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得点王となるのは前田か? ダミアン? プライドをかけた神奈川ダービーキックオフ!

ぴあ

前田大然(横浜F・マリノス) (C)J.LEAGUE

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川崎フロンターレは1カ月ほど前に連覇を決めている。横浜F・マリノスも前節に2位を確定させた。消化ゲームという見方もできるかもしれない。だが、『明治安田生命J1』最終節は両チーム、そして両サポーターにとって、重要な戦いである。大勢に影響があろうがなかろうが、関係ない。横浜FMも川崎Fも神奈川ダービーに負けるわけにはいかないのだ。

リーグ通算13勝6分16敗と直接対決で負け越している横浜FMにとってはなおさらだ。昨季、ホームでの『明治安田J1』第15節は開始2分にマルコス・ジュニオールのゴールで幸先よく先制するも、その後三笘薫に2ゴールを許すなど1-3に終わった。アウェイでの第30節は川崎Fに圧倒されながらも1-1で耐え抜いたが、試合終了間近にCBジェジエウ、FW小林悠に決められてまたもや1-3。今季の開幕戦も家長昭博のダイレクトボレーとダイビングヘッドの2発に泣いた。対川崎Fで3連敗を喫している。ここ10試合で2勝2分6敗と分が悪い川崎Fに対して、ケヴィン・マスカット監督としての初対決で流れを変えたいところ。

両チームとも攻撃サッカーに一過言を持っている。28勝7分2敗・勝点91の川崎Fは80得点27失点、24勝6分7敗・勝点78の横浜FMは81得点34失点である。チーム得点3位の鹿島アントラーズが61点と言えば、いかに両軍のゴール数が突出しているかわかるだろう。

ただ、横浜FMとしては、試合によって好不調の波をなくしたいところ。セレッソ大阪、ガンバ大阪に連敗したかと思ったら、第35節では前田大然のハットトリックなど8-0でFC東京を粉砕した。続く浦和レッズ戦は主導権を握りながら、相手のセットプレーとカウンターにしてやられて1-2の悔しい敗戦。2位と3位の上位対決となった前節は主導権を握られながらも、前田の驚異的なスピードと仲川輝人の見事にコントロールされたミドルでゴールを奪い2-0。浦和戦後に「チャンスを作り、ボールを握ったし、いい場面もあった。ただ失点してしまうと難しい状況になる。自分たちを苦しめることにもなる。相手に自信を持たせ、勢い付くと苦しくなる」に敗因を語ったマスカット監督は神戸戦後、「難しい試合だった。両者どちらともボールを握る時間帯はあったが、神戸の方がボールを握っていた印象がある。しかし、選手たちは最後まで戦い続け、素晴らしい結果で終えられた」と胸を張った。ここ5試合は先制点がそのまま勝敗に直結している。

レアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ) (C)J.LEAGUE

ゴールと言えば、得点王争いだ。レアンドロ・ダミアンと前田大然は同じく22ゴールをマークし、得点ランキング1位タイに並んでいる。当の本人たちは「アシストするシーンがあれば、チームの勝利を優先してアシストを選択する。その中で最終的に得点王になれればいいのかなと思う」(ダミアン)、「もちろん狙う。ただホーム最終戦なので勝って終わりたいので狙いすぎず、チームの勝利に貢献したい」(前田)と自然体を貫く。むしろ、チームメイトたちが得点王を取らせたいという気持ちは強いだろう。ヴィッセル神戸戦を終えた後、MF渡辺皓太は「さっきもみんなで少し話したが、意識しすぎてもだめ。なんとしても取らせず、自分たちがいいボールを出せば、大然くんが取ってくれると思うので、チーム全体でサポートしていきたい」とサポート役を買って出た。

12月2日、川崎Fのメディア対応ではFWマルシーニョとGKチョン・ソンリョンが得点王獲得のアシストを約束した。マルシーニョが「彼が得点王争いを続けているのはうれしく思う。選手としてもストライカーとしても素晴らしいので必ず結果を出してくれると思う。彼のサポートができるよう全力でプレーしたい」と言えば、ソンリョンも「前田選手だけではなく、誰からも失点させないという気持ちを持って最善を尽くせば、いい結果が転がり込むと思う」とキッパリ。さらに守護神は「相手のホームだが、有終の美を飾るために最善を尽くさないといけない。マリノスというチームは非常に攻撃力がある。どこからでも誰からでも得点できる今季一番のライバル」と横浜FM戦への特別な意識を口にした。

指揮官もマリノスへの特別な思いを明かした。同日行われたオンラインインタビューで鬼木達監督は次のように語った。
「やはり一番近いところにいるし、ここ数年ずっと競り合っている相手なので、優勝は決まっているが、気持ちの入るゲームになると思う。強度だけで言ったらマリノスの方が強いかもしれない。そういうものを見せられたからこそ自分たちも成長してこれた。
まず1位と2位の戦い、優勝が決まった後も得点王争いの直接対決、お互いにとってシビれる試合になる。お互いに自分たちの選手に取らせたいと戦う。まず自分たちはチームの勝利を第一に戦い、その中でダミアンが得点王を取れれば。ただチームメイトの方が強く思っているのでは。ただ思い入れが強いとなかなかうまくいかないので、そこはバランスを取ってやっていければと思う。
自分は1位2位の試合だと意識する。2位の相手にしっかり勝っていかないと、本当に優勝したのかなという気持ちになる。本当に勝って終わらないといけないと思う。マリノスもそういう気持ちでくると思う。順位は決まっているがお互いにプライドのかかった戦い。強気でいきたい。サッカーを初めて見た人でも面白いと思ってもらえる試合をしたいし、そういうゲームで勝ちたい」

また鬼木監督は今季のターニングポイントに『JリーグYBCルヴァンカップ』準々決勝、『ACL』ラウンド16敗退後の“勝負の5連戦”とともに、『明治安田J1』開幕戦を挙げた。 その心は?
「まだ終わっていないが、本当に長いシーズン。いい時もあれば、苦しい時もあり、本当に成長が見られたリーグ戦。勝負の5連戦と位置付けて戦ったところがひとつのターニングポイント。そして最初のマリノス戦、このチームにとって本当に大きな1勝だと改めて思った。中村憲剛という偉大な選手がいなくなってもし負けたり引き分けたりしたら、どうなっていたか。強いマリノスを相手に中村憲剛がいない中勝ったのは、勝負の5連戦と同じような大きな意味があったのかなと思う」

果たして、川崎Fが最後まで絶対王者の強さを見せ付けるのか、それとも横浜FMが来季へ希望を灯す勝点3を掴むのか。そして熾烈を極めるダミアンと前田の得点王争いはどんな結末を見せるのか。『明治安田J1』第38節・横浜FM×川崎Fは12月4日(土)・日産スタジアムにてキックオフ。チケットは予定枚数終了。試合の模様はDAZN、NHK総合にて生中継、テレビ神奈川にて録画放送。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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