タゴールとは非西欧圏で初めてノーベル文学賞を受賞したインドの詩人だ。この詩人に若い日本人が感銘を受け、タゴールの詩がどのようにインドやバングラデシュで受け継がれ、人々に影響を与えているかを描いている。タゴールについてのドキュメンタリーとも言えるが、どちらかといえば、タゴールの詩によって豊かに生きる名もなき人々についてのドキュメンタリーと言うべきか。 本作には文化に支えられた生活が描かれているのが素晴らしい。タゴールの詩が、ベンガル語圏の文化をいかに豊かなものにしているのかが伝わってくる。なぜ文化が大事なのかについてこの映画は、文化が人生と共同体を支える源泉になるからだと静かに力強く訴えている。