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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

トップ3は東宝が占有、『人間失格』は4位に再浮上 蜷川実花作品の人気定着ぶりに注目

リアルサウンド

19/10/2(水) 15:00

 当サイト開設以来4年以上、毎週必ず映画動員ランキングの記事を書いていると、年に2、3回、取り上げるべきトピックがあまり見つからない週がある。トップ10のうち9作品が先週と同じ、順位に微動はあるものの上位7作品の顔ぶれもまったく同じだった先週末は、まさにそんな週だった。それではと、ミニシアターランキングに目を向けると、1位はセルジオ・レオーネ監督の傑作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』。「ほぉ!」とは思ったものの、ミニシアター系作品の新作の公開も数多く重なった先週末に、51年前のマカロニウェスタン映画が1位であることを素直に喜んでいいものか。あと、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』と間違って劇場に入った人がいないかも心配だ。いや、それはそれで貴重な映画体験になるだろうが。

参考:二階堂ふみ、『人間失格』で芽生えた蜷川実花監督への信頼感 「最終的に女性の味方でいてくれる」

 というわけで、今週は上位の作品から順番に触れていく。3週連続1位となったのは『記憶にございません!』。土日2日間で動員18万5000人、興収2億4700万円。累計でも日曜日の時点で約23億円ということで、三谷幸喜作品としては2011年の『ステキな金縛り』以来3作品ぶりとなる、興収30億円突破も見えてきた。

 公開3週目に2位に再浮上した後、引き続き先週末も2位をキープしたのは『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』。土日2日間で動員10万6000人、興収1億3000万円。日曜までの公開から24日間で動員144万600人、興収17億4300万円。こちらも、ティーンムービーとしては久々の20億円超が確実な情勢。作品ターゲットとなる観客層以外からは作品を評価する声がほとんど聞かれない本作。ヒットの最大の要因はやはり的確な原作選びとキャスティングか。きっと平野紫耀と橋本環奈のには同ジャンルの作品のオファーが今後も相次ぐことだろう。

 公開から11週目を迎えて、またしてもトップ3に返り咲いた『天気の子』は、土日2日間で動員8万5000人、興収1億3300万円。日曜までに興収132億円を突破、動員は997万人と、この記事がアップされる頃には動員1000万人を突破しているはず。新海誠監督は2作連続でテン・ミリオン・ムービー(国内では宮崎駿監督以外に前例がないので、書きなれない言葉だが)を世に送り出したことになる。

 以上、上位3作品はすべて東宝配給作品。今年の夏休み興行は絶好調の『天気の子』に隠れるかたちで、『アルキメデスの大戦』や『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』が期待されていたほどの成績には届かず、公開作品の明暗がはっきりと分かれていたが、秋に入ってから(今週も7位につけている)『劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』のロングヒット化、『記憶にございません!』と『かぐや様は告らせたい』のスマッシュヒットと、底力を見せつけている。順番にテレビドラマの映画化、フジテレビ肝いりの三谷幸喜映画、もはや伝統芸能とも言える典型的なティーンムービーと、作品の座組自体に新しさがまったくないところが気にはなるが。

 最後に、前週5位から4位に再浮上した蜷川実花監督『人間失格 太宰治と3人の女たち』について触れたい。日曜までの公開から17日間の成績は、ウィークデイも女性の観客層を中心に安定した興行を続けて、動員69万3000人、興収9億3600万円という数字。累計興収12億円を突破している今年7月公開の『Diner ダイナー』に続いて2作連続で10億円突破が確実となった。ヒットメイカーであることはもちろん大きな価値だが、映画監督としての仕事を続けていく上でそれ以上に重要なのは「コケない」監督であること。興収21.5億円を記録した2012年の『ヘルタースケルター』を筆頭に、蜷川実花は作家性の強い作品を撮り続けながら、ここまで「コケない」監督であり続けている。『Diner』は3位止まり、『人間失格』は4位止まりと、強力な上位作品に阻まれて動員ランキングではそこまでの存在感を示してはこなかったが、短い間隔で公開された、それぞれかなり作風の異なる、非「東宝配給」(『Diner』はワーナー配給、『人間失格』は松竹とアスミック・エースの共同配給)の実写作品で、いずれも10億円突破というのは、実は影の快挙と言っていいだろう。(宇野維正)

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