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「ウルフウォーカー」を細田守や山村浩二が絶賛「1カット、1カットが驚きの連続」

ナタリー

20/10/27(火) 17:00

「ウルフウォーカー」新場面カット

アニメーションスタジオ、カートゥーン・サルーンの最新作「ウルフウォーカー」に寄せた、細田守や山村浩二のコメントが到着。あわせて新たな場面カット10点が解禁となった。

本作はアイルランドに古くから伝わる、眠ると魂が抜け出しオオカミになるという“ウルフウォーカー”の伝説を題材にした物語。「ブレンダンとケルズの秘密」「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」に続くケルト3部作の完結編で、トム・ムーアとロス・スチュアートが共同監督を務めた。

細田は「冒頭1カット目から当たり前のカットが1つもない。1カット、1カットが驚きの連続で、本当に素晴らしい作品でした」と絶賛。山村も「近代ヨーロッパの『理性』の光で照らされた社会、その反動としてのケルト文化の原始的な自然崇拝の精神が、自在な造形や変形が可能な『アニメーション』がもつ可塑の力とリンクし、甘美な中世の変身譚へと誘う」と語っている。そのほかソトコト編集長の指出一正、goen°の森本千絵、アニメーションディレクターの伊藤有壱、画家の蟹江杏が感想を寄せた。コメント全文は下記の通りだ。

また新たに届いた場面カットには、色彩豊かな森などが描かれている一方、その森を焼き尽くそうとする護国卿や兵士たち、森の中で炎に囲まれるオオカミの姿が確認できる。アイルランドでは1786年を最後にオオカミが絶滅。ムーアは「現在の危機の大部分は私たちグローバル社会が動物に対して行ってきた、無計画かつ好ましくない態度が生んだものだ」と話す。また森を守ろうとするオオカミたちと、森を焼き尽くそうとする人間の対立も大きな見どころとなり、ムーアは「最大のチャレンジは、これがアクション映画だということです」と本作を表現している。

「ウルフウォーカー」は10月30日より東京・YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で順次公開。

細田守(アニメーション映画監督)コメント

美しい映画でありながら、力強い映画であることに感銘を受けました。
冒頭1カット目から当たり前のカットが1つもない。
1カット、1カットが驚きの連続で、本当に素晴らしい作品でした。

山村浩二(アニメーション作家・絵本作家)コメント

成熟し、完成度の高い形式美、その造形の妙味は、視覚の快楽を与えてくれる。
近代ヨーロッパの「理性」の光で照らされた社会、その反動としてのケルト文化の原始的な自然崇拝の精神が、自在な造形や変形が可能な「アニメーション」がもつ可塑の力とリンクし、甘美な中世の変身譚へと誘う。
少女のイニシエーションの構造を持つ古典的な物語だが、それに呼応する父親の変化が現代的で優しい。

指出一正(ソトコト編集長)

オオカミと人との関係性を、分断から共存へと変えていくやわらかな視点。
できるなら、ぼくもウルフウォーカーになって、自然の一部としての存在の喜びを感じ、
アイルランドのあの美しい森のなかで遊んでみたいです。

森本千絵(goen°)コメント

トム・ムーア監督、ロス・スチュアート監督の美しい色彩と造形の世界に、今作はさらに躍動の光が加わった。

狼と人間。自然と人間。
いつも愚かで臆病な人間社会を浮き彫りにさせながら、美しい魂を魅せてくれる。母性に強く響く。

怯えて目を背けて壁を作るより
真っ直ぐに見つめて飛び込むことで
真実の愛を見つける。人と自然は分かり合えるのかもしれない。

「ブレンダンとケルズの秘密」「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」に続きケルトの伝説から着想を得た「ウルフウォーカー」は、私たちに生きるために必要な大きな愛を伝えてくれた。

この三部作の中で、もっとも愛の深い作品である。

伊藤有壱(アニメーションディレクター)

嗚呼、なんて「描く喜び」に溢れたアニメーションなのだろう。
そして、観る者に惜しみなく親愛を注ぐ映画なのだろう!
自然界を描く鉛筆タッチの重ねが表す動きの柔らかさ(「101匹わんちゃん」でディズニーが目指したマシントレスの開発を彷彿とさせる)と、城下街の木版画調で硬く冷たい世界の対比、極端にデフォルメされた画面構成、魂の動きの可視化 etc…
本作の為の表現開発は、彼等の母国アイルランドに色濃く残るケルト文化を反映しつつ、
全てがちゃんと物語の言語として機能している。
ロス・スチュアートを共同監督に迎える事でその表現力はより昇華し
「ブレンダンとケルズの秘密」を思わせる神秘性が全編に満ちていることも嬉しい。
一方、カートゥーン・サルーンがただのロマンチストでない事は
「ブレッドウィナー」に至る作品系譜を見れば明らかで、
テーマソングのスキャットに狼の遠吠えを感じながらこの美しい物語に身を浸していると、
奥底から沁みてくる「警鐘」に気づく。
生き生きと走りまわる狼達はすでに絶滅しているのだ。
それを単なる感傷・批判に終わらせず観客を置き去りにせずに描ききった本作はアニメーションの魅力に満ちている!

蟹江杏(画家)コメント

この作品は全ての「命」を肯定する物語。
そして、2人の少女の友情を賭けた壮大なアクションムービーです。
絵画の世界に迷い込んだかのような色彩豊かな森を背景に、
光や雨の表現をケルト音楽がより一層美しく魅せてくれます。
勇敢な少女達の姿に、今私たちが、未来のために戦うべき相手を問われた気がします。

(c)WolfWalkers 2020

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