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『D4DJ』が提案するDJカルチャーの新しい楽しみ方とは? アニメ/ゲームの枠を越える野心的な挑戦

リアルサウンド

21/3/26(金) 18:00

 ブシロードによる「DJ」をテーマにしたメディアミックスコンテンツ『D4DJ』。2019年にプロジェクトが本格始動して以降、各キャラクターの声を担当するキャストによるライブ、劇中に登場する6ユニットのCDリリース、TVアニメ『D4DJ First Mix』、スマートフォン向けリズムゲーム『D4DJ Groovy Mix』など、二次元・三次元の境界を越えた多角的な展開を行い、大きな注目を集めている。

 キャストが実際にライブでDJやパフォーマンスも行うという意味では、同じくブシロードが展開する「バンド」を題材にしたメディアミックスコンテンツ『BanG Dream!』の方法論に近く、キャラクターコンテンツとして大きな可能性を秘めているように思う。

 その一方で『D4DJ』は、音楽コンテンツとしても非常に野心的だ。そもそも本プロジェクトは、ブシロードの代表取締役会長である木谷高明が、海外でThe Chainsmokersのライブを観たことに刺激を受けて立ち上げた、という逸話で知られる。そのエピソードからも伝わる通り、本作の根幹にあるのは「DJカルチャー」であり、それをキャラクターコンテンツと掛け合わせることで、DJ文化および音楽の新しい楽しみ方を提案しているのだ。

 本稿では、それら『D4DJ』の音楽的な取り組みのうち、「カバー曲」「配信番組」「DJシミュレーター」の3つを軸に、その魅力を紹介していく。

オリジナルミックスで新たな価値を見出すカバー曲

 『D4DJ』には、DJ・パフォーマー・VJなどのメンバーで構成された6ユニットが登場。それぞれが個性的かつ独自の音楽性を持ち、オリジナル曲も数多く制作されているのだが、彼女たちの魅力をさらに幅広く、かつ親しみやすさと共に伝えてくれるのが「カバー曲」という存在だ。例えば『D4DJ』のライブでは、オリジナル曲のみならず、カバー曲もセットリストに組み込まれることが多い。なおかつ、それらの選曲に関しては、アニメソングやJ-POPのヒット曲など、耳馴染みのある楽曲がほとんどだ。それゆえに、ライブは初見のオーディエンスでも盛り上がることができるし、オリジナル曲だけでは伺い知ることのできない各ユニットの意外な音楽性を発見することもできる。あるいは、楽曲自体の新たな魅力に気づくことができるかもしれない。それはいわば、DJミックスやクラブなどでのプレイを通じて既存の楽曲に新たな価値観を与える「DJカルチャー」にも通じることではないだろうか。

 なお『D4DJ』の「カバー曲」は、ゲーム・アニメ・CDなどのメディアを通じて楽しむこともできる。その数多あるカバー曲のなかから、いくつかピックアップして紹介したい。まずはポジティブオーラ全開のユニット・Happy Around!(通称ハピアラ)が、TVアニメ『D4DJ First Mix』の劇中ライブでも披露した「気分上々↑↑」(オリジナルはmihimaru GT)。原曲からしてパーティー感全開のアッパーチューンだが、ハピアラはそれをさらに賑々しくカバー。特にラップパートで4人が次々とマイクパスしながらハイテンションにスピットする箇所は聴きものだ。

 また、劇中でカリスマ的な人気を誇るユニット・Peaky P-keyは「夢見る少女じゃいられない」(オリジナルは相川七瀬)をカバー。彼女たちのストリート感漂うクールな佇まいにはぴったりの選曲と言えるし、竹田祐介(Elements Garden)によるシンセとビートを立たせたアレンジも絶妙だ。さらに近未来的な存在感を放つPhoton Maidenは、「銀河鉄道999」(オリジナルはゴダイゴ)をエレクトロハウス仕立てにして取り上げ(編曲はfu_mouが担当)、誰もが知る名曲を自身のサウンドイメージに引き寄せているのも面白いところ。その他の楽曲を含め、『D4DJ』ではいずれのカバーもクラブミュージックに寄せたアプローチが中心となっており、その意味では「リミックス」的な視点も踏まえた取り組みと言えるかもしれない。

リアルタイムでキャラがDJをする「#D4DJ_DJTIME」

【公式アーカイブ】「#D4DJ_DJTIME​ Special Edition vol.5」DJ:りんく&真秀(2021.1.15配信)

 「DJカルチャー」の醍醐味と言えば、それはやはりDJプレイにあるだろう。様々な楽曲を途切れることなく、BPMや各楽曲の文脈、その場の空気感なども意識しながら連続でプレイしていくことによって、一つの大きな流れを作り出し、みんなで音楽を共有する楽しみ。それはかつてクラブやフェスといった場所で体験するのが主だったが、ネットが発達した現代では、配信を通じて気軽に楽しむこともできるようになった。特にコロナ禍により現場が失われた現在は、よりDJプレイの配信が定着してきたように思う。

 そんななか『D4DJ』も「#D4DJ_DJTIME」と題した配信番組を、YouTubeの公式チャンネル「D4DJチャンネル」で定期的に配信し、人気を博している。この番組の他のDJ配信にはないユニークな点は、『D4DJ』の登場キャラクターが実際にリアルタイムでDJパフォーマンスを行うことにある。画面に映るのは3Dアニメーションのキャラクターたちが、DJ機材を駆使しながら楽曲をプレイし、音楽に身を任せてノリよく動くさま。これはリアルタイムモーションキャプチャーによって実現しているのだが、それを実演しているのは各キャラクターのキャストなのだから驚きだ。現在、愛本りんく(CV:西尾夕香)と明石真秀(CV:各務華梨)がDJプレイを行った「#D4DJ_DJTIME Special Edition vol.5」が、YouTubeに公式アーカイブとして公開されているので、気になる方はぜひ体験してほしい。

 なお、「#D4DJ_DJTIME」ではキャラクターによる配信のほかに、キャストによるDJプレイの配信も展開している。『D4DJ』のキャストには、愛本りんく役の西尾夕香、犬寄しのぶ役の高木美佑、出雲咲姫役の紡木吏佐など、元々DJ経験のあった者もおり、その意味でも作品を通じて「DJ体験」の楽しさを伝えようとする姿勢を感じることができる。

ゲームの範疇を超えた機能「DJTIMEモード」

 これまで紹介した「カバー曲」「配信番組」は、音楽を聴いたり映像を観たりすることでその楽しさに触れることができる、いわば受動的な体験だったわけだが、その逆に「DJプレイを行う」ことの楽しみを能動的に体験できるのが、次に紹介する「DJTIMEモード」だ。これは『D4DJ』のスマートフォン向けリズムゲーム『D4DJ Groovy Mix』に搭載されている機能の一つで、同ゲームに実装されている200曲以上にも及ぶ楽曲のなかから自分の好きな楽曲をセレクトし、自由にエフェクトやSEをかけて楽しめるというもの。タップやエアホーンといった定番の効果音のみならず、LPF(ローパス・フィルター)やHPF(ハイパス・フィルター)なども搭載されており、楽曲を聴きながらリアルタイムでDJ気分を楽しむことができるのだ。

 実際に触ってみるとわかるのだが、これがかなりの本格仕様で、ピッチコントローラーやスクラッチ機能などは備わっていないものの、エフェクトやフィルターは一般的なDJ機材と同様の効果が得られるし、操作性も申し分なし。画面を適当に触りながら直感的に遊ぶこともできるし、ちょっとしたDJの練習にも使うことができそう。何より、自分のお気に入りの楽曲を自分の操作で自由にアレンジする面白さを、こんなにも気軽に味わうことができるのがすごい。普段DJやクラブカルチャーに馴染みがないと、なかなかその楽しさを実感する機会はないと思うが、そういう人はぜひ『D4DJ』というコンテンツに触れてみてほしい。そこにはDJや音楽の魅力がたくさん詰まっているから。

■流星さとる
流浪の人。アニメ・声優・アニソン関連のライター仕事、よろず承ります。お問い合わせは【ryuseisatoru@gmail.com】までどうぞ。

■リリース情報
『D4DJ Groovy Mix カバートラックス vol.1』好評発売中
詳細はこちら

<収録内容>
1.恋愛レボリューション21/Happy Around!
2.DAYS/Happy Around!
3.マジLOVE1000%/Peaky P-key
4.JUST COMMUNICATION/Peaky P-key
5.sakura/Photon Maiden
6.シドニア/Photon Maiden
7.キューティーハニー/Merm4id
8.DISCOTHEQUE/Merm4id
9.名前のない怪物/燐舞曲
10.DESIRE -情熱-/燐舞曲
11.ふ・れ・ん・ど・し・た・い/Lyrical Lily
12.タッチ/Lyrical Lily

■関連リンク
D4DJ Groovy Mix公式Twitter

公式YouTubeチャンネル
#D4DJ_DJTIME は毎週金曜22:00~YouTube「D4DJチャンネル」で無料配信中!
出演キャストのリアルタイムDJプレイやキャラクター自身による3Dモーションキャプチャー配信をお届け!

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