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世界中の若き映像作家たちが集う! SKIPシティ国際Dシネマ映画祭が明日からオンラインで開催!

ぴあ

(C)Gregg Telussa (C)Inferno Pictures (C)2020 Storyteller Pictures & Kyeom Film All rights reserved (C)2020 Storyteller Pictures & Kyeom Film All rights reserved (C)Fireglory Pictures GmbH (C)Léo Lefèvre (C)2021 ALPHA Entertainment LLP 映画「鬼が笑う」(C)Jurre Rompa (C)Mila Teshaieva (C)Square Eyes Film (C)Mark de Blok (C)2021battlecry (C)Double_RED 2021 HACHI NEKOME FILM (C)夜を越える旅フィルムパートナーズ (C)2021 reclusivefactory (C) 2021「親子の河」©2021 東京藝術大学大学院映像研究科 (C)Masaya MATSUI (C)KAIJU FILMS (C)DrunkenBird 2020 (C)早稲田大学映像制作実習2020 (C)釣部東京 (C)Yoshiro Osaka

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若い才能の発掘と育成をテーマに、数々の若手映像クリエイターを発掘してきたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021が25日(土)にいよいよ開幕を迎える。

回を重ねて18回目となる今年は、新型コロナ・ウイルスの感染拡大の状況を踏まえ、安心と安全を最優先する形で昨年に引き続きオンライン配信での開催。ただ、オンラインになろうと、本映画祭の主旨は変わらない。世界中の若き映画作家たちが作り上げた多種多様な映画の数々を今年もオンラインで全国へと届ける!

今年の本映画祭の国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門、短編部門)の3部門には104の国・地域から長編・短編合計1084本がエントリー。過去2番目の応募数を記録した。

日本ではあまり馴染みのない国からの作品も選出!国際コンペティション

(C)Gregg Telussa (C)Inferno Pictures (C)2020 Storyteller Pictures & Kyeom Film All rights reserved (C)2020 Storyteller Pictures & Kyeom Film All rights reserved (C)Fireglory Pictures GmbH (C)Léo Lefèvre ©2021 ALPHA Entertainment LLP 映画「鬼が笑う」(C)Jurre Rompa (C)Mila Teshaieva (C)Square Eyes Film (C)Mark de Blok

その中からメイン・プロムラムの国際コンペティションには、厳選された10作品が選出された。全体に目を通して感じるのは、珍しい国からの作品が並んだこと。もともと珍しい国の映画が選ばれることが多々ある本映画祭だが、例年にも増して、今年はあまり馴染みのない国からの映画が選出されている。

たとえば、エチェ・ジャンガ監督の『ケンザの瞳』はオランダ植民地時代の歴史を持つカリブの島キュラソーを舞台にした少女の物語。島で受け継がれてきた神秘的な伝統に惹かれていく少女の成長を描いたオランダとキュラソーの合作映画になる。

アレックス・カミレーリ監督の『ルッツ』は、マルタ映画。先祖代々受け継いできたマルタの伝統漁業を続けていくか決断を迫られる漁師の選択を描いたドラマは実際にマルタで撮影されている。

『ルッツ』(C)Léo Lefèvre

マルタとキュラソーの映画が本映画祭にノミネートされるのは今回が初めてのこと。日本ではめったにお目にかかることのできない国や地域の作品が観られる国際映画祭ならではのセレクションにまずは注目だ。

ほかにも、シリア内戦で国を追われウクライナにきた青年が親族の暮らすクルディスタンを目指すドキュメンタリー『この雨は止まない』、政情不安に揺れる1980年代のイランで娘を失った母が、37年を経て愛娘を死に追いやった女性への復讐を企てる異色のサスペンス『ミトラ』、孤島でひとり野鳥観察の仕事を続けてきた老人の人生の最終岐路をみつめた『野鳥観察員』、母を追ってドイツにやってきた9歳のウクライナ人少年のたったひとりの闘いをみつめた『ライバル』、ユダヤ人とドイツ人の同性カップルの結婚騒動がコミカルに描かれる『国境を越えてキスをして!』、より良い生活を求めアフリカから渡ってきた移民男性が思いもしないアクシデントに見舞われるサスペンス『シネマ・オブ・スリープ』、プチョン国際ファンタスティック映画祭 韓国ファンタスティック部門で作品賞を含む 4 冠に輝いた韓国映画『宴の日』など、骨太の社会派ドラマから、ドキュメンタリー、爆笑コメディまで多彩な作品が顔を揃えた。

これらの強力海外作品に並び、日本から唯一ノミネートを果たしたのは、兄の三野龍一が監督を務め、弟の三野和比古が脚本を担当する兄弟ユニット“MINO Bros. ”の新作『鬼が笑う』。彼らは前作に当たる長編デビュー作『老人ファーム』がカナザワ映画祭で観客賞を受賞し、ユーロスペースほかで全国公開を果たした注目の新鋭。本作では、外国人技能実習生問題、日本社会の差別と偏見といった現実を見据えながら、犯した罪を許されない男の魂の行方を力強く描いている。

『鬼が笑う』(C)2021 ALPHA Entertainment LLP 映画「鬼が笑う」

ふたりは「海外作品も並ぶ国際コンペティションに選ばれたことは、その中に入っても対抗しうる力があると感じてくれた人がいたということ。これは大きな自信になりました」(龍一)「国際映画祭への出品を目標にやってきたので、まずは目標をひとつクリアできたと思っています。自分たちの作品がどういう評価を受けるのか楽しみです」(和比古)と言葉を寄せる。

なお、本コンペの審査は俳優で映画監督の竹中直人ら4人の審査員が担当。その賞の行方に注視したい。

独自のスタンスで活動する若手作家たちの作品が集結! 国内コンペティション長編部門

(C)2021battlecry (C)Double_RED 2021 HACHI NEKOME FILM (C)夜を越える旅フィルムパートナーズ (C)2021 reclusivefactory (C)2021「親子の河」(C)2021 東京藝術大学大学院映像研究科

一方、国内コンペティションに目を移すと、長編部門には独自のスタンスで活動する若手作家たちが集まった。本部門には、昨年より1作品多い6作品がノミネート。

CG長編アニメーション『バトルクライ』は、谷中屋監督がほぼひとりですべてを作り上げたという驚愕の1作。佐賀を舞台に前半と後半でまったく別の顔になってしまうロードムービー『夜を越える旅』の萱野孝幸監督は福岡を拠点に置き精力的に作品を発表している。

ある人の死をきっかけに疎遠になった友人同士のふたりの関係の行方を描く『赫くなれば其れ』の猫目はち監督は、2019 年の本映画祭で観客賞を受賞した『おろかもの』や今泉力哉監督の『退屈な日々にさようならを』などに出演して役者としても活躍中。予定外の一人旅でインドを訪れた内気な女性の勇気ある一歩を描く『親子の河』の望月葉子監督もまた役者として活躍中だ。

『赫くなれば其れ』 (C)Double_RED 2021 HACHI NEKOME FILM

性的虐待を受け、養育者とファミリーホームで暮らす少女たちの心の痛みと再生を描いた『アリスの住人』の澤佳一郎監督はフィクションとドキュメンタリーを往来するような活動を展開。ギリシャ神話をベースに、男女4人の一方通行の愛を描いた『Song for Laurel』の羽蚋拓未監督は、映像と音楽を行き来するような活動で本作の音楽も自身で手掛けている。

このように今年の長編部門には多彩な才能を持つ監督たちが出揃った。

「なによりうれしかったのは、声を担当してくれた声優養成所の学生さんたちに吉報を届けられたこと。選んでいただいて光栄ですけど、これ以上のことは望んではいけないと思っています」(谷中屋監督)

「いまはふつうの劇場映画でさえ、公開の場が減っているのが現状。その中で、こういう観てもらえるチャンスができたことはうれしい。福岡の俳優が多くの方の目に触れて、こんな俳優がいるんだと知ってもらえたらと期待しています」(萱野孝幸監督)

国内コンペティション長編部門『夜を越える旅』の萱野孝幸監督

「2019年に『おろかもの』で俳優としてSKIPシティ国際Dシネマ映画祭に初めて参加してすばらしい映画祭だと実感しました。その場に監督として戻ってこれたことを誇りに思っています」(猫目はち監督)

「『親子の河』は自分の中での映画作りのひとつの終わりというか。ある意味、ここまでの自分の映画作りの集大成といっていい作品かもしれません。ひとりでも多くの方に観ていただきたいです」(望月葉子監督)

国内コンペティション長編部門『親子の河』の望月葉子監督

「僕はオンラインでの開催を前向きにとらえています。というのも、この作品は、全国のファミリーホームの関係者の方々にご協力とご支援をいただいていて、そういう方々にみていただける機会になりました。また、ファミリーホームのことをより多くの人に知っていただける機会になるのではと期待しています」(澤佳一郎監督)

「僕自身はこれまでSKIPシティの映画祭に一度も足を運んだことがありませんでした。けど、参加したことのある知人がいて、彼からすばらしい映画祭と聞いていました。いまは、そのような映画祭で上映できる機会がいただけたことに感謝しています」(羽蚋拓未監督)

とそれぞれに入選の喜びと、映画祭への期待の言葉を寄せる。

例年にも増してグローバルな作品が! 国内コンペティション短編部門

(C)Masaya MATSUI (C)KAIJU FILMS (C)DrunkenBird 2020 (C)早稲田大学映像制作実習2020 (C)釣部東京 (C)Yoshiro Osaka

最後に短編部門は8作品が選出。
東京とパリを拠点にする松井雅也監督によるラブストーリー『10 センチの彼方』、10月1日公開の『DIVOC-12』にも抜擢された齋藤栄美監督の『一夜二糸』、篠崎誠監督の『あれから』『SHARING』に脚本家として参加している酒井善三監督の心理ホラームービー『カウンセラー』、是枝裕和監督らが指導に当たる早稲田大学基幹理工学部の映像制作実習から生まれた佐藤杏子監督と岡本香音監督の『冷めるのを、待っている』、台湾出身の江沅庭監督による『小山田喜久太郎』、『WHOLE』が国内外で高い評価を受けた川添ビイラル監督の『ひびき』、故人を VR で再生させることが可能な近未来で、引きこもりの息子と急逝した母親の和解を描いた村松健太監督の『OKAN』、実在するカンボジアのサーカス学校を舞台に、夢を追う少年たちに突如降りかかったコロナ禍の影響を描き今年6月の上海国際映画祭でワールド・プレミアを飾った逢坂芳郎監督の『リトルサーカス』と、例年にも増してグローバルな広がりをみせる作品が並ぶ。

こちらは、園子温作品などのプロデュースなどで知られる國實瑞惠氏や、脚本家の髙橋泉らが審査に当たる。
昨年に続き、今年もオンライン配信でネットさえつながれば日本全国どちらからでもアクセス可能。現在『孤狼の血 LEVEL2』が反響を呼ぶ白石和彌監督、『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督、『カメラを止めるな!』で日本映画界に新風を吹き込んだ上田慎一郎監督らに 続く新たな若き才能に出会ってほしい。

取材・文:水上賢治

<SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021>
会期:2021年9月25日(土)~10月3日(日)
上映:オンライン上映(シネマディスカバリーズ)
※詳細は公式サイト(https://www.skipcity-dcf.jp/)にて

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