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sumika、喪失から生み出した“最高傑作” 現在に至るまでの葛藤と創作を振り返る

リアルサウンド

21/3/2(火) 16:00

 sumikaが前作『Chime』から約2年ぶりとなるニューアルバム『AMUSIC』をリリースした。3rd e.p.『Harmonize e.p』を挟み、通算3枚目となるフルアルバムは、TVアニメ『MIX』のOPテーマ「イコール」やドラマ『おっさんずラブ -in the sky-』の主題歌「願い」、映画『ぐらんぶる』の主題歌「絶叫セレナーデ」、第99回全国高校サッカー選手権大会応援歌「本音」などのタイアップ楽曲に加え、メンバー4人それぞれが作曲した新曲や、キーボード&コーラスの小川貴之がメインボーカルを務めたブライトなポップロックなどを含め、実に全16曲が収録されている。

 2020年3月末からスタート予定だった全国アリーナツアー『Daily’s Lamp』が延期となってしまったが、同年5月には医療やエンタテインメント従事者を支援対象とした基金「Dress farm 2020」を創設し、9月には初のオンラインライブ『Little Crown 2020』を開催。先の見えない暗闇の中でも希望の明かりを灯し続けてきたsumikaが2020年をどう過ごし、2021年をどう歩んでいこうとしているのか。彼らの今、現在のマインドが詰まったアルバムとなったようだ。(永堀アツオ)

原点に立ち戻って音楽と向き合った2020年

ーーまず、アルバムが完成した率直な感想からお伺いできますか。

小川貴之(Key/Cho)(以下、小川):2020年を乗り越えて、いい空気感でレコーディングできたので、とてもいい状態の曲たちが込められております。本当にいいアルバムができたなと思っていますし、このアルバムを聴いた上で、どのような感想をいただけるかが今から楽しみで、早く届けたいなという思いがあります。

黒田隼之介(Gt/Cho)(以下、黒田):いろんな緊張感を持って作っていたんですけど、終わって振り返ってみると、改めて、楽しかったなって思います。1曲1曲、ちゃんと思いを乗せて作れたので、めちゃくちゃいいアルバムができたと思っております。

荒井智之(Dr/Cho)(以下、荒井):昨年はいろんな分野の方々が辛い思いをしている中で、僕たちも影響を受けましたけれども、このアルバムを作れるということがすごく支えになっていたし、心の中で大事な拠り所になっていて。その結果、ほんとに自分たちでも納得できる、素晴らしい作品になったと思いますし、聴いてくださる皆様にとっても大事な作品になるといいなと思っています。

片岡健太(Vo/Gt)(以下、片岡):最高傑作だなと思います。こうやって言えることは当たり前じゃないと思ってますし、かといって、ビジネストークでもない。前作と比べて、どうフラットな目で見ても、絶対に最高傑作だなと思えるものが、2021年のこのタイミングで出せるっていうことをすごく嬉しく思っています。2020年、止まってしまったり、失ってしまったものもあるんですけど、それだけじゃなかったなって思わせてくれるのは、このアルバムができたからだと思うんですね。完成してくれたことに、……他人事のようですけど、感謝して、発売できることを嬉しく思ってます。

ーー16曲のフルボリュームで、サウンド的にもバラエティに富んでいるので、どこから話していいのか迷ってるんですよね。

片岡:(笑)。自由ですよ、どこを切っても大丈夫です。

ーーでは、アルバムの制作はどんなところから始めましたか。

片岡:アルバム用に曲作りしようかっていうタイミングで、タイトルの話をしましたね。自由すぎると、ともすれば散らばっちゃうというか、良くも悪くもいろんな方向に行く可能性があるので、タイトルを決めて、みんなが進む方向性だけを決めて、そのアプローチは自由にしよう、と。だから、タイトルは一旦、相談しました。

小川:アルバムのシンボル的な言葉をまず、いただくっていう感じですね。

片岡:そうですね。だから、まず、「仮で『AMUSIC』はどうだろうか?」っていう提案をして、そこから曲作りに入っていったかな。

小川:毎回、片岡さんからタイトルのプレゼンがあるんですけど(笑)、割と今回はさっくり目でしたね。

片岡:めっちゃさっくりしてた。仮だったから。

小川:前振りがあって、タイトルをバンって発表して、みんなが拍手するっていう(笑)。今回は、言葉の強さはあったけど、割と自由度は高いのかなと思いました。その後、いつもsumikaがやってるのは、こういう楽曲をやりたいよねっていうマッピングをするんですね。シングル曲とか、既存の曲がある中で、どの要素が足りないんだろうっていう話し合いをしてから、作曲に移っていく感じですね。

ーーアルバムのシンボルになったタイトルの意味を教えてください。

片岡:これは造語なんですけど、2020年、僕らもツアーができなくなっちゃって。音楽活動することができなくなったときに、一旦、音楽をやってる時に得られる感情が全部削ぎ落ちちゃったんですね。喜怒哀楽、全部が0になってしまった。ほんとに何も感じない状況だったんです。ほんとに感情が死んじゃったなって思ったことがあって。その時のことを、まずはちゃんと思い出して、次に取り掛かりたいなと思ったので、まず、「AMUSIA(アムジア)」=「失音楽」っていうところから始まって。音楽を失った後に、「Dress Farm 2020」(※1)の時に曲を作るっていう行程が始まりました。

ーーメンバーそれぞれが作曲した新曲4曲を初のリモートレコーディングで制作して発表しました。

片岡:そこで、自分にもなにかできることがあるかもしれないと思ったし、音楽活動の楽しみを自分たちで作っていって。もちろん、誰か喜んでくれる人がいるから楽しいなって思うけど、その前に自分たちが楽しんでやってる。誰かにやらされているわけではなくて、自分たちが楽しんで音楽をやっているっていうことがすごく大事だなと思ったので、それは自分たちにとっての娯楽であるという意味で、「AMUSEMENT」という言葉が出てきました。そこから何を作ろうとしているのかなって考えたときに、それはきっと誰にも真似できないものだって思ったんです。

 音楽は数えられないんですけど、唯一のものだなと思った時に、ひとつの音楽=「A MUSIC」と思いつきました。それは、sumikaだけじゃなくて、他のアーティストもみんな、そのアーティストにしかできないことをやってると思うんですけど、その人にしかできないことをやっているっていうことに、ちゃんと誇りを持ってやっていこうと。だから、自分たちにしかできない音楽を、失ってしまったことも思い出しながら、それでも楽しんでやっていこうっていう思いを一語にこめて、「AMUSIC」っていうタイトルにしました。

ーー自分たちにしかできない音楽を鳴らそうってことですよね。

片岡:それに尽きるなと思って。sumikaを始めたときから、大事にしていたことなので、原点に立ち戻ったという感じですね。去年の「Dress farm 2020」や『Little Crown』(配信ライブ)も、2020年にいきなりポンって出てきたものじゃなくて、過去にやってきたものを、今一度、原点に戻ってなんかやろうっていうタームだった。原点に立ち戻って、音楽をもう1回作るっていうのが、自分たちにとってもやるべきことだったのかなって思うんですよね。そこに強制的に戻されたけど、メンバーやスタッフ、チーム、sumikaを支えてくれる人と一緒に歩めるっていうのは、また新しい楽しみが始まるんじゃないかなって、2021年の今、思ってますね。

やむなく中止となった『Daily’s Lamp』ツアーへの思い

ーーこのアルバムタイトルを象徴する曲を1曲ずつ挙げていただけますか。

荒井:難しいな……。全てが絶妙なバランスで成り立ってるし、全部大事な曲なんですけど、あえて挙げるなら、健太が「Lamp」を持ってきたときに、「このアルバムの幕開けを飾りたい。ある種、道標にしたい」という話をしていて。それは納得がいくというか、すっと入ってきて。ある意味での象徴というか、道案内役のポジションになってくれた曲だなと思いますね。

ーー「Lamp」というのは、延期の末に無観客の配信ライブに振り替え(2月9日に開催)になってしまったアリーナツアーのタイトルにも入ってたワードですね。

片岡:そうですね。『Daily’s  Lamp』というツアーのことを、忘れたくないなという気持ちがあって。2020年3月末から始まる予定だったツアーは、いわゆるリハーサルの最終行程まで進んでいたんです。だから、僕らにはランプがきちんと灯っていた状態で、あとは全国各地に灯していくだけっていうタイミングでなくなっちゃった。ちゃんと僕らの中に灯っていたものを、曲を通して、伝えていかないと、『Daily’s Lamp』が浮かばれないし、配信という形ではありますけど、『Daily’s  Lamp』をちゃんとやった上で2021年は進めていくべきだろうなって思っていて。ある種の、去年から今年にかけての宿命みたいなものを背負いながら。ただそれも、重いものを背負わされているわけではなくて、やっぱり、これが好きだよな、こういう気持ちで音楽をやりたいよなっていう、ポジティブな気持ちで作ったんですね。曲調もそうですし、難しい言葉も使ってない。年齢も性別も問わずに聴ける歌であるべきだなっていう気持ちで作りました。

ーー「HEY!」って声を上げながらアイリッシュダンスを踊りたくなるような曲になってます。

片岡:元々、一人でアイリッシュダンスを踊ってる人の動画を見たところから着想を得てて。アイリッシュが感覚的に好きなんですよね。それを無理することなく、自分の血に従って作った曲です。

小川:これはほんと楽しい曲です。知らない人と腕を組んで酒飲みたいなって。

黒田:めっちゃわかる。

小川:一聴しただけで楽しさが伝わる。僕もそういう楽しいピアノを弾きたいなって思って。そこだけに集中しましたね。楽しくやりたいって。

黒田:トリコロールさん(3人組のケルト/アイルランド音楽バンド)と合わせた時に、ガッツポーズが出ましたね。これだ! って。お酒が飲みたいって。

片岡:あはははは。アイリッシュパブに行きたくなる。エンジニアさんも言ってた。「これはビールが飲みたいね」って。これから先のライブでも生きてくる曲だと思います。

ーー(笑)。続いて、黒田さんにお願いします。

黒田:僕も「Lamp」かなと思っていたんですけど、「わすれもの」はおがりん(小川)がリードボーカルをやっていて。他のバンドじゃなかなかできないだろうなっていうのもあるし、sumikaの中で大きな武器なので、アルバムにとっても、バンドにとっても、大事な曲だなって思ってます。

小川:自分がバンドにとって何者なのか? って考えた時に、歌もちゃんと歌いたいっていう答えが出たんですよね。それで僕からメンバーに「歌いたいんですけど、作ってもらえませんか」っていうお願いをして。

ーー小川さんボーカル曲は、小川さんが作曲して、片岡さんが作詞した「enn」に続き2曲目になりますね。

片岡:素晴らしい提案だなと思いました。小川くんのボーカルをひとつの楽器として信頼しているので、僕としては久しぶりにエレキギター弾けて嬉しいな、くらいのフラットな気持ちでした(笑)。ありがたい話でタイアップが続いていて、スケジュールが立て込んでいる中で、2020年、1回止まらなかったら、何がやりたいか、何ができるかっていうことを改めて考えられなかったと思うんですね。そういった意味では、小川くんが自分で考えた中で、sumikaでメインボーカルをやりたいっていう気持ちがあったことが、僕はメンバーとして純粋に嬉しかったです。

ーー黒田さんは、どんな曲を作ろうと思っていましたか。

黒田:大事な役割ですし、しょうもない曲になったらどうしようっていう不安はめちゃくちゃあって(笑)。でも、おがりんが歌ってくれるっていうのがわかった上で制作に入ったら、ふとした時に、おがりんの声でサビのメロディがパッと思いついて。驚くくらい、すんなり、自然に作れました。

片岡:黒田くんが作曲して、僕が歌詞を書いて、小川くんが歌を歌うのは今回が初めてだったんですけど、そういう時はあまり悩まないんですよ。比較対象がないから、なんでもありだなっていう気持ちになれる。だから、僕も歌詞を書くのがすごくい早かったです。自分でこのテーマにして、1時間半くらいで全部書きましたね。

ーーそのテーマというのは?

片岡:友情です。小川くんは友達思いなんですよ。みんな、人間関係を大事にしていると思うんですけど、ふとした時に出てくる話が、友達や家族、人のことを大事にしているなっていうのが一番最初にポンと出てきた。その直感に従って書くべきだなって。

小川:本当にあの、嬉しかったです。じゅんちゃんがすごくいい曲を書いてくれたし、片岡さんから「こういうテーマで歌詞を書こうと思うんだ」っていう連絡を電話でもらった時も、心にすっと入ってきた。うまく歌おうとかじゃなくて、あるがままに歌えばきっと伝わるっていう思いのままレコーディングできた。僕にとってのギフトのような曲になりましたね。

『AMUSIC』によってsumikaの在り方を再提示

ーー先にご自身のボーカル曲を挙げられてしまいましたが、そんな小川さんが挙げる曲は?

小川:またじゅんちゃん曲になっちゃいますけど、「白昼夢」かな。「願い」を作った人がこれ作るかって。

黒田:(笑)

片岡:確かに。

ーー(笑)。「願い」は切なくも心が温まるようなラブソングになってますが、「白昼夢」はダークでミステリアスでカオティックなロックチューンになってます。

小川:「願い」を作った時と「白昼夢」を作った時のメンタリティーは違うと思うんですよね。「願い」はこういうものを作りたいと思って作って、「白昼夢」はこういうものができちゃったっていう作り方かなと。心がそのまま現れた、みたいな感じ。じゅんちゃんの中にある音楽がそのまま出てきたっていうふうに感じとれました。

黒田:自由に作っていいっていうターンだったので、自由に作ったらこうなったていうことですかね(笑)。音がごちゃごちゃって詰め込まれている感じは、心の中のドロドロしてしまってる部分。自分の音楽性というか、好みとしては馴染みが深いもので、自由に作っていいっていうから自由に作ったんですけど、アルバムに収録されることになるとは思ってなくて。選んでいただいて、大丈夫だったのだろうかっていう気持ちもあります。

片岡:(笑)。いや、一番最初に決まったくらいですよ。これは入れましょうって。

小川:三人は即決でした。

片岡:歌詞はじゅんちゃんから「ぐちゃぐちゃにしてください」とリクエストがあって(笑)。

荒井:ある意味で、じゅんちゃんらしいというか。「願い」みたいな一面もあれば、ちょっとダークというか、ディープで攻撃性のある一面もある。音楽的な部分だけじゃなく、もしかしたら実生活でもそうかもしれない。いつもの性格の反動というか、表に出せていない部分もきっとあると思うんですよね。それはおもしろいし、すごく楽しんでレコーディングできました。

ーー最後に片岡さんにアルバムを象徴する1曲をあげていただけますか。

片岡:荒井くんが作った「Jamaica  Dynamite」ですね。「Dress Farm 2020」でメンバー一人1曲ずつ作曲した時は配信だったので、手に取れるアルバムという形で、荒井くんの曲がちゃんとデビューしたかなと思っていて。それが今回のアルバムに入ること自体が、今のバンドのメンタリティーとか、2020年とどう向き合って、2021年にどう進んでいくのかっていうものを表していると思うんです。この曲が『AMUSIC』に入ったことが、今のsumikaを象徴していると思います。

ーー荒井さん曲は「VOICEVoice」に続き、2曲目になります。どんなところから作りましたか?

荒井:特に何も考えずに(笑)、「Jamaica  Dynamite」という言葉とメロディがポンと一緒に思いついて。その時はまだアルバムの話も立ち上がってない時期だったので。好き勝手に作っていたら、あ、いい曲だなって。

ーーすみません、今更ですけど、「Jamaica  Dynamite」ってなんですか?

荒井:僕もわからないんです(笑)。歌った時にはもうできてた。

片岡:誰もわからない。でも、歌詞もそこからはじめました。最初は荒井くんに「Jamaica  Dynamite」を使わなくてもいいって言われたんですけど、僕の希望としては、「Jamaica  Dynamite」を使うべきだって話をして。あと、クールに行きたいっていう希望があったので、夜だったり、ドライブがイメージできるものがいいなと。しかも、ストーリー性があって、先を想起させるものが作れたらいいなっていう話をしていて。この曲はアウトロにいろんなアーティストのプレイヤビリティが見えるもので、そこも一個のストーリーと考えているんです。言葉のストーリーは歌詞の最後で終わるけど、そこから先はどうなるかをみんなで想像していく時にそれぞれの音が入るのが大事だと思っていて。ここに演奏が来るなら、歌詞はここまでで大丈夫かなっていう考え方で書くことはあまり多くないので、自分にとっても新しいアプローチでした。

ーーアルトサックスやパーカッション、ドラムソロなども入った、ファンキーでアーバンな都会のナイトミュージックになってます。

荒井:楽器と歌の比重を半々くらいにしたかったんですよね。

黒田:そういう曲を今までやったことがなかったので楽しかったです。

ーー受験生に向けて書き下ろした「祝祭」、ミュージカル調のジャズとEDMを融合した「惰星のマーチ惰性のマーチ」、sumika初の誕生日ソングでグッドメロディの「Happy Birthday」も気になりますが、「センス・オブ・ワンダー」に続き、2年連続で「進研ゼミ」のCMソングに起用された「アルル」がエバーグリーンな輝きを持った名曲だなと思っていて。

黒田:ありがとうございます。歌ものバンドサウンドみたいなものを目指して作りました。リズムが跳ねてるけど、歌は跳ねないっていうことをやりたいなと思って作り始めたんです。それがちゃんとできてたかどうかはわからないんですけど……。

片岡:できてたよ! 「アルル」はゴッホが目指した街の名前で。ロンドンナショナルギャラリーに行った時、ゴッホのひまわりを見たんですけど、めちゃくちゃ食らっちゃって。すごすぎて、立てなくなっちゃったんですね。ゴッホのヒストリーについては知ってる方が多いと思うんですけど、ちゃんと希望を持って動いていた人なんだなって思ったんですね。ゴッホは様々な絶望の中、アルルは光があふれる素晴らしい街だって言うのを聞いて、そこに行ってみたいと、希望を持って目指した町の名前だった。

ーーアルルに向かうときの気持ちってことですよね。ゴーギャンとの共同生活が破綻して、耳を切り落としたりする前の。

片岡:そうですね。ゴーギャンを「いい町だよ」って呼び寄せる時の気持ちってすごく大事だなと思って。暗い気持ちになることが多かった2020年の中で、いい場所だよ、光があるよって、呼び寄せられる場所って、すごく貴重だなと。この曲がそういう場所になってくれたらいいなという思いを決めて、「アルル」にしました。

小川:sumikaらしさが詰まってるなって思います。

荒井:抜群のメロディですごくいい曲だし、僕は個人的にこの曲で3度出てくる、ギターのテーマのフレーズがすごく好きで。頭と1サビの後と、最後に出てくる。あのフレーズが綺麗に聞こえれば、この曲はすごくいいものになるなと思いました。ドラムでもミックスでも最後まで気にかけました。

ーー全16曲が完成して、バンドの今後は見えましたか。

小川:このアルバムが完成したことで、sumikaとはなんぞやっていうのを今一度、提示できたと思うんですね。2021年も継続して荒波に揉まれている状態ですけど、その都度、ちゃんと答えを出していって、sumikaらしく発信していけたらいいなと思っていて。僕たちが作品を発表するたびに心を躍らせてくれるリスナーの方たちに向けて、正しく届けていきたいなと思っています。

荒井:やっぱり、自分たちが納得できる作品をひとつ作り上げることができたことで、音楽家として、また一歩前に進めたとは思えています。これをどういうふうにみなさんが受け取ってくれるのか。僕たちもどういう形でこのアルバムを届けていくことができるのか。相変わらず、模索していきたいなと思っています。

黒田:ライブがしたいですね。2020年3月4日にリリースした『Harmonize e.p.』の中にも、まだライブで披露できていない曲があって。「届いたよ」っていう声は聞いているけど、ライブで一緒に音楽する機会を作れずにいる曲が多くなってきてしまっているので、すごく心苦しいなという気持ちがあって。いろんなライブの形があると思うので、その時の一番いい形で、ライブがしたいなと思ってます。

片岡:オンラインのライブも、やってみたら純粋に楽しかった。ちゃんと繋がってるなっていう気持ちもあった。もちろん、対面で会えるライブの喜びもたくさん知ってる。どちらの形になるのか現状ではまだわからないんですけど、オンラインだからダメで、人と会えるからいいってわけでもないなと思っていて。当たり前のように人と会えていた頃のライブを求めてしまうけど、お客さんが目の前にいても悪いライブをする時もあるから、そこは美化しちゃいけないなと思っていて。いいライブはいいライブで、オンラインであっても、オフラインであっても変わらない。『AMUSIC』というアルバムを持って、ちゃんといいライブを届けていきたいなと思ってます。

※1
2020年5月にsumikaが立ち上げた基金。新曲4曲と未発表ライブ映像4曲を公開し、ユーザーが自由に価値をつけ、身近な人への「ありがとう」や自分自身への「明日も頑張ろう」などの“気持ち”や、あるいは“金額”という形でも、それぞれが自由に設定した“価値”を寄付。その寄付は、医療従事者とエンターテインメント業界の活動支援金に充てられた。

■リリース情報
sumika
『AMUSIC』
発売日:2021年3月3日(水)リリース

<商品概要> ※3形態での発売
【初回生産限定盤A】CD+DVD / SRCL-11720~1 / ¥4,909+税
【初回生産限定盤B】CD+DVD / SRCL-11722~3 / ¥4,364+税
【通常盤】CD only / SRCL-11724 / ¥3,000+税

<CD収録内容 初回生産限定盤A / 初回生産限定盤B / 通常盤 共通>
「祝祭」(森永製菓 受験に inゼリー2021  CMソング)、「アルル」( 『進研ゼミ』CMソング)を含む、計16曲収録
01. 「Lamp」
02. 「祝祭」・・・森永製菓 受験に inゼリー2021 CMソング
03. 「願い」・・・テレビ朝日系土曜ナイトドラマ『おっさんずラブ-in the sky-』主題歌
04. 「イコール」・・・読売テレビ・日本テレビ系TVアニメ『MIX』オープニングテーマ
05. 「Happy Birthday」
06. 「Jamaica Dynamite」
07. 「白昼夢」
08. 「アルル」 ・・・進研ゼミ CMソング
09. 「本音」・・・第99回全国高校サッカー選手権大会応援歌
10. 「ハイヤーグラウンド」・・・アニメ映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』主題歌
11. 「惰星のマーチ」
12. 「Late Show」・・・日本テレビ系 「スッキリ」 2021年1月テーマソング
13. 「わすれもの」
14. 「Traveling」
15. 「絶叫セレナーデ」・・・映画『ぐらんぶる』主題歌
16. 「センス・オブ・ワンダー」・・・『進研ゼミ2020』CMソング

<初回生産限定盤A 特典DVD内容>
sumika Film #7
〜sumika Online Live 「Little Crown 2020」〜
01. Answer
02. フィクション
03. ふっかつのじゅもん
04. イコール
05. ファンファーレ
06. ゴーストライター
07. エンドロール
08. Summer Vacation
09. 絶叫セレナーデ
10. MAGIC
11. 明日晴れるさ
En. 雨天決行
※Behind The Scenes収録、副音声:sumikaメンバーによるオーディオコメンタリー収録
※プレイパス封入(※特典DVD部分 ※2022年3月2日まで)

<初回生産限定盤B 特典DVD内容>
sumika Film #8
〜sumika[camp session] Live〜
01. 知らない誰か
02. アネモネ
03. ここから見える景色
04. Strawberry Fields
05. 願い
06. Lovers
07. 言葉と心
08. オレンジ
※プレイパス封入(※特典DVD部分 ※2022年3月2日まで)

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