 18:00

 タワーレコード新宿店限定でリリースしたシングル『City magic/Hummingbird』が好評、12月29日に同店7階イベントスペースでリリースイベントを開催するAmamiyaMaako。DTMで楽曲を制作し、ギターやピアノの弾き語りではなく、サンプラーやコンピュータを駆使したライブスタイルで今注目を集めている。ちょっとした懐かしさと新しさに満ちた楽曲は、90年代の洋楽R&Bや渋谷系、さらにジャズヒップホップを感じさせる。DTMに魅せられた理由や自身のルーツについて話を聞いた。(榑林史章)

「City magic」は自分らしさを詰め込んだ代表曲 

ーー『City magic/Hummingbird』が、タワレコ新宿店限定でリリース。反響はどうでしたか?

AmamiyaMaako:タワーレコードさんがコーナーを作って展開してくださったんですけど、とても反響が良くてうれしいです。やっぱり最初は心配で、お店に観に行ったんです。そうしたら試聴機で聴いてくれているお客さんがいて、うれしくて思わず声をかけてしまいました。「これ、私なんです!」って(笑)。30代のサラリーマンの方だったんですけど、すごく驚いていました。少しお話をさせていただいたら、私のことは知らなくてたまたま聴いていたらしくて。そのままCDも買ってくれて、そのあとのワンマンライブにもきてくれたんです。

ーー大胆なことをしますね(笑)。

AmamiyaMaako:そういう場面に出くわしたことに感激して、ついやってしまいました(笑)。

ーー『City magic/Hummingbird』は、どういうテーマで作ろうと思ったんですか?

AmamiyaMaako:10代や20代の若い世代の方に聴いてもらって、共感してもらえるシングルにしたいと思いました。そういう曲が、今まではなかったんです。それで楽曲打ち合わせの時に「City magic」の断片をプロデューサーさんが持ってきてくれて、イメージ通りだったので今回、その勢いのまま「City magic」を作っていただきました。若者が夢を追いかけて東京に出てきて、きらびやかな都会に魅了されたり、失敗したり、少し疲れてしまったり……という歌詞の内容です。

ーー歌のバックに流れているシンセのフレーズやビート感は、ちょっと懐かしさがあって。でも途中でラップが入ったりして、曲の構成は今っぽい。新しさと懐かしさが同居した感じの曲ですね。

AmamiyaMaako:サビの4つ打ち感が気に入っています。曲調はまったく違うんですけど、ミックスの時に「音の雰囲気はジャミロクワイ寄りにしてほしい」という無茶な要望をして作っていただきました。あとは、今の時代を分析しつつ、自分のルーツも乗せつつという感じですね。誰々っぽくならないように、自分の色に忠実にするということも考えました。ずっと休みなく2番のサビまで歌っているんですけど、その中にラップが入ったり転調したり、展開があるので、飽きずに最後まで聴いてもらえると思います。それに自己紹介じゃないけど、ちゃんと自分の顔になる曲にしたくて。ラップにしても展開にしても、自分の得意とするものを盛りだくさんに詰め込みました。

ーー代表曲はこれです! と言える曲になった。

AmamiyaMaako:はい。そういう曲になりました。プロデューサーさんとはずっと一緒に制作をしてきて、私の好きな感じとかやりたいことを分かってくださっているので、それをすべて反映してくださった感じです。

AmamiyaMaako / 『City magic』MV

ーーもう1曲の「Hummingbird」は、会社や世の中で疲弊しながら、でも夢に向かっていきたいという男性目線で気持ちを歌っている。これは、ご自身で作詞作曲を。

AmamiyaMaako:これは「City magic」よりも前に作ったんですけど、最初に書きたい歌詞のテーマがあったので歌詞から作りました。いつもはどうしても女性目線の歌になりやすいので、新しいチャレンジとして、男性っぽい目線で力強さのあるものをテーマにして歌詞を書いて、それに合わせて曲調も疾走感のある感じにしました。いつも同じように横揺れするみたいな曲ばかりでは、お客さんも飽きてしまうだろうし、新しいことにチャレンジするように意識していて。それで歌詞には、自分では普段口にしないようなワードもたくさん出てきますし、こういう曲調になりました。個人的には、後ろでずっと流れているジャズっぽいピアノが気に入っています。

ーーこれはジャンル的にはどういうイメージなんですか。

AmamiyaMaako:ジャズヒップホップが好きなので、そういう雰囲気の曲が作れたらなと思っています。私、単純なので、自分が好きだから、きっとみんなもジャズヒップホップが好きなんじゃないかと思って(笑)。流れていたらその場がオシャレになるし、そういうオシャレなものがやりたくて。でもあくまでも歌が主体で、エッセンスとして上手に取り入れることができたらいいなと思って作っています。

「Hummingbird」は、ビートの感じにそれが出ていると思います。リズムのパターンはシンプルなので、生ドラムでやるとロックっぽく聴こえてしまう曲なんですけど、そこをあえてサンプラーを使うことによって、ジャズヒップホップの雰囲気が出せている。音色でガラッとイメージが変わってしまうので、そこにはこだわって、エンジニアさんと何度もやり取りをして仕上げました。

ーージャズヒップホップは、どういうきっかけで聴くように?

AmamiyaMaako:幼少期にR&Bを聴いていた流れで、今そういうのが好きという感じなんですけど……。両親が昔バンドをやっていて、家では朝から何かしらのCDが流れていていたし、休みの日は家族でCDショップに行くという、音楽が身近にある家庭環境だったんです。それで小さいころは、家で流れているジャネット・ジャクソンやTLC、ボビー・ブラウンといったR&Bばかり聴いていました。そういう音楽が自分のベースにあるので、その延長線で普段聴いたり、やっている音楽にも影響が出ているかなって思います。

ーーライブでは登場のSEでBeastie Boysの「Sabotage」が流れ、本編では椎名林檎やくるり、「今夜はブギー・バック」のカバーなども披露していました。Amamiyaさんの楽曲からは、渋谷系やシティポップ、R&B、ジャズヒップホップといった、いろいろな要素を感じます。

AmamiyaMaako:Beastie Boysの「Sabotage」は、単純に格好いいと思ったので(笑)。前回のワンマンの時が、会場が狭くて客席を通ってステージに上がらなくちゃいけないところだったんですね。それで、フードをかぶって格好良く登場したいなと思って「Sabotage」を選曲して。それが好評だったので、今回のワンマンでも「Sabotage」を使いました。イベントや対バンLIVEに出る時は、Tahiti 80の「Heartbeat」をよく使っています。

ーー椎名林檎やくるりなどのJ-ROCKは?

AmamiyaMaako:中高一貫の女子校に通っていたんですけど、部活が軽音部だったんです。邦楽ロックは、その頃にたくさん聴きました。学校は携帯プレーヤーの持ち込みが禁止されていたんですけど、マフラーで隠して聴きながら学校に行っていて。椎名林檎さん、くるりさん、ASIAN KUNG-FU GENERATIONさん、GLAYさんなど、たくさん聴いていました。

渋谷系は、『pop’n music』という音ゲーが好きでよく遊んでいたんですけど、そのゲームに渋谷系の曲がたくさん出てくるので、そこで覚えたというのはあります。あとは、映画『モテキ』が流行った時に、あの映画で渋谷系をすごくフィーチャーしていたので、そこで興味を持って自分なりに掘っていくようになりました。だから自分の中では、渋谷系はまだ新しくて。それよりも幼少期に聴いたR&Bのほうが、ルーツとして根強いのかなって。

女の子のDTMシーンを広めたい 

ーーそもそもDTMで曲作りをするようになったきっかけは、何だったのですか?

AmamiyaMaako:自分で曲を作るようになったのは、2年半くらい前です。ピアノやギターを弾き語りする人はすでにたくさんいるので、そこで同じように弾き語りをやっていても勝ち目がないと思って(笑)。それで、じゃあ自分の個性が活かせるものは何か? 自分の強みとなるものは何か? と考えて、出てきたのがサンプラーを使うことやラップボーカルというスタイルです。もともと機械系がけっこう得意だったのもあって、サンプラーとかデジタル機材を使うのは、ちょうど合っているんじゃないかと。

ーーサンプラーは、誰かから教わったりしたんですか?

AmamiyaMaako:Native InstrumentsというメーカーのMaschineという機種を使っているんですけど、ほとんど独学です。最初はネットでどういうものがあるか研究して、目星をつけておいて、安くなるお正月の初売りで買いました(笑)。幸いミュージシャンが周りにたくさんいたので、何が必要かとかどこのメーカーがいいとかアドバイスをたくさんもらったし。使い方は、とにかく動画を見まくって覚えました。

ーーそういうサンプラーを駆使しながら、パソコンで曲を作っている。DTMをやっていて、どういうところが楽しいですか?

AmamiyaMaako:音色一つで雰囲気ががらりと変わるところですね。最初にスネアの音を決めて、そこからイメージを膨らませて作っていって、途中でやっぱり違うかなと思ってスネアの音を変えてみると、それだけで曲の雰囲気が変わるんです。そういうところは、面白いです。

ーー都会的な雰囲気になったり、あえてダサい感じになったり?

AmamiyaMaako:そういうのもあるし。昔に流行った音を使えば、昔の曲のような雰囲気になるし。ドラムの音に限らずシンセの音もそういう変化が如実なので、音色の研究は常にしていますね。

ーードラムを打ち込み始める時には、何かイメージがあるんですか?

AmamiyaMaako:漠然としたものはあります。お茶をしながら流れていて心地の良い曲にしよう、みたいな。それとか、色で決めることもあります。「今回は紫色っぽくしよう」みたいな。

ーー今、曲を作る時に意識するのは?

AmamiyaMaako:パッと聴いて格好いいとかオシャレだというだけじゃなく、1曲まるまる聴いて、あっという間に聴き終わっちゃうような。飽きずに聴けるものですね。ヒップホップはループが多いから、その格好良さもあるけど、それが聴き馴染みのない方には、飽きに繋がってしまうところがあると思って。だから、ヒップホップということだけにとらわれないように、単調にならないように、自由に作ることを意識しますね。海外では、コードが少なかったり、リズムがシンプルでループしていても、どんどん音が重なっていってドラマチックさを演出するような曲もたくさんあるので、そういう部分も意識するところですね。

ーーR&Bの要素も意識しますか?

AmamiyaMaako:音色自体は今どきのものを意識しますけど。R&Bのエッセンスも入れたいとは思っています。それに、ジャズヒップホップの曲のこのビートを入れたいとか具体的なものを考えるときもあるし。それを出したり引いたりしながら、組み合わせていっている感覚です。たとえばレコーディングでギターを弾いてくれるミュージシャンの方に、ジョージ・ベンソンのこの音色にしてほしいと、けっこうマニアックな注文をして困らせてしまうこともあります。

ーーラップに対しては、どういう意識ですか?

AmamiyaMaako:そんなにがっつりヒップホップやラップを勉強したわけではないんですけど、歌い方の一つの技法と言う感覚です。1stアルバム『Baby scratch』でも、ラップやスクラッチをたくさん取り入れていて。決して全部がジャズヒップホップというわけではないけど、あくまでも歌を中心にして、それと親和性のある要素を盛り込んでいったのがラップだったり、スクラッチって感じです。でも実際に取り入れてみて、自分の表現の幅が広がった印象がありました。

ーーAmamiyaさんの楽曲は、どういう人たちに聴いてほしいですか?

AmamiyaMaako:大学生あたりにも喜んでもらいたいけど、まだまだ届いてないですね。これは年齢問わずですが「この曲知ってる?」とか「格好いいんだけど、聴いたことある?」みたいな感じで、知っていたら自慢できるみたいな感じになれたらいいなって思います。オシャレな洋服屋さんとかカフェで流れていたらうれしいし。場所で言ったら、やっぱり渋谷なのかな。

ーー今後こうなりたいとかは、ありますか?

AmamiyaMaako:私みたいにDTMで音楽を作っている女性シンガーソングライターが増えて、それがちょっとした一つのファッションみたいになったらいいなと思います。私はもともと何でもやりたいタイプで、「どうせ今からやってもムダだよ」と言って、やる前からチャンスを潰している子を見ると、やきもきしてしまうんです。DTMって確かにギターやピアノと比べたらとっつきにくいところがあるんですけど、やってみたら意外とできるし楽しいんだよということが、伝えられるようになったらうれしいです。ムーブメントと言うと大げさだけど、「私もDTMやってみたい」と思ってくれる人が増えたらいいなと思いますね。

ーーギターとか、女の子ウケする可愛い要素もあったりする。サンプラーにもそういうのがあったらいいですね。

AmamiyaMaako:私は、サンプラーも可愛いと思いますよ(笑)。私みたいなタイプはあまりいないので、サンプラーのメーカーさんから会社に呼んでいただいて、新機種を触らせてもらったりとか、色んな情報を教えてもらってます。やっぱりサンプラーは、DJシーンなどで使うことに特化した機材で、シンガーソングライターの女の子が使うことは珍しいそうなんです。だからやる子が増えれば、女の子仕様のサンプラーが発売されるかもしれないし。頑張って広めていきたいですね。

ーー12月29日には、タワーレコード新宿店 7階イベントスペースで、今年最後のライブがありますね。

AmamiyaMaako:この1年の集大成の日になったらいいなと思っています。フリーライブなので、まだ私のライブを観たことのない方に、ぜひたくさん観ていただきたいです。女の子にもたくさん観てほしいですね。ライブでは私もサンプラーを使ったりするので、やっているところをぜひ観てほしいです。それで「私もやってみたい」と思ってもらったらうれしい。サンプラーがなくても、Mac1台あれば既存のソフトで作れるし。クラブシーンでDJをやりたいと言う女の子はたくさんいるので、きっと潜在的に興味を持っている子はたくさんいると思います。

ーー今後は、どういうライブをやりたいですか?

AmamiyaMaako:ライブハウスの方に提案していただいたことがあるのは、360度お客さんに囲まれてやるのはどうですか? って。それは面白そうだなって思いました。あと、ドラムはサンプラーで生音をサンプリングして使っているんですね。それはサポートメンバーに入っていただいてやってもらっているんですけど、見た目にも格好いいので、そういう編成でのライブはどんどんやっていきたいです。

ーー目標とか最終的に目指しているアーティスト像は?

AmamiyaMaako:メジャーデビューも一個の目標ですけど、それよりもやっぱり女の子のDTMのシーンを広めていくことです。それを引っ張っていけるような存在になりたいです。あと、ずっと進化している人でありたいです。そういう意味では、ジャンルは違うけど椎名林檎さんはずっと格好良くて憧れますね。

ーーAmamiyaさんは、歌い方もそうですけど、キャラクター的にもクールな面があって、そこも魅力ですね。

AmamiyaMaako:ツンデレってことですか?

ーーツン多めみたいな。

AmamiyaMaako:ああ(笑)。確かに黙っていると、「怖そう」と言われることはあります。今のお客さんは、そういう私を温かく見守ってくれている、心根のやさしい方たちの集まりです!

(取材・文=榑林史章/写真=池田真理)

■リリース情報
『City magic / Hummingbird』
発売:2018年10月31日(水)
タワーレコード新宿店限定発売
価格:¥1,000(税抜)
<CD収録内容>
01 City magic
02 Hummingbird

■インストアライブ情報
12月29日(土)START 12:00
内容:ミニLIVE&特典会
会場:タワーレコード新宿店 7階イベントスペース
詳細はこちら

■ライブ情報
『Make Happy!!~Year End Party 2018~』
12月28日(金)代官山LOOP

『AmamiyaMaako pewsents
「Shibuya Scratch vol.3」』
1月16日(水)渋谷GUILTY

『Make Happy!!〜New Year Live 2019〜』
1月18日(金)代官山LOOP

『YURE NIGHT~ AmamiyaMaako, Welcome to Osaka City!』
1月21日(月)大阪北堀江club vision

『YURE NIGHT~ AmamiyaMaako, Welcome to Osaka City!』
1月23日(水)名古屋新栄APOLLO BASE

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