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耳の聞こえない人と災害を追った10年、今村彩子のドキュメンタリー公開&配信

ナタリー

21/1/30(土) 21:54

「きこえなかったあの日」チラシビジュアル

災害現場での耳の聞こえない人たちを追ったドキュメンタリー「きこえなかったあの日」が、2月27日より劇場公開。同日10時よりインターネットでも配信される。

「友達やめた。」などで知られる今村彩子が手がけた本作。自身も耳の聞こえない今村は、2013年に発表した「架け橋 きこえなかった3.11」にて東日本大震災の被災地で困難に置かれたろう者の状況を伝え、震災から10年が経過しようとしている現在も宮城に通い続けている。本作では、東日本大震災だけでなく、2016年の熊本地震、2018年の西日本豪雨、そして新型コロナウイルスの流行といった災害の中で、困難の渦中にいる耳の聞こえない人たちの姿が捉えられた。

今村は「東日本大震災で被災したろう者たちを取材しながら、当時のわたしは耳のきこえない人たちのことを『知ってほしい』と思っていました。しかし、今は一人のひととして、『出会ってほしい』と思っています。そして、どうしたらより心を通い合わせられるのかを、一緒に考えてもらえたら嬉しいです」とメッセージを送っている。なおYouTubeでは予告編も公開中だ。

「きこえなかったあの日」は東京・K's cinemaほか全国で順次公開。

今村彩子 コメント

わたしはこの映画を公表することに正直、後ろめたさがあります。
被災地で耳のきこえないひとの状況を取材して伝える──
素晴らしい活動だと多くの方が好意的に受け止めてくださると思います。
それが後ろめたさに拍車をかけます。

わたしは編集段階で、ある映像作家に指摘してもらうまで、
取材に協力してくださった方々を「被災者」としてしか見ていませんでした。
相手のことを分かろうという、取材で一番大切にしたいことを手放していたのです。

今まで見ようともしなかった映像を見直してみると、そこには確かに生活の「かけら」が映っていて、一人ひとりの「生」が輝いて伝わってきました。

わたしが、東日本大震災直後に宮城を訪れてから、まもなく10年が経とうとしています。
その間に熊本地震、西日本豪雨、コロナ禍と毎年のように災害が起こり、その度、耳のきこえない人たちも窮地に立たされてきました。

しかし、取材で現地を訪れてみると、そこには確かな「希望」もありました。
災害の渦中で、少しでも前に進もうとしている人々の姿に、人間の逞しさを見る思いでした。

東日本大震災で被災したろう者たちを取材しながら、当時のわたしは耳のきこえない人たちのことを「知ってほしい」と思っていました。しかし、今は一人のひととして、「出会ってほしい」と思っています。

そして、どうしたらより心を通い合わせられるのかを、一緒に考えてもらえたら嬉しいです。

(c)2021 Studio AYA

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