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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

chayが語る、音楽で表現した等身大の自分「アイデンティティ・クライシス的なものがテーマ」

リアルサウンド

19/9/13(金) 18:00

 chayが11月13日にニューアルバム『Lavender』をリリースすることが決定し、松尾潔×川口大輔による1stリード曲「砂漠の花」の先行配信がスタートした。

 前作『chayTEA』から2年5カ月ぶりとなる通算3枚目のアルバムはドラマ『あなたには渡さない』(テレビ朝日系)の主題歌でCrystal Kayをフィーチャリングゲストに迎えた話題作「あなたの知らない私たち」や富士フイルムのタイアップソング「大切な色彩(いろ)」を含む既存曲5曲を収録。さらに、武部聡志プロデュースのもとで新曲9曲が新たに制作される。その新曲の中の1曲である「砂漠の花」は、彼女のこれまでのイメージを覆し、フューチャーベースの要素を加えたR&Bナンバーなっている。また、彼女はこの夏に公開された矢口史靖監督の最新作『ダンスウィズミー』で女優デビューを果たし、9月17日には初の単行本となる『chay’s BEAUTY BOOK』が刊行される。映画、ニューアルバム、書籍……と新たな挑戦に向かった彼女の“今、現在”の思いとは――。(永堀アツオ)

■映画『ダンスウィズミー』出演で得た充実感

――この夏は多方面で新たなことにチャレンジされている印象を受けてました。まず、映画のお話からお伺いしたいんですが。

chay:すごく楽しかったです。演技は初挑戦で、右も左もわからないまま臨んだんですけど、矢口監督からは「あんまり演じようとしなくていい」と言われてて。あの役で言われるのはどうかな? と思いますけど…(笑)。

――(笑)。狂気を帯びていく役柄でした。訳ありのストリートミュージシャン。

chay:デビュー前に私もずっと路上ライブをしていたので、共感する部分も多かったです。路上ライブシーンは、本当に演じるっていうよりも、「懐かしいな」って思いながら、素でやってましたね。あと、叫ぶシーンがあるんですけど、あそこまで叫んだことがなかったので、最初は「はい叫んで!」って言われても、なかなか声が出なくて。そしたら、矢口監督が叫びのレッスンをしてくださって。スタッフさんと5~6人で円になって、「暑いんだよ!」とか、「冷やし中華食いたいんだよ!」とか、みんなが他愛もないことを思い切り叫んで、私が一番最後にセリフを叫ぶっていうのをやってくださって。そしたら、叫べるようになったので、矢口監督はさすがだなって思いました。

――かなりインパクトの残るシーンになってました。

chay:同じ女性としては、やり方は問題だとしても、切ないシーンでもあって。観てくれた方も「意外と切なかったね」っていう人もいれば、爆笑する人やドン引いたっていう人もいて(笑)。なかなか面白いシーンをやらせていただいたので、そんな役をいただけて嬉しかったですし、私のことを知らなかった映画ファンの方も、私のことを知ってくださるきっかけになったと思いますね。chayの活動としてもプラスになったんじゃないかなって思いますし、私も映画が大好きで、もともと矢口史靖監督のファンなので、その作品に携われただけで感無量でした。

――女性三人で歌うシーンはどうでしたか?

chay:三吉彩花ちゃんも、やしろ優さんも、歌が上手くて、リズム感も抜群なんですね。私はいつも一人で活動しているので、単純に楽しかったです。「こんなに仲良くなれると思ってなかった」っていうくらい仲良くなれて。素敵な仲間と出会えたことも感謝ですし、青春を取り戻したっていうくらい、修学旅行感がありました。私は新潟や函館で撮影することが多くて。

――函館も行ってるんですか?

chay:行ってます(笑)。それが楽しくて。撮影がない時もみんなで集まってイカ釣りに行ったりとかして。次の日、朝4時起きで、夜も遅かったんですけど、それでも全然苦にならなかったくらい楽しかった。撮影が遅くに終わっても、優さんのお部屋に彩花ちゃんと二人で遊びに行って。カードゲームしたり、いろんな話をしたりして。でも、またすぐに会いたいっていう感じでしたね。

――監督からはどんなことを求められたと感じてますか?

chay:監督は演技経験者じゃない人だからこそ見せれる演技があるっていうことをおっしゃられていました。私は演技に関しては初めてだったので、オーディションの時にも「私は演技をやったことがないし、できません。だけど、歌だけは歌えます」って言って、監督の目の前で、シンディー・ローパーの「True Colors」と劇中で歌うSugarの「ウエディング・ベル」の2曲をアコギの弾き語りで歌ったんです。レコーディングも自分でギターも録って。とはいえ、映画なので、表現力という面では、普通のレコーディングとは違いました。監督は「自分がやりすぎてまずいって思うくらいやって、やっと、ちょうどよく見えるのが映画だ」っていうことをおっしゃってくださったので、いつも以上に感情豊かに、悲しんでる時は本当に声を詰まらせるくらい、やりすぎかなって思うくらいやっていて。狂気を感じさせるシーンも、やるなら中途半端じゃなく、思い切りやって良かったなって思います。

――白いドレスの衣装もchayさんっぽかったので、当て書きなのかなと思ったくらいでした。

chay:そうなんですよ。しかも、実は映画に出てこない山本洋子の生い立ちや家族構成など、細かいプロフィールがあるんですね。監督はその人物設定をキャストの皆さんに配ってるんですけど、私が山本洋子役になる前から書いているのに、共感することが多くて。やしろ優さんも、「自分の生い立ちまんまじゃん!」って驚いていたんですけど、私も重なるところがあって、びっくりしましたね。

――完成作をご自身で観てどう感じました

chay:初号の試写会は客観視できなすぎて、何にも記憶がないです(笑)。

――あははははは。

chay:手に汗握るとはこのことっていうくらい緊張したし、とにかく、ちゃんとできてるかっていうことだけ気になってしまって。あと、オープニングでクレジットが流れることを知らなかったので、自分の名前がスクリーンに出たっていうことに、味わったことのない気持ちになりましたね。自分以外でいうと、自分が撮影に参加してない箇所がほとんどだったので、あんなにもみんなが歌って踊って、頑張ってたんだっていうのが、ちょっとウルウルしました。

――映画の経験は音楽活動にどんな影響を与えたと思います?

chay:表現力という意味では、1つ壁を打ち破らないといけない経験ではあったと思うので、「あれをやれたんだから」っていう自信にはつながったと思います。あとは、やっぱり、1つの作品をたくさんのスタッフさんと一丸となって一緒に作っていくっていう過程を知れたことかな。もちろん、音楽もたくさんのスタッフさんと作っていきますけど、映画は全然規模の違う人数の方が関わっていて。その1つの作品にかかってる思いや熱量も音楽とはまた違うものを感じましたし、みんなで作り上げていって作品が完成した時の感動や達成感を味わえたので、そういう経験は音楽にもつなげていきたいなと思います。

■新作は“アイデンティティ・クライシス”がテーマ

――そして、11月にはニューアルバムのリリースが決定しています。先に『Lavender』というタイトルが発表されました。

chay:まだ制作中なんですけど、1stや2ndと同じようにバラエティに富んだ楽曲が揃っています。ただ、アルバムに入れる曲を並べてみたときに、その中で唯一、共通点を見出してまして。みんな、27~29歳くらいで通る道なんじゃないかと思うんですけど、漠然とした焦りだったり、不安や迷いっていう、ちょっとしたアイデンティティ・クライシス的なものが、1つテーマになっているなって思って。それって、意識して、そういうふうなアルバムにしようと思ったわけではないし、そういう曲を書こうって思っていたわけではなくて。約2年半という期間で、たまたま自分が作ってきた曲を並べたら、全部そうだったっていうことに気づいたんですね。今、自分がそういう気持ちなんだったら、それをテーマにしたアルバムにしたいし、タイトルにしたいなって思ったんですけど、そこで『アイデンティティ・クライシス』にしたら、ちょっとカッコよすぎて、chayっぽくないなと思ってて(笑)。chayらしい世界観の言葉で言い換えられないかなって悩んだ結果、『Lavender』にしました。

――どんな意味なんですか?

chay:ラベンダーの花言葉が、「期待」「繊細」「沈黙」「疑い」「許し合う愛」なんですね。

――chayさんのおばあさんが好きな色というイメージもあります。

chay:あはははは。そうなんです。祖母は紫が大好きで、全身、紫なんです(笑)。ライブではよく言ってますよね。私もすごく好きな色ですし、気品もあって、素敵な大人の色っていうイメージもあります。お花としても大好きなので、『Lavender』がchay的な言い方で言う『アイデンティティ・クライシス』なんじゃないかと思ってつけました。で、このアルバムが出るときに29歳になるんですけど、まさに、『chayTEA』から約2年半の間に思っていた今の等身大の気持ちが詰め込まれていて。それは同世代の女性が抱える悩みではあるけど、女性だけじゃないとも思いますし、誰もが通る思いだと思うので、たくさんの方に聞いていただければな、と。

――第2次思春期だって言う人が多いですね。

chay:本当にそうなんですよ。同級生のお友達も結婚や出産があって、お仕事のことも、このままでいいのかって思う時期なんですよね。過渡期というか、転職をしようかしまいかで悩んでる友人もいますし、自分も書いたらそうだったので、それをテーマにしたアルバムになるんじゃないかと思います。

■大人視点でのラブソングに挑戦した「砂漠の花」

――アルバムからの第1弾リード曲として、松尾潔と川口大輔のタッグによる「砂漠の花」が先行配信されます。

chay:バラエティに富んだアルバムの中でも、今までの延長線上とは違う、ちょっと特別な曲にはなると思うんですけど、私はもともと、松尾さんと川口さんのタッグの楽曲がすごく好きで。最近だと、シェネルさんの「Destiny」とか、本当に名曲だと思っているんですね。だから、私の方からお願いして、念願叶って作っていただけたんですけど、川口さんと松尾さんも、「今までにないchayの一面を見せる曲にしたい」っておっしゃってくださっていて。私としても、どんな楽曲が歌えるのかワクワクしてました。

――受け取ってどう感じました? フューチャーベースを取り入れたR&Bになってます。しかも、アコギではなく、ピアノのリフが基調になってて。

chay:私としてもまさかという楽曲でしたけど、すごく新鮮でしたし、いい刺激になりましたね。一定の音域の中でエモーショナルに歌うのが難しかったです。自分が作る楽曲だと、Aメロ→Bメロ→サビっていうはっきりしたものが好きで、サビは特に、高いところをあえて作るんですけど、この曲はAメロもBメロもサビも一定の音域になっていて。それでも、1回、聴いただけで耳から離れないキャッチーさがある。メロディラインで高低差をつけなくても、キャッチーって作れるんだってことは勉強になりましたし、川口さんと松尾さんのタッグの楽曲は素晴らしいなと改めて思いました。

――歌詞はどう捉えました?

chay:もともと『Lavender』っていうタイトルが決まる前に書かれていて。でも、ラベンダーは砂漠でも咲くんですって。しかも、“許し合う愛”っていう花言葉にもぴったりの歌詞になってて。『Lavender』っていうタイトルに繋がった時はちょっとびっくりしましたし、ちょっと運命的なものを感じました。あと、私は今までラブソングを多く書いてきたんですけど、ガーリーな乙女心を書いてきたので、こういう大人っぽい視点のラブソングは初めてです。聞いてくださる方も楽しんでいただけるんじゃないないかなと思います。

――MVも同時に解禁されました。

chay:初めて男性が出てきます! ラブソングのイメージが強いにも関わらず、MVで異性が出てきたことがなくて。それが、私のこだわりだったんですけど、今回は、新境地の曲ということもあって、MVでも挑戦したいなって。今回、楽曲を聴いた時にMVのイメージが頭の中に全部浮かんだんですね。二人の世界が二画面で進行していって、交差しているかと思いきや、交差してないっていう。あと、初めて雨に濡れたいとか。今回は私の方から企画全体のイメージを監督さんに伝えて、撮っていただきました。

――アルバムの完成が楽しみです。

chay:期待していてください。今作は武部さんにプロデュースをお願いしていて。自分が作った曲もアレンジでどんどん変わっていくっていう武部さんのアレンジ力を体感している最中だし、とても良質なポップスが多いアルバムになるんじゃないかなって思います。サウンド面では確実にアップデートしているし、歌詞においても、気持ちの変化や成長が曲に如実に現れているのが自分でもわかるんですね。ファンの方も同世代の女性が多いんですけど、前作からの2年半で、ファンの方も心境や環境の変化があったはず。このアルバムを通して、一緒に年月を重ねているんだなってことを感じてもらえたらなと思うし、これからも一緒に歩んでいきたいっていう気持ちも伝わるといいなと思いますね。

――あともう一つ。初の単行本も発売されます。

chay:これも念願叶ってっていう感じですね。私は、良くも悪くも、どんな面に対してもこだわりが強いので、美容に対するこだわりを描いた本になってます。私は嘘がつけないタイプなので、本当に使って、本当にいいと思ったコスメ、愛用してるスキンケア用品を紹介していて。数年前まで、忙しいのもあって、すごい肌荒れだったんです。けど、ある化粧水と出会ってから、みるみる良くなっていったっていう体験談も交えながら書いています。ダイエット方法とか、ダイエットレシピとかもぎゅっと詰め込んでますね。

――ちなみに今、ラーメンは?

chay:我慢してます(笑)。本当は毎日、背脂ラーメンを食べたいくらい大好きなんですけど。20代前半はよく食べてたし、その場しのぎの美容法でなんとかなってたんですよ。忙しさにかまけてメイクしたまま寝落ちしちゃうこともありましたし、肌荒れを隠すために厚塗りして。それでもなんとかなってたんですけど、26歳を過ぎてからはそれでは対応できなくなってきて。その時期から食生活とスキンケアを見直したら肌の状況がよくなって。とはいえ、美しさや可愛さの物差しは人ぞれぞれだと思っているので、私の価値観を押し付けるつもりはないんですけど、自分にあった美容法の1つとして、参考にしてもらえたら嬉しいなと思いますね。(取材・文=永堀アツオ)

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