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「こんぴら歌舞伎」で最後の襲名披露迎える白鸚・幸四郎「感謝の気持ちで」

ナタリー

20/2/12(水) 20:30

第36回「四国こんぴら歌舞伎大芝居」製作発表会見より、左から松本白鸚、松本幸四郎。

4月に香川・旧金毘羅大芝居(金丸座)で上演される「四国こんぴら歌舞伎大芝居」の製作発表会見が本日2月12日に東京都内で開催され、松本白鸚、松本幸四郎、公演が行われる琴平町の片岡英樹町長、松竹の安孫子正副社長が登壇した。

1985年に初演された「四国こんぴら歌舞伎大芝居」は、1835年に建築された日本最古の本格的芝居小屋・旧金毘羅大芝居(金丸座)にて毎年行われている人気興行。令和初となる今回は「松本幸四郎改め二代目松本白鸚 市川染五郎改め十代目松本幸四郎襲名披露」と銘打たれ、白鸚と幸四郎の襲名披露口上のほか、「隅田川続俤」「寿式三番叟」「義賢最期」が上演される。

白鸚が「四国こんぴら歌舞伎大芝居」に出演するのは、約9年ぶり4回目のこと。白鸚は今回、第1部の「隅田川続俤」で家老淡路七郎増兼、第2部の「寿式三番叟」で翁を勤める。白鸚は「4年にわたった高麗屋の襲名披露も本公演が最後。それを思い出深い金丸座で迎えられることがうれしい」と顔をほころばせつつ、「『寿式三番叟』の翁は、歌舞伎座や御園座のこけら落としのときにも舞わせていただいた演目ですので、感無量でございます。皆様への感謝の気持ちで舞うことができれば」と意気込みを述べた。

幸四郎は、「四国こんぴら歌舞伎大芝居」には約6年ぶり5回目の登場。「前回は『女殺油地獄』を上演させていただいたのですが、本物の油を使っての立ち廻りをお許しいただいたり、9年前の『鯉つかみ』では、地元の多くの方々に裏方になっていただいたりと、まさに金丸座の方々とともに作品を作り上げてまいりました」と振り返る。

「隅田川続俤」の法界坊、「義賢最期」木曽先生義賢と、ともに初役に挑むことになった幸四郎は「(『隅田川続俤』は)見やすく楽しい場面が多いですが、そこをいかに真面目にやるかが肝。“真面目に面白く”に徹したい」と言葉に力を込め、「先代の中村屋のおじさまが法界坊を演じていらしたとき、私は丁稚役で出演しておりまして。父に釣り鐘の絵を描いてもらって、家の廊下を花道に見立て、お芝居ごっこをした覚えがあります(笑)」とエピソードを語った。また幸四郎は「『義賢最期』の義賢は憧れのお役。松嶋のおじさまに教えていただきます。金丸座ではすでに上演されたことのある演目ですが、義太夫ものの重厚さ、迫力、音楽や色彩的な美しさ、すべてが必要なお芝居。これを初演といたしまして、再びこのお役を演じられることを目標にしたい」と思いを述べた。

幸四郎の発言に白鸚は目を細めながら「幸四郎は小さい頃から芝居や踊りが好きで、何も言わなくても歌舞伎座に通うような子でした」と微笑み、「(幸四郎が)小さい頃は親子という感覚がありましたが、今はもうそのような気持ちでいると、蹴飛ばされて置いていかれてしまう(笑)。一旦舞台に立ったら、俳優同士でございます。とにかく負けたくないですね。親子ではもうございません!(笑)」と冗談交じりに述べ、会場を笑いで包む。それに対し幸四郎は「……仲良くできればいいなと思います(笑)」と返し、さらに笑いを誘った。

最後に幸四郎は「これだけ大道具の多い金丸座の公演は初めてなのではないでしょうか。『隅田川続俤』は場面ごとの仕掛けもたくさんありますし、押戻もあります。金丸座のコンパクトさを逆手に取って、どう怖く見えるか、面白く見えるか、そして驚かせることができるか、研究中でございます」と構想を語りつつ、「金丸座は、中と外が障子1枚の隔たりしかないので、特に天気が悪い日が印象的で。以前出演させていただいたとき、雨の音を聞きながらお芝居をしたのですが、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような心持ちでした。お芝居、ストーリーを楽しむだけではなく、歌舞伎見物の空気感というものも楽しんでいただけるのではないかと思っております」と見どころに触れ、会見を締めくくった。

公演は4月11日から26日まで、香川・旧金毘羅大芝居(金丸座)にて。チケットの一般販売は2月21日10:00にスタート。

第36回「四国こんぴら歌舞伎大芝居」

2020年4月11日(土)~26日(日)
香川県 旧金毘羅大芝居(金丸座)

第1部

「隅田川続俤」
聖天町法界坊 / 野分姫の霊:松本幸四郎
渡し守おしづ:中村雀右衛門
道具屋甚三:中村鴈治郎
番頭長九郎:片岡亀蔵
若党五百平:大谷廣太郎
娘おくみ:市川男寅
息女野分姫:上村吉太朗
大阪屋源右衛門:松本錦吾
手代要助実は吉田松若丸:市川高麗蔵
永楽屋おらく:大谷友右衛門
家老淡路七郎増兼:松本白鸚

第2部

「寿式三番叟」
翁:松本白鸚
千歳:中村雀右衛門
三番叟:中村鴈治郎

「義賢最期」
木曽先生義賢:松本幸四郎
下部折平実は多田蔵人:中村鴈治郎
矢走兵内:片岡亀蔵
進野次郎:大谷廣太郎
待宵姫:上村吉太朗
九郎助:松本錦吾
葵御前:大谷友右衛門
小万:中村雀右衛門

※2020年3月23日追記:本公演は新型コロナウィルスの影響で中止となりました。

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