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Uruが作り上げた、リスナーとの親密感のあるステージ ルーツと色彩豊かな魅力を見せた初のオンラインライブレポート

リアルサウンド

20/9/7(月) 13:00

 シンガーソングライターのUruが、9月6日、初のオンラインライブ『Uru Online Live 2020 “あなたと私”』を配信した。生ライブの定番となっている紗幕を使った演出ではなく、“あなたと私”をコンセプトにした今回の公演。オリジナル曲、カバー曲を織り交ぜながら、リスナーと1対1で向き合うような親密感のあるステージが繰り広げられた。

 最初に聴こえてきたのは水滴の音、そして、クラシカルな弦の響き。水面が広がる幻想的な映像、シックなライティングとともに披露されたオープニング曲は、「今逢いに行く」。この夏、小松菜奈が出演したMVが話題を集めたバラードナンバーだ。繊細な感情がすれ違い、それでも愛する人のもとに行こうとする姿を描いた楽曲を美しく描き出すボーカルに胸をギュッと掴まれる。さらにピアノのイントロから「奇蹟」へ。生きる喜び、生命のつながりを綴った歌詞が響き、大きな感動へと結びつく。ソフトフォーカスを効果的に使った柔らかい映像もUruのボーカルの魅力、ミステリアスな佇まいを際立たせていた。

「初めての配信ライブ“あなたと私”を見てくださって、ありがとうございます。予定していたライブが延期になってしまったり、中止になってしまいましたが、今回、配信ライブという新しい形でお届けすることができて、嬉しく思っております」

「みなさんはどんなふうに聴いてくださってるでしょうか。ソファに座りながらとか、ごはんを食べながらとか、お酒を飲みながらとか。こんなふうにちょくちょく話しかけていこうかと思うので、その場所でお返事いただけたらと思います」

 と、語り掛けた後は、カバー曲とオリジナル曲を織り交ぜたセクションへ。まずはwacci「別の人の彼女になったよ」。Hidenoriのピアノと飯塚直斗のアコギによるアコースティックなアレンジとともに、息苦しいまでの切なさをたたえた歌が紡がれる。原曲の良さを大切にしながら、憂いを帯びた表情を重ねることで“Uruの歌”が生まれるシーンは、このライブの最初のハイライトだったと思う。続く「remember」は、Uruのシングル曲。〈愛されたいと本当はもがいていた〉に象徴される別れの寂しさを描写した歌詞は、「別の人の彼女になったよ」とのつながりによって、新たな物語を生み出していた。

 モノクロの映像で披露された「いい女」も強く心に残った。恋人との別れのシーンを叙情的に綴ったバラードだが、独特のブルーズ感、昭和の歌謡曲にも通じるノスタルジックな雰囲気を現代的なポップスに導くセンスもまた、シンガーソングライターとしての彼女の魅力だ。

 ライブ後半、Uruはリスナーに向かって、こんなふうに語りかけた。一つだけ自分を肯定できると思えるのは、最後には自分がやりたかったこと、行きたい道を選べたこと。居心地のいい場所から抜け出せない時期もあったけど、「本当にこれでいいのか」と考えることができて、いま、ここで歌っていること。そのときにたくさんの音楽から力を借りたことーー。

 「もし、そのときの私と同じような状況の方がいらっしゃったら、きっとこれから歌う曲は、心に届いてくれるんじゃないかなと思います」という言葉に導かれたのは、「サヨナラCOLOR」(SUPER BUTTER DOG)。彼女自身が勇気づけられたという歌詞、その一つ一つのフレーズに思いを込めた歌はまさに圧巻。文字通り、1対1で言葉を届けようとする姿勢に強く心を打たれた。個人的にもっとも印象的だったのは、the pillowsの「Funny Bunny」。昨年、アクエリアスのCM曲として注目を集めたカバーだが、生で聴くUruの「Funny Bunny」は本気で絶品。透明感のある声で奏でられる〈キミの夢が叶うのは誰かのおかげじゃないぜ〉というラインに、涙腺を刺激されないリスナーはいないだろう。彼女自身のリアルな体験とも強く重なっているこれらの楽曲は、シンガー・Uruを形作ってきたルーツの一つと言っていいと思う。

 〈あなたと見る世界は/いつでも綺麗だった〉というフレーズが切なく広がる「プロローグ」、そして、「息の詰まる日々が続いているなか、心穏やかに過ごせていただけたらいいなと思って、歌っていましたが、ゆっくりとお聞きいただいているでしょうか」というMCからライブは後半へ。壮大なメロディと希望に対する祈りを込めた言葉が一つになった「フリージア」、いまはそばにいない大切な人に向けた思いを綴った「あなたがいることで」によって、ライブの感動はピークに達した。最後は「いつかまた一緒に歌えることを願いつつ、今日は、その場所で歌ってくれたら嬉しいです」という言葉とともに披露されたメジャーデビューシングル「星の中の君」。眩い光を放つメロディ、愛する人の美しさを反射するリリックがゆったりと響き渡り、ライブはエンディングを迎えた。

 初のオンラインライブで、美しくも繊細なバラード、彼女のルーツに根差したカバー曲を中心に、シンガーとしての色彩豊かな魅力を改めて示したUru。10月28日には、小栗旬、星野源が出演する映画『罪の声』の主題歌「振り子」、TVアニメ『半妖の夜叉姫』の主題歌「Break」を収録したニューシングルをリリースすることも決定。深遠な世界観と生々しい感情表現が共存する彼女の歌は、先が見えない状況のなかで、さらに多くのリスナーの心により添い、心地よい時間を与えてくれるはずだ。

 『Uru Online Live 2020 “あなたと私”』の視聴チケットは、ZAIKOとPIA LIVE STREAMで9月9日19時まで販売中。(アーカイブ映像は9月9日23時59分まで視聴可能)

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