THE RAMPAGE RIKUの「音楽大陸」 Vol.9(前編) ものまねシンガー荒牧陽子が誕生するまで
左からRIKU、荒牧陽子。
THE RAMPAGE from EXILE TRIBE・RIKUさんの連載「音楽大陸」Vol.9には、ものまねシンガーの荒牧陽子さんが登場。荒牧さんは昨年夏に「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE『SWAG & PRIDE』を、加藤ミリヤさん&倖田來未さんで歌ってみたらこんな感じ!」と題した動画をYouTubeに投稿し、その動画をいち早く見つけたRIKUさんは「いつか荒牧陽子さんにお会いしたい!」と対面する日を待ちわびていました。「音楽大陸」ではそんなRIKUさんの願いを叶えるべく荒牧さんにオファーし、今回の対談が実現。前編では彼女がものまねシンガーという特殊な職業に就いたきっかけや、あまり知られていないガイドボーカルという仕事の裏側にRIKUさんが迫ります。
取材 / RIKU 文 / 清本千尋 撮影 / 曽我美芽
うれしみが深すぎるんですけど
RIKU 「音楽大陸」も気付けばVol.9。これまでいろんな方にゲストに来ていただいたんですが、荒牧さんにお声かけしたいと思った理由は、僕らの「SWAG & PRIDE」という曲を加藤ミリヤさんと倖田來未さんになりきってカバーされている動画を拝見して感激したからなんです。目を閉じたら本当にそのお二人が歌っているように聞こえてびっくりしたんですよ。それに以前からテレビ番組などで拝見していた荒牧さんがまさか僕らの曲をカバーしてくださるなんて思ってもみなかったので衝撃だったんです。
荒牧陽子 今回はTHE RAMPAGEさんのものまねをしているわけではないけれども、原曲を歌っている歌手の方にそうやって言っていただけて本当にうれしいです。
RIKU ものまねに感動したのもそうなんですけど、まず僕らの楽曲をカバーしてもらえることがうれしいんですよ。僕らを応援してくれている男の子がカラオケで歌っている動画とかをSNSで観て「この人上手だね」とかメンバー間で共有していて。
荒牧 観てるんだ! それはしっかり読者の方に伝えてあげてほしい!
RIKU 歌唱力に自身がある方はぜひカバー動画を上げてください(笑)。荒牧さんはなんで今回「SWAG & PRIDE」を選曲してくださったんですか?
荒牧 去年の夏、YouTubeを本格的に始めることにして、自分が好きな曲、歌っていて楽しめる曲はなんだろうと考えていたときに、ふと思い出したのが「SWAG & PRIDE」だったんです。テレビで流れているのを聴いてずっと覚えてたんですよね。
RIKU うれしみが深すぎるんですけど。
荒牧 (笑)。「THE RAMPAGEは男性ボーカルの曲だし、女性歌手のものまねで歌うなら誰がいいかな」「もし『スワプラ』でTHE RAMPAGEの3人と女性歌手がコラボするなら誰がぴったりなんだろう」と考えたときに、すぐ倖田來未さんの絵が想像できたんです。さらに、せっかくなら倖田さんと誰かが歌っているようにしたい、異色なコラボにしたいと考えて加藤ミリヤさんのものまねと組み合わせることにしたんです。
RIKU 動画を観ていて「倖田來未さんも加藤ミリヤさんも歌いながらこういう動きしそう!」と思いました。衣装もしっかりその人に寄せていたから、こだわり散らかしててカッコいいなと。
荒牧 散らかしてました?(笑) いやあ、うれしいです。
“17人目のメンバー”のおかげで届いた「SWAG & PRIDE」
RIKU 「SWAG & PRIDE」以外の曲はまだあまり聴いたことがないと伺ったので、僕からいくつかオススメさせていただいたんですけど、THE RAMPAGEのほかの曲、どうでした?
荒牧 ラテンの「HEATWAVE」がめちゃめちゃセクシーですごくよかったです。歌いたくなりました!
RIKU すぐに歌ってほしいです!(笑)
荒牧 いろんな楽曲を聴かせてもらって、THE RAMPAGEさんは音楽の方向性が1つに納まることのないグループなんだなと思いました。セクシーなときはとことんセクシーだし、カッコよさを打ち出したときはめちゃくちゃカッコいい。ボーカルもパフォーマーの皆さんも楽曲によって違う色をしっかりと出せる、本当に魅力が満載なグループですよね。
RIKU いろんなジャンルに挑戦してきたので、その振り幅を観てもらいたくていろいろとレコメンドさせてもらいました。なのでそうおっしゃっていただけてとても光栄です。自分も歌手の端くれとして、歌い方や声の質感、重量感などを意識して歌っているのでうれしすぎます。
荒牧 YouTubeで「SWAG & PRIDE」を歌わせていただいたら、すぐにTHE RAMPAGEファンの方から「すごい」「うれしいです」「ありがとうございます」ってコメントが来て。ものまねシンガーをやっていて感謝されることってほとんどないので、びっくりしました。ものまねって曲や声をお借りして歌わせてもらっているようなものなので、やっぱり披露するときはどんな反応があるんだろうとドキドキするんです。こちらとしても「歌わせてもらっている」という感覚なのに、心からの感謝をTHE RAMPAGEファンの皆さんが書き込んでくださって。SNSでは「ランペに届け」と発信もしてくれていたので、今回ここに呼んでもらって「その声がしっかり届いたよ」と、この場を借りて皆さんに伝えたいです。ファンの方の熱量がすごいですよね。
RIKU 僕らはTHE RAMPAGEファンのことをRMPG CREW(ランペイジクルー)と呼んでいて、17人目のメンバーみたいに思っているんです。一緒にストーリーを作っていこう、一緒に成り上がっていこうぜみたいな感じなんですよね。だからそうやって布教活動……と言うのかな。ファンの皆さんがそういうことをしてくださって、そのおかげで「#THERAMPAGE」とかで検索して荒牧さんの動画もすぐ見つけられたのかなと思います。
カラオケのガイドボーカルをきっかけに
RIKU 荒牧さんのキャリアについても伺っていきたいんですが、そもそもどういった経緯でものまねシンガーになられたのか教えていただけますか?
荒牧 もともとは歌手志望でインディーズでも曲を出していて。20歳の頃に上京してからはずっと裏方の仕事をしていたんですよ。
RIKU どんなお仕事だったんですか?
荒牧 仮歌やコーラスを入れる仕事をしていたんです。その流れの中でカラオケのガイドボーカルの仕事をやることになって。ちなみにRIKUさんは自分たちの曲のガイドボーカルを聴いたことはありますか?
RIKU もちろんありますよ。デビューして初めて自分たちの曲がカラオケに入ったときにすぐにメンバーと一緒にカラオケに行ったんですよ。そこで曲を流して「うわ、入ってる!」ってみんなで大喜びして。それで満足して僕らの曲をたくさん入れて歌わず、ガイドボーカルを流したままお金を払って帰ったりして。次にその部屋に入った人が履歴を見て「THE RAMPAGEって誰?」となるようにいろんなカラオケ店でそれをいっぱいやってたんです。
荒牧 えー、やることがかわいい(笑)。ちなみにガイドボーカルは自分たちの声に似てましたか?
RIKU 曲によってでしたけど、似てるなと思うものもありました。なんかこの曲は僕の歌い癖をまねしてるのかなと感じるものもありましたし。
荒牧 実はガイドボーカルってものまねみたいなものなんですよ。もちろんそっくりじゃなくてもいいんですけど、レコーディングするときに「この人の通りに歌ってください」とリクエストされるんです。ガイドボーカルはお手本ボーカルとも言うので、例えばTHE RAMPAGEの曲なのに矢沢永吉さんみたいな歌い癖で歌われたら違う曲に聞こえちゃうじゃないですか。だから本人の歌い方に寄せるんですね。だから私も、例えばLittle Glee Monsterのガイドボーカルをやるときには5人の声の個性に合わせながら歌うんです。その仕事を22、3歳くらいの頃からやっていて、私の歌声を聴いたテレビ番組の方が「これってものまねですよね?」と興味を持ってくれて、あれよあれよという間に私はものまねでテレビに出ることになり、ものまねシンガーとして歌うことになりました。
RIKU どこで誰が見ているのかわからないって、このことですね。すごいなあ。
荒牧 本当にそう思います。今はYouTubeやTikTok発のシンガーも多いじゃないですか。SNSで見つけられて表舞台に出てくるのって、私がガイドボーカルをやっていてテレビ番組の人にフックアップされたのと似ていると思うんですよ。むしろその先駆けだったんじゃないかな(笑)。ものまね志望ではなかったとは言え「このチャンスは2度と来ない! つかまなければ!」と思いましたね。
まねから始まったキャリア
RIKU ガイドボーカルのお仕事をする中でいろんな歌手の方の特徴をつかんで、ものまねスキルが磨かれていったんですね。それで今では誰の声まねでもできちゃうと。
荒牧 誰の声でもまねできちゃうわけじゃないですよ(笑)。
RIKU 最初にこの人の歌い方はまねしやすいなと気付いたのはどのアーティストさんなんですか?
荒牧 初めてガイドボーカルのお仕事をいただいたときに「この人だったらなんとなく似せて歌えるのでは?」と渡された曲が倖田來未さんだったんです。それで「m・a・z・e」という曲を歌ってみたら、意外としっくり来た。自分で似てるとは思ってないんですけど、波長が合って歌いやすかったんです。レコーディングで歌ってみたらうまくいって、それ以降は倖田來未さんの曲のガイドボーカルをたくさんやらせてもらいましたね。
RIKU へえ。今度カラオケに行ったら倖田來未さんの曲のガイドボーカルを聴いてみます。きっとあれもこれも荒牧さんの声なんだろうなあ。
荒牧 もちろん全部じゃないですよ。でもけっこうやらせてもらってます。
RIKU 僕は高校時代、放課後になるとカラオケに行ってはEXILEさんの曲を歌っていたんです。僕らの世代は完全にEXILE世代なんですけど、カラオケでEXILEを入れるとみんなATSUSHIさんのまねをしながら歌うんですよね。ちょっと吐息混じりな感じで「初雪に~♪」(「Lovers Again」)って。
荒牧 ちょっとセクシーな感じですよね。わかります。
RIKU 全然ATSUSHIさんのようには歌えてないんですけどね(笑)。でも当時使っていた携帯に入っている動画を観てみるとバカ下手くそにEXILEさんの曲を歌っていて。それなのにめちゃくちゃ気持ちよさそうなんですよね(笑)。僕が文化祭のカラオケ大会で歌っているところを誰かが撮影していたみたいで。その動画がYouTubeに上がっていて、スタッフさんに教えてもらって観たんですよ。学校内の大会で優勝して、当時はかなりちやほやされたんですけど、今観ると引くほどダメダメなんです。
荒牧 成長の証じゃないですか。その動画、今も観られるんですか?
RIKU はい。今もありますよ(笑)。これも青春の思い出かなと思って削除依頼は出していないんです。むしろそんな貴重な瞬間を撮ってくれていた人に感謝したいくらいですね。
荒牧陽子(あらまきようこ)
岡山県岡山市出身のものまねシンガー / スタジオシンガー。20歳で上京し、アーティストとして活動しながら、スタジオシンガーとしてのキャリアをスタートさせる。カラオケのガイドボーカルがテレビ局スタッフの耳に留まり、2011年にものまねシンガーとしての活動を開始。得意とするものまねは倖田來未、大黒摩季、中島みゆき、LiSAなど。昭和のヒットソングを歌ったカバーアルバム「リスペクト! 私が昭和を歌ったらこんな感じ!」が好評発売中。
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荒牧陽子 - YouTube
RIKU
1994年8月10日生まれ。THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのボーカル。2014年4月に行われたLDH主催オーディション「EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 4 ~夢を持った若者達へ~」に合格し、THE RAMPAGEのボーカル候補生となる。同年9月に行われた「武者修行ファイナル」で正式メンバーに昇格。2017年1月にシングル「Lightning」でメジャーデビューを果たした。2021年7月から東京・東京ドーム2DAYS公演を含むアリーナツアー「THE RAMPAGE LIVE TOUR 2021 "REBOOT" ~WAY TO THE GLORY~」を開催中。RIKU個人としては毎週金曜日にメンバーの陣と共にスペースシャワーTV「ライブを100倍楽しむLIVE YEAH!!!」、bayfm「WEEKEND THE RAMPAGE」にレギュラー出演している。
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編集部でRIKUさんのお誕生日をお祝いしました
8月10日はRIKUさんの27歳のお誕生日。今回の取材はその2日後の8月12日ということで、編集部ではRIKUさんにバースデーケーキを用意しました。
来る撮影に向けて減量中のRIKUさんでしたが、27のロウソクを立てたフルーツタルトをプレゼントすると大喜び。「スイーツ大好きなんです! 食べたら食べた分動けばいいんで!」とホールのままムシャムシャと食べていました。
荒牧陽子さんに協力していただき、RIKUさんのお誕生日をサプライズでお祝いした様子は、9月10日(金)に動画で公開予定です。