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andropが“匿名性”を捨てた理由「ちゃんと伝えることは伝えなきゃダメだなと思った」

リアルサウンド

14/3/4(火) 8:00

20140304-androp-01-thumb.jpg3rdフルアルバム『period』をリリースするandrop。

 確固たる世界観と先鋭的な演出で評価を高めてきた4人組ロックバンドandropが、3rdフルアルバムとなる新作『period』をリリースした。活動開始から5年、バンドは着実にセールスと動員を増し、3月23日には国立代々木競技場・第一体育館にて初のアリーナ単独公演も決定した。

 テクノロジーを駆使した映像表現を見せるミュージックビデオ、音響と照明と映像が一体になって繰り広げられるライブパフォーマンスも話題となっている彼ら。その根源には、バンドを率いる内澤崇仁(Vo/G)の持つコンセプチュアルな意識があった。現ロックシーンを代表するアリーナバンドへと成長を遂げた今、彼はその成功の理由とバンドの先行きをどう見ているのか?

『period』っていうタイトルは5年間から決めていた

―まず、今回のアルバムタイトルに『period』という言葉を選んだのは?

内澤崇仁(以下、内澤):実はこの言葉にしようっていうのは5年くらい前、活動を始めた頃からずっと決めていたことで。これまであんまり公の場では言ったことがなかったことなんですが、これまでにリリースしたミニアルバムとアルバムの頭文字を並べると「androp」になるようにしていたんです。

―過去にリリースされたのは『anew』『note』『door』『relight』『one and zero』で、それぞれ頭文字は「a」「n」「d」「r」「o」でした。頭文字だけはずっと決まっていたっていうことですよね ?

内澤:そうです。1枚目を『anew』ってタイトルにした時点で、『door』くらいまではタイトルの言葉もあって。で、その時に最後の『period』っていうのも決めていたんです。自分がandropっていうバンドを続けていたら、「p」の頭文字から始まるアルバムを作れるようになる頃には、相当すごいバンドになっているだろうと。自分も納得した音を胸を張って鳴らせているバンドになっていなきゃダメだと思ったんですね。だからこそ、そういうアルバムにしようという思いで今回のアルバムの制作には臨みました。

——5年越しの計画がようやく実ったわけだ。

内澤:はい、そうですね。

——でも、『period』というのは「終止符」という意味ですよね。だから、この話を聞いたらバンドが終わる、解散するという風に捉える人もいるかもしれないわけで。そういう選択肢はありました?

内澤:いや、それは考えてなかったですね。「androp」っていう単語をバンド名として決めた時に、それ自体は何も意味を持っていない造語だったので、一文字づつ頭文字をなぞっていったアルバムを作ることで「androp」という言葉に意味を持たせられる。「p」でやっとそれに終止符が打てるという意味合いで付けたので。むしろ、ようやくここで完成したという感じなんです。

曲を聴いてもらって判断してほしいと思っていた

——andropは初期から非常にコンセプチュアルな表現をするバンドでしたよね。アルバムのアートワークにしても、ミュージックビデオにしても、ライブにしても、一つ一つのデザインにすごくこだわって作られていた。そういうところはどれくらい意識していたんでしょうか。

内澤:かなり意識はしていました。ミュージックビデオにしても、パッケージにしても、僕自身そういう風に音楽と触れ合うのが好きで。パッケージ自体に仕掛けが施されているとかっていうのがすごく好きだったし、ライブも映像を使ってライブをやる人はすごいと思ったし。そういう良さを全部バンドでやりたいと思って突き詰めていった感じです。ただ、全部は本当に曲ありきなので。曲を伝えるための演奏だったりパッケージングだったりはしていて。

——デビュー当時はプロフィールも一切明かさない匿名的な活動形態でしたよね。僕が初めてandropのライブを観たのは2011年のSHIBUYA-AXだったんですが、その時点で内澤さん以外のメンバーの名前すら明らかになってなかった。

20140304-androp-04.jpgandropのフロントマンを務める内澤崇仁。

内澤:そうそう。あの時のライブで、初めてみんな名前を言いましたからね。アンコールの時にお客さんから訊かれて。

——そうそう、それで1500人くらいがどよめいたのを覚えてる。しかもその時点では苗字しか言わなかったから、その後しばらくはWikipediaにもメンバーの苗字しか載っていなかった。

内澤:その頃は確かにそうでした。不思議な感じですよね(笑)。

——改めて振り返って欲しいんですが、あそこまで素性を隠したというのはどういうことだったんでしょうか。

内澤:最初は曲を聴いてもらって判断してほしいと思っていた。本当にそれだけですね。調べれば情報が出てきてしまうと思ったので、一切情報を出さない方が曲をちゃんと聴いてもらえると思った。ただそれだけの理由なんですけど。

20140304-androp-02-thumb.jpgミュージシャンとしての活動を続ける中で、徐々にオープンになったと内澤は話す。

「インターネットに勝ちたい」と思っていた

——情報環境が変わってきたのが背景にあった?

内澤:そうですね。「インターネットに勝ちたい」と思ったんです。今の時代に耳で判断してもらうってすごく難しいと思ったから、まずそれをやりたいと思ったんですよ。だから名前すら出さなかったし、どういう人がやっているのかを知ったら、先入観を与えてしまうことになりそうだったので。だったら、インパクトのあるロゴを打ち出していったほうが覚えてもらいやすいなと思って。

——でも匿名のまま活動していたわけではなかったですよね。特に去年はドラマ主題歌を担当したり『ミュージックステーション』に出演したりと、スタンスは徐々にオープンになっていった。これは?

内澤:まずあるのは、だんだんライブが好きになっていったんですよね。それに、匿名性でずっとやっていこうとは思っていなかったんです。ちゃんと曲を聴いてもらって判断してもらえさえすればいいっていうスタンスだったので。テレビにしてもラジオにしても雑誌にしても、僕らのスタンスをわかってくれる人が増えてきてくれたので、それも大きいと思います。隠れているより、ちゃんと伝えることは伝えなきゃダメだなと思って、結果、表に出ているという感じです。

——アルバムにも収録されているシングル曲「Voice」は、ライブの場で一体感を得られるようなアンセムソングになっていますよね。こういう曲を作ったのは?

内澤:前のアルバムの『one and zero』以降に、曲が作れない時期があったんです。迷いの時期というか、次の方向性をどうしたらいいのかわからなくて。でも、「Voice」ができたきっかけは、ホールツアーを回って、ステージに立ったことで。お客さんの声を聞いて、改めて自分たちがこうやってステージに立てているのはお客さんの力だなと再認識して。そこから「Voice」の曲の断片が生まれたんです。お客さんと一緒に繋がることができる曲で、僕らもお客さんも一緒に歌える曲。これが次のandropの行く方向、僕たちが求めている、僕が求めている方向なんだって思ったんです。

——そこで生まれたモチベーションは、この『period』というアルバムを制作する上では大きかった?

内澤:ものすごく大きかったと思います。今までは「繋がりたい」とかっていうよりも「ちゃんと伝えたい」「ちゃんと聴いてください」っていうスタンスだったんですけど、「Voice」が生まれてからは「繋がりたい」になったんです。臆病だったけど、さらに聴き手の方に踏み込んでいくようなイメージになったと思います。

——で、andropは今、代々木体育館でのライブを控えているわけです。1万人以上の観客を集めるアリーナバンドになっている。そういうイメージはどのくらいありましたか ?

内澤:夢の一つではありました。でも実際のイメージはなかったですね。『period』というアルバムを出せるとも思っていなかったので。

どんなステージでも一人ひとりに自分たちの音楽を伝えたい

——メジャーデビュー以来、どんどん立つステージは大きくなっているわけですが、アリーナバンドとなった自分たちを客観的に見てどう思います?

内澤:アリーナでも、どんなステージでも立ってみて初めて分かる感覚が沢山ありますね。そういうことは先ほど話にあがったSHIBUYA-AXでライブをやった頃からも思っています。で、立ってみて自分の音楽の可能性にダメだと思ったら辞めればいいしっていうのはどこかで思っていて。もしこの先自分たちが会場の一番端っこにいるお客さんに伝えられないようなバンドになるんだったら、アリーナだろうがどんなステージも立つことができない。どんなステージでも一人ひとりに自分たちの音楽を伝えられるバンドでなければと思っています。

——去年にはホールツアーもやり、東京国際フォーラムのステージにも立ちましたよね。その経験が「Voice」や新作アルバムの方向性に繋がったということでしたが、あそこに立った実感はどんな感じでしたか?

内澤:まず単純に、自分が好きなアーティストが立っていた場所に自分も立って音を鳴らしているっていうのはすごく嬉しいと思って。自分がもともと好きなライブって、一人一人にちゃんとスペースがあってゆっくり音が聴ける環境でのライブなんです。そういう環境で音、ライブを出来るというのは一つの夢でもあったし嬉しいことでしたね。でも、だからこそ、単にライブハウスと同じ感じでやったらダメだなって思って。特に国際フォーラムはそれまでで一番大きいキャパシティだったので、必ず一番後ろにいる人でもちゃんと満足して帰ってもらえるようにと思って臨んだライブだったんです。代々木体育館もそれは変わらないなと思いますね。それが出来なかったらそのステージに立つ意味がないと思うので。

——いろんな演出も考えていたりします?

内澤:はい、そうですね。鳴らす音とかその背後にある意識っていうのは、どんな小さいところでやろうが変わらないんです。でも、具体的に場所の規模によって出来ることは変わってくる。そこはもう、突き詰めたものをやりたいと思ってます。
(取材・文=柴 那典)

■リリース情報
『period』
発売:3月5日
価格:初回限定盤(CD+DVD)¥3,600(税抜き)
通常盤(CD)¥3,000(税抜き)

《収録曲》
01.Singer
02.Voice
03.Lit
04.RDM
05.One
06.Light along
07.Six
08.Sensei
09.Melody Line
10.Neko
11.Time Machine
12.Under The Sun
13.Missing
14.Stardust

《DVD》
documentary(ツアーやレコーディングに密着した60分にも及ぶ長編ドキュメンタリー)
studio live(360°全方位でノーカット撮影された最新スタジオライブ映像)
01.One
02.Lit
03.Voice

■イベント情報
androp初のアリーナ単独公演
『one-man live 2014 at 国立代々木競技場・第一体育館』
日時:2014年3月23日(日)
open:17:00/start:18:00
場所:国立代々木競技場・第一体育館

『TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014』
日時:2014年5月25(日)
場所:新木場・若洲公園

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