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絶対零度、チア☆ダン、ハゲタカ、義母と娘のブルース、GIVER ……2018年夏ドラマ注目主題歌

リアルサウンド

18/7/16(月) 10:00

 主題歌や劇中歌は、ドラマに鮮烈な印象を与える。2018年4月期放送ドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系)イメージソングである宇多田ヒカルの「初恋」は、登場人物の感情に寄り添ったような楽曲で、物語の切なさをより一層引き立てていた。冒頭の〈うるさいほどに高鳴る胸が/柄にもなく竦む足が今〉というフレーズを聴くだけで、ドラマの名シーンが浮かんでくる人も多いのではないだろうか。7月期ドラマ主題歌からも多くの反響を呼ぶ楽曲は登場するか。本稿では3つの視点から注目してみたい。

(関連:宇多田ヒカル、“恋の始まり”をどう表現? 『花男』シリーズ「Flavor Of Life」「初恋」聴き比べ

■SSWやグループ……それぞれが魅せるバラード

 今期は、各ドラマに寄り添ったようなバラード曲が起用されている。『透明なゆりかご』(NHK総合)の主題歌には、Charaの「せつないもの」が抜擢。同曲は、Charaの代表作とも名高いアルバム『Junior Sweet』に収録されている楽曲だ。愛おしい我が子への思いを綴った歌詞は、産婦人科医院を舞台に命の尊さを訴えかける『透明なゆりかご』のストーリーにも密接している。

 月9ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)主題歌は、家入レオの「もし君を許せたら」。『絶対零度』シリーズといえば、これまでLOVE PSYCHEDELICOが主題歌・劇中歌を担当し「It’s You」や「Shadow behind」といったシリアスで乾いたロックサウンドで物語に緊張感を与えていたのが記憶に新しい。一方、家入は情緒的なミディアムバラードで勝負。「もし君を許せたら」は、愛情と憎しみが混在した感情の揺れを表現して『絶対零度』の真髄に触れた楽曲だ。また、〈もし君を許せたら また誰かを愛せるかな?〉というフレーズが心揺さぶる。第1話では、沢村一樹演じる井沢が犯人に向けて銃を発砲するという張り詰めたシーンで同曲が流された。冷酷な井沢の行動と同曲が合わさったことで、井沢の深い闇がより浮き彫りになる場面だった。次回もどういったシーンで楽曲が使われていくのか注目したい。

 吉岡里帆主演ドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』(カンテレ・フジテレビ系)の主題歌は、AAAの「Tomorrow」に。AAAがバラードに挑むのは3年ぶりとのこと。近年各メンバーはソロ活動にも積極的に取り組み、より表現力豊かな歌唱を身につけている。彼らの伸びのある歌声と前向きな明るいバラードは、生活保護受給者の人生に寄り添い自立への道筋を見つけていく同ドラマを優しく後押ししてくれそうだ。

■ロックバンドの充実

 今期はロックバンドも豊富だ。金曜ドラマ『チア☆ダン』(TBS系)では、サンボマスターが主題歌を担当。オファーの背景として、モデルとなったチアリーダーチーム『JETS』が創部初期から「できっこないを やらなくちゃ」で踊り続けているという、繋がり深い背景から書き下ろされた「輝きだして走ってく」は、ドラマをよりエモーショナルな作品にさせるに違いない。一方、『GIVER 復讐の贈与者』(テレビ東京系)では、オープニングテーマにCrossfaithの「Catastrophe」を起用。メロディックで清々しい疾走感ある楽曲は、他人の復讐を淡々とこなす主人公・義波のダークヒーローならではの残酷さとかっこよさを演出してくれることだろう。

 その他にも、『グッド・ドクター』(フジテレビ系)ではandropが、『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~』(テレビ東京系)では、『あなたのことはそれほど』(TBS系・2017年)の主題歌でも強烈なインパクトを残した神様、僕は気づいてしまったが主題歌を担当。個性豊かなバンド陣が、それぞれどのようにドラマを彩っていくのか注目だ。

■J-POPを代表するアーティストの起用

 綾瀬はるか主演『義母と娘のブルース』(TBS系)は、MISIA 「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」が主題歌に。綾瀬はるかとMISIAのタッグは『JIN-仁-』(TBS系)以来。『JIN-仁-』の主題歌「逢いたくていま」では、王道バラードを聴かせ、壮大な物語をよりドラマティックに演出した。今回は、GReeeeNが作詞作曲を手がけたというコラボレーション楽曲。第1話では、綾瀬はるか演じる亜希子と結婚相手の娘が徐々に絆を深めていくというシーンに同曲が使われており、GReeeeNらしい爽やかなサウンドとMISIAのエモーショナルな歌声で物語を盛り上げていた。

 『ハゲタカ』(テレビ朝日系)の主題歌は、Mr.Childrenの「SINGLES」。Mr.Childrenのドラマ主題歌といえば、『オレンジデイズ』(TBS系)の「Sign」、『14才の母』(日本テレビ系)の「しるし」、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)の「HANABI」など、ドラマとシンクロする楽曲でヒットを生み出してきた。「SINGLES」は、力強い正統ポップスでありながら焦燥感や哀愁が漂い、登場人物の孤独や悲しみを捉えた楽曲となっている。また『遺留捜査』(テレビ朝日系)の主題歌は、小田和正が担当。「やさしい風が吹いたら」と「小さな風景」の2曲が主題歌となっており、内容に合わせて適宜使用するとのこと。物語を優しく包み込むような楽曲は、視聴者の心が温まるものになるはずだ。

 今期も目が離せないドラマ主題歌。楽曲そのものにももちろん注目したいが、主題歌が使われるタイミングも見ておくと、なお面白い。『アンナチュラル』(TBS系)では「Lemon」の〈夢ならばどれほどよかったでしょう〉という冒頭のフレーズが、ドラマの重要なシーンで使われていたことで、視聴者により深く刺さる楽曲となった。物語のどういったシーンで、曲中のどのフレーズを起用するかによっても、主題歌がドラマに及ぼす影響力は大きく変わるだろう。(北村奈都樹)

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