ハロー！プロジェクトの最新グループ、BEYOOOOONDS。2018年に結成され、2019年にシングル『眼鏡の男の子 / ニッポンノD・N・A! / Go Waist』でメジャーデビュー。寸劇などの身体要素を取り入れた個性的な楽曲が話題を呼び、オリコン週間チャート初登場1位を獲得。同年末には日本レコード大賞の最優秀新人賞を受賞。令和2年、さらなる飛躍が期待されているアイドルグループだ。

（関連：【写真】前田こころ）

　楽曲も個性的なら、メンバーのパーソナリティーも個性的なのがBEYOOOOONDS。今回の連載企画では、メンバー12人それぞれのキャラクターについて、5つのポイントを立てて紹介していく。第6回はBEYOOOOONDSおよび雨ノ森 川海のメンバー、前田こころ。楽曲「眼鏡の男の子」での学ランを着たメガネ男子役でおなじみの彼女だが、はたしてどんな女の子なのだろうか。

●空手少女→アイドルへ
　幼少の頃の前田こころは、空手少女だった。兄が空手をやっていたので、その流れで前田も習うようになったのが幼稚園の年中。小学生時代を通してずっと続けて、最終的には黒帯2段を取得する。県大会で準優勝して全国大会に出たこともあるという本格派だ。

　それと並行して前田が好きだったのが、『きらりん☆レボリューション』や『しゅごキャラ！』といったテレビアニメ。どちらの番組も主題歌を担当しているのはハロプロのアイドルだったが、子供の頃の前田はそうとは知らずに聴いていて好きになったようだ。

　そして小学4年生の時、モーニング娘。のコンサートを観に行って感激した彼女は、同グループのオーディションを受けることになる。2回落選したが、その後ハロプロ研修生のオーディションも受け、2015年4月に研修生入りする。同期には現アンジュルムの笠原桃奈、現つばきファクトリーの小野瑞歩・秋山眞緒などがいる。空手は研修生入りする前に辞めてしまい、アイドルへの道に集中。

　研修生にとって重要なイベントである毎年5月の実力診断テストだが、前田は2015～2018年まで4年出場している。2017年には「好きすぎて バカみたい」（オリジナル：DEF.DIVA）、2018年には「シルバーの腕時計」（オリジナル：モーニング娘。）を歌い、2年連続でダンス賞を獲得している。どちらも比較的セクシー系な楽曲で、前田の志向する方向性がうかがえる。

　そして2018年6月、高瀬くるみ・清野桃々姫が所属する新グループへ山﨑夢羽・岡村美波とともに加入することが発表され、グループ名は雨ノ森 川海となり、BEYOOOOONDSとなる。

●ハロプロ最長身のイケメンキャラ？
　研修生時代から前田は、その長身とスラリとしたスタイルでファンからの注目を浴びていた。2017年5月時点では166cmあった（参照：https://youtu.be/rcobxXVGLfg）。当連載第4回の江口紗耶の回でも少し触れたが、BEYOOOOONDSデビュー後の前田は168cmで、ハロプロ内で一番の高身長だと公言している。今月5日更新の前田ブログによると、朝に測ると170cmで夕方は168cmとのことで、今後さらに伸びる可能性がある（参照：https://ameblo.jp/beyooooonds-rfro/entry-12587318770.html）。

　髪型はロングヘアだった前田が、バッサリと切ってショートカットにしたのは、新グループ加入が決まった2018年夏のこと。ハロプロ全員集合のコンサート『Hello! Project 2018 SUMMER ～ALL FOR ONE～・～ONE FOR ALL～』は同年7月～9月の開催で、8月4日の中野サンプラザ公演で「眼鏡の男の子」がライブ初披露され、セットリストに加わる。その数日後である8月11日の仙台サンプラザ公演で、ベリーショートの前田が観客の前に初めて姿を現した。「眼鏡の男の子」の寸劇の男性役に合わせるために切ったと思われるが、ただでさえ長身で空手経験者だった彼女が、短髪にすることでイケメン度がアップ。これは主にハロプロの女性ファンに、楽曲の印象と併せて強くアピールした。

　当時のハロプロメンバーのブログで一番最初に短髪の前田の画像を掲載したのは、つばきファクトリー小野瑞歩だった（参照：https://ameblo.jp/tsubaki-factory/entry-12397225120.html）。また、当時のJuice=Juice稲場愛香のブログによると、「こころちゃんが髪を切ったのは／ハロコンの最中だったんですけど／その日の楽屋はもう大変でした」という記述があり（参照：https://ameblo.jp/juicejuice-official/entry-12407562987.html）、ハロプロメンバーにとってもインパクトの強い出来事だったようだ。

　ハロプロの歴史上にはこれまで様々なメンバーがいたが、イケメン系とでもいうべき、ボーイッシュな持ち味を前面に押し出したメンバーの系譜というものが確実に存在している。近年ではモーニング娘。の工藤遥、そして加賀楓などが挙げられる。前田もこの系譜に連なることになったのだ。

　ルックスだけではなく、パフォーマンスも伴っている。ダンスの切れ味が抜群だ。空手経験による体幹の良さがプラスに作用しているのだろう。研修生実力診断テストでの2年連続ダンス賞受賞の実績もそれを裏付けている。個人的には、楽曲「文化祭実行委員長の恋」での、サビ部分〈職権乱用！　公私混同！　文化祭実行委員長の恋（oh oh oh）〉の〈（oh oh oh）〉の箇所でのやたら素早い動きに毎回目を奪われてしまう。

●中身は乙女で画像加工好き
　そんなイケメンなルックスを誇る前田だが、それではその内面はどうか。これが意外にも（？）乙女なのだ。まずお化けが嫌いで、雨ノ森 川海のメンバーで遊園地に遊びに行った時、お化け屋敷の前から流れている音だけで怖くなって隣にいた高瀬くるみに抱きついたというエピソードがある。また、練習スタジオ内のジュース自動販売機の周りが暗くて近寄れず、その場に立ち尽くしたというエピソードも。

　臆病な面がある一方、真面目な面もある。BEYOOOOONDSメンバーは誰しも彼女を「真面目で心が優しく、思いやりがある」と評価している。その真面目さにもつながるのが、前田のイラストや画像加工の趣味。ハロプロのイベント『SATOYAMA & SATOUMI movement』では物販でメンバーのコラボレトルトカレーを売り出すのが恒例となっているが、2019年の『房州館山イエロー LEMOOOOON CURRY』は、パッケージを前田のファンシーなイラストが飾った。

　SNSやブログなどでの情報告知の際に掲載するちょっとした画像は、前田が自作することが多い（参照：https://ameblo.jp/beyooooonds-rfro/entry-12495065053.html）。昨年2019年には、アルバム『BEYOOOOOND1St』発売までのカウントダウンや（参照：https://twitter.com/BEYOOOOONDS_/status/1199546064853852167）、2020年の年明けカウントダウンなどで（参照：https://ameblo.jp/beyooooonds-rfro/entry-12562312201.html）、毎日のように加工画像をアップしていた。こういう地道な作業を苦もなくこなすマメさも持っている。

　また、普段からの私服も女の子っぽい。とある日のブログではAnMILLEと宮崎由加のコラボワンピースを着こなした自撮りをアップしていたが、長身なのでワンピースも似合う（参照：https://ameblo.jp/beyooooonds-rfro/entry-12543345800.html）。飼っている愛犬“なつ”との散歩写真も、どこかのお嬢様かと見間違うかのような清楚さだ（参照：https://ameblo.jp/beyooooonds-rfro/entry-12526619196.html）。

　ちなみに、好きな食べ物は“とうちゃんの作ったトマトクリームパスタ”。自分の父親を“とうちゃん”と呼んでいるのが可愛らしいが、前田の父親はイタリアンのシェフをしているとのことで、その出来栄えも本格派だ（参照：https://ameblo.jp/beyooooonds-rfro/entry-12426578445.html）。

●仲の良いハロプロメンバー
　BEYOOOOONDS内で前田と仲の良いメンバーは、同じ雨ノ森 川海の山﨑夢羽。ブログを読んでいると、やたらと一緒に出かけている印象がある。

　他のグループのメンバーでは、研修生時代に同期だった小野瑞歩（つばきファクトリー）が挙げられる。2018年6月には江ノ島デートしたり（参照：https://ameblo.jp/tsubaki-factory/entry-12381574594.html）、2019年10月にはいちご飴を食べに行ったりしている（参照：https://ameblo.jp/tsubaki-factory/entry-12532507566.html）。また、今年のバレンタインに小野がオレオマフィンを作ったのだが、前田のリュックにこっそり忍ばせたというほっこりエピソードもある（参照：https://ameblo.jp/tsubaki-factory/entry-12575167217.html）。前田本人は、いつか小野と二人で「ふたりはNS」（オリジナル：きら☆ぴか）という『きらりん☆レボリューション』関連楽曲をデュエットしてみたいとインタビュー等で話している。

　また、川村文乃（アンジュルム）との仲の良さも有名だろう。二人でディズニーシーへ行ったりしているのだが、さらにすごいのは、前田の家へ川村がお泊りに行ったこともあるというのだ。そこでは前述のイタリアンシェフの前田父が作ったパスタをごちそうになったりもしたようだ。また、YouTube番組『tiny tiny』の川村ゲスト回を、前田のみならず前田父と母も一緒に見て、感動して泣いたというのだから、家族ぐるみの付き合いといえるだろう。

●好きなハロプロ先輩
　前田が尊敬しているハロプロの先輩は二人いる。アンジュルムの佐々木莉佳子、そして元モーニング娘。の工藤遥だ。どちらも共通するのは、ボーイッシュよりのキャラで、声もハスキーだということ。前田本人の資質にもかぶってくるところがあり、そこに惹かれるのだろう。

　佐々木については、現在同じハロプロに属してはいるが、まだ“あこがれの先輩”という意識が抜けきれていないようだ。2019年2月の冬ハロコンの楽屋裏で佐々木と前田が2ショット写真を取ったのだが、前田の顔が緊張でわかりやすく赤面しているのが微笑ましい（参照：https://ameblo.jp/beyooooonds-rfro/entry-12438991816.html）。

　また、前田の工藤遥LOVEが炸裂している案件はいくつかあるが、ここでは2019年のハロウィンのブログを挙げたい。そこで前田は、『演劇女子部 ミュージカル「LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-」』で工藤が演じていたキャラクター、ファルスのコスプレ画像をアップした（参照：https://ameblo.jp/beyooooonds-rfro/entry-12540924175.html）。工藤が演じたファルスといえば、妖艶な魅力で上演当時のハロプロ女性ファンを虜にした名キャラ。そのコスプレを前田がやってみたというのが面白い。

　工藤と前田といえば、嘘みたいなすごい話がある。前述した、前田が空手を始めるきっかけになった兄が、工藤遥と幼なじみだというのだ。これを前田が公表したのは、今年1月の冬ハロコンのMC（参照：https://ameblo.jp/beyooooonds-rfro/entry-12568263599.html）。確かに、前田も工藤も埼玉県出身である。兄が幼なじみということで、前田本人も工藤と面識があったようで、アイドルへの道を歩みはじめたのはその影響もあると想像される。

　この話にはまだ続きがあり、工藤がモーニング娘。に在籍していた2013年11月のブログに、前田との交流の痕跡が残っているのだ（参照：https://ameblo.jp/morningmusume-10ki/entry-11682948186.html）。この日工藤は幼なじみの家へ行き、そのパパが料理人なのでごちそうになったと書いてある。これはイタリアンシェフの前田父のことだろう。そして、幼なじみの妹がハロプロファンで、部屋にポスターなどのハロプログッズを飾ってあって嬉しい、と書いている。この妹こそが前田こころその人だろう。しかし、2013年当時にこのブログを読んだ人で、数年後にこの妹がハロプロメンバーとしてデビューすると予想した人がいただろうか。ハロプロが長く続いていると、こういうことも起こり得るのだ。（ピロスエ）